チア男子!!

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713749

感想・レビュー・書評

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  • 軽快な演技が最近テレビでもよく取り上げられる早稲田大学男子チアリーデングチーム・SHOCKERSに取材した作品。
    たしかにお揃いのユニフォームで技を次々に決める彼らはカッコいい。でも私は聞いたことがある。その技を決めるため、けがや痛さと人並み以上に闘い、泣きたくなるほど練習を重ね、仲間とのいろんな葛藤に打ち勝ってきてるんだってことを。だから本物のチアを描こうとしたら、表面的なカッコいい部分だけじゃ、なんかウソくさくなってしまう。

    「チアリーダーとは、観客も選手も関係なくすべての人を応援し、励まし、笑顔にする人のこと。そして、そのために自らの努力を惜しまない人のこと。」
    この『自らの努力を惜しまない人のこと』って、とても大事だと思う。

    この作品の登場人物も、イケメンや運動神経がいいやつが確かに多いんだけども、そうでない奴もいる。そういう奴らとそうでない奴らが、目的はみんな違うけど一つのチームに集まって、最終的には“一人でも多くの人を笑顔に!”を合言葉に、決して器用じゃないけど自分なりの目標を目指して少しずつ少しずつ演技を磨き上げていく描写には本当に引き込まれた。

    また実は、チアって、ほかのスポーツと使う筋肉が全然違うから、どんなに運動神経がいい奴でも初心者はものすごい筋肉痛に襲われる、とも聞いたことがある。この作品でも、数々の華麗な技の裏で、登場人物の多くは指にテーピングをしたり、腰にコルセットを付けたりと、悲鳴をあげる自分の体と必死で闘っている。そんな肉体的ハードさもしっかり描けてるし、チーム内部での人間関係の軋轢も物語の核としてうまく織り込まれている。

    作者の持ち味の“若い感性が爆発”って感じで、今まさに青春まっただ中の読者が引き付けられるのは間違いない。でも若者だけじゃなく、過去、部活とかで練習に没頭したり、仲間同士で自分の思いをぶつけ合いながらも一つのことに夢中になった経験がある“OB/OG”ならば、チアなんかやったことがなくても、きっとこの作品のとりこになれるだろうって思える。
    (2010/12/26)

  • 様々な背景を背負った学生が、男子だけのチアリーディングチームを作り、全国大会に出場するまでのお話。
    キャラクターの突飛さに最初は「ん?」となったけれど、それも最後にはしっかりと向き合い内包され、魅力的に昇華されていました。

    個人的には、同じように汗をかきできないことにぶち当たりながら毎週ダンスを練習している中で、また怪我をしてそれが思うようにできない中で、自分に重なる部分が多く、何度も涙を滲ませながら読み終わりました。

    青春、って感じ。
    多少ご都合主義的なところはありますが、面白かった。
    人間関係に関して言えば、学生なんてそれくらいご都合主義的にロマンチストだと思う。

    好みの作品でした。

  • こんな青春最高だなって感じさせてくれた

  • 何かに熱く取り組む姿は凄いかっこいい!個性豊かなキャラが多くて面白かったんですけど…少し長いかなーって思いました。
    でも一人ひとりの心情描写が上手かったです!2分30秒のシーンは映像がスローモーションで浮かんできて興奮しました!最後の結果が出ず少し残念でしたが、結果が全てではないという事…これぞスポ根!!

  • 結果がわからない終わり方がめちゃくちゃ良かった!!!カズとハルの友情が熱すぎて胸がいっぱいになった

  • 感動した。途中から涙が止まらなくなった。
    それぞれのメンバーの思いがあって、お互いぶつかりながら、高みを目指してく姿が、読んでいて気持ちいい。
    メンバーが一体となっていく感じが読むほどに伝わってきた。
    チアについて全く知識なかったから、こんなに素敵なスポーツなんだなって見方も変わった。
    自分もなにかに熱中して、熱くなりたいなった。
    熱い、ザ・青春って感じ★

  •  軽口を叩きながら、子供じみたバカやりながら、心の中はコンプレックスで溢れてる、強くなりたい、自分を変えたい、アイツに勝ちたい、大切な人に見てほしいetc… 
     きっと誰もが覚えのある、苦しくてやり切れなくてもどかしい、そんな気持ちがここにはある。そんな気持ちを突き破るように、包みこむように、彼らは跳ぶ、踊り、高々と手を挙げる。
     ―やられた、泣けちゃったじゃん。

  • "どうしてチアが団体競技なのかって、それは、誰か個人が諦めそうになったときのためだよ"

  • 臨場感に乏しい。
    チアの技の説明が下手。
    スピード感なし。

    上記を除いても、青春小説としてはよかった。泣けました。

  • ダ・ヴィンチ プラチナ本 2011年5月号
    WITH YOU BOOK ~あなたに寄り添う本~
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    柔道の道場主の長男・晴希は大学1年生。姉や幼馴染の一馬と共に、幼い頃から柔道に打ち込んできた。しかし、無敗の姉と比べて自分の限界を察していた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部。同じころ、一馬もