言えないコトバ

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 477
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713145

感想・レビュー・書評

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  • 岸本氏で味を占め、少しエッセイの世界を広げてみることに。

    「おひや」、「おあいそ」という何気ないコトバ。
    いざ使おうとしてみると、いろいろ考えて気恥ずかしくなってしまい使えない。
    代わりに出てくるのは「お水」、「お会計」という実直なコトバ。
    そんな著者から見た、ちょっと着飾ったコトバにまつわるエッセイ集。

    文章だけではなく、同じテーマの象徴的な場面を漫画でも表現しているところが著者ならでは。

    「おひや」、「おあいそ」が言えないというエピソードは、小心者、あるいは考えすぎな著者の姿に微笑ましく思う読後感。
    一方、「さばさば」は女性にしか使われない、「思っていたより」の後に続くコトバは含意を持ってしまう、「元気だけが取り柄です」→それ以上何を求める!?、というような考察には、はっとさせられるものがある。

    平易なコトバで綴る短い文章の中に深い洞察とコトバの難しさ、奥深さを感じされられた。

  • 日常でよく耳にするちょっとした言い回しなどで、著者が「言えないコトバ」が見開きで掲載されている。それぞれの後ろに四コマもあって、ゆるい雰囲気で楽しく読めた。
    私はそんなに深いこと考えないで、よく聞く言葉は自分でも色々使ってしまうなー。物事をよく考える方、めちゃくちゃ空気を読む方のように思った。

  • 「パンツ」をズボンの意味で使いにくいとか、「おあいそ」がなんとなく気恥ずかしくて言いにくいとか、共感できるポイントが多くて笑ってしまった。
    「育ちが良い、悪い」は私の祖母たちもたまに口にすることがあった(あと、「お里が知れる」も)けれど、祖母たちはお金持ちだとか由緒ある家柄だとかいう判断基準では使っていなくて、社会的なマナーのしつけを受けているかどうかが判断基準だった。例えば、ごみを道にポイ捨てするとか、公共の場で騒ぐとか、そういう人達を「育ちが悪い」と言っていたなと思い出した。

    「流されてよいところでは、ざぶざぶと流される。小さな自己主張はしたくない。そこに、わたしの本質なんてないのだから。」(81頁)
    この文章が刺さった。私も、本質とは関係のない小さいことにはあまりこだわらずに、できるだけ軽やかに生きていたい。

  • 益田ミリさん、初めてのエッセイ。
    軽く読書がしたくなったときにおすすめ。益田ミリさんの使えない言葉たち、「わかる!」となるものもあれば、「そこまで気使う…?」となるものもあったり。言葉って、その人のことを一番よく表すものでもあるよね。自分が普段使う言葉について、考えさせられます。

  • 大好きな益田ミリさんの本♡
    読んでいると「あ〜!分かる〜!」
    てことばが多かった!

    途中で入るマンガにいつも
    癒されながら楽しんでる(笑)

    いつも私の心を癒してくれて
    ありがたい〜♡

  • この言葉を使ったら「無理してるな~」と思われてしまうかも……とか、相手を小馬鹿にするニュアンスになってしまうかな……と考えを巡らせる益田さんのエッセイ。

    普段は意識しない言葉選びも、一度気にし始めたらずっと気になってしまう。言い方や前後の言葉など、色んなものに影響されて言葉の意味合いは変化するから、一個一個の言葉選びよりも、そのときの会話や文章全体の空気感みたいなものニュアンスを伝えられればいいんだろうけど、やはり言葉選びは難しい。
    懸命に選び抜いた言葉で喋ったところで、自分の思う意味合いが相手に正しく伝わる保証もない。

    よく日本語は難しいっていうけど、他の言語だったらもっと簡単なのかな。
    どんな言語だろうとシチュエーションであろうと、気軽に話す人は容易に喋ることができるだろうし、考えすぎるタイプのひとはいつまでも正解の言葉遣いを探してしまうと思う。

    結局は相手に嫌われたくなかったり、自分を曲げたくないから、いい感じの言葉選びをしたいと思っちゃうんだろうな。
    81ページの文章にとてもグッときたので引用しておく。

    ”流されてよいところでは、ざぶざぶと流される。小さな自己主張はしたくない。そこに、わたしの本質なんてないのだから。”

  • 漫画とエッセイが交互に進んでいってサクサク読めます。

    自分には使いづらい言葉って確かにあるなあ、と頷きながら読みました。あと「おばさん」みたいに歳を重ねるにつけ、使える範囲が減って行く言葉とか…確かにもう自分がおばさんと呼べる人は血縁の叔母さん以外にいなくなったなあ(笑)。

    あと「悪口の言い方にその人の本質が見える気がする」って言葉、すごく納得した。

  • ああわかる!私もサザンオールスターズをサザンって言えない!と思った。

    益田さんはいろいろなコトバにとても敏感。こんなふうにいちいち世の中のコトバにひっかかっていたら生きにくいんじゃないかな?と心配になる反面、そうだなこの言葉は使わない方がいいなって反省することもあったりでとても楽しく読んだ。

  • 「おひや」とか「カフェ」とかが気恥ずかしくて使えないというエッセイ。このこだわりは私には謎。友達にはなれないと思いました。

  • (2011/10/22 Yahoo!)
    久しぶりに益田さんの本が読みたい & 見たくなって、こちらの本を借りてみました。
    図書館にある益田さんの本で、読んでいないのはもう残りわずかです。

    なんだか照れくさかったり、年齢的に無理じゃないかと思ったり、大人になって引っ越して、小さい頃からの
    習慣とは違う、他の地域の言葉がしっくりこなかったり(益田さんは関西の方です)
    ある言葉がとても重いと感じて、たやすく口にできないなど、いろんな理由があっての 「言えない」 が
    沢山入っています。

    またしても、共感出来ることがいっぱい! あの、ゆる~い絵も書かれていて ( *´艸`)
    娘が 「この人の本当の絵を見てみたいな~」 私は 「これが益田さんの絵なんだと思うよ」
    「だって、目が点だよ~」 「目が点なのに、いろんな表情がわかるってすごいよね」
    ホントに、いたずら書きみたいだし、のペーっとしているんだけど、表情が見えてくるんです。
    特に、小首を傾げているところが好き。 何気ないことを、独りごとのように言うんです。

    エレベーターとエスカレーターがごっちゃになっちゃう話とか、お店で肉の焼き加減を恥ずかしくて
    言えなかったりと、軽いノリの話も多い中で、私の胸にズシッと来たのは、「孤独死」 という言葉について。
    淋しいお年寄りが一人で亡くなっている場合に使われるイメージがあるけど、例えば友人と遊んだ後に、
    独りで住んでいる家に戻って亡くなっていたとしたら、それも 「孤独死」 と言えるのか?
    そんな中で、これだけは孤独死と言い切れると書いてあるのが、子供が親に虐待されて死んでいくことだと。
    「どんなに心細く、どんなに怖くて、どんなにさびしかったことだろう」
    益田さんは、こんなふうに、より深く言葉の意味を考えているのです。

    あと、「言えない言葉」 とは全然関係ないんだけど… 益田さんって40代で独身なんです。
    ご自身の似顔絵からの先入観もあって、彼氏さんがいるとは思ってもいませんでした。
    どうやら、長く一緒に暮らしている方がいるようです。 益田さん、驚いちゃって申し訳ないです!

    ご参考までに。
    【目次】おひや/チャリ/おもてなし/パンツ/思ってたより/おあいそ/S?M?/結婚しないんですか?/サプライズ/遠慮のかたまり〔ほか〕
    (「BOOK」データベースより)

    口に出している言葉より、あえて口に出していない言葉のほうがその人物を知ることができるのではないか?
    そんな疑問から始まった「言えないコトバ」をめぐる探求。例えば「おひや」。家で水と呼んでいるものを外では「おひや」と変換しようとする自分が照れくさい。更に、カクテルの名前だと思っていた「チェイサー」も水だったことを知り驚愕!「ギャランティ」というと、どうしても「ギャランドゥ」というコトバが浮かんでしまう。
    「ギャランティ」は高そうだし、遠い世界のできごとのよう…。その他「彼氏」(何歳まで使っていいかわからない言葉)、「パンツ」(自分が使うと下着だと思われそう……などファッション用語)、「結婚しないの?」(デリケートな言葉)、「親友」(もう必要ない言葉)、等々。言えないコトバから、日々気づかなかった本当の気持ちが浮かび上がる。
    笑い、共感し、時にしんみり心に響くエッセイ+マンガ集。
    (楽天ブックスより)

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に『欲しいものはなんですか?』『みちこさん英語をやりなおす』『そう書いてあった』『今日の人生』『しあわせしりとり』『すーちゃん』シリーズ、『マリコ、うまくいくよ』『僕の姉ちゃん』シリーズ、『スナック キズツキ』『ツユクサナツコの一生』『ヒトミさんの恋』『ランチの時間』等がある。

益田ミリの作品

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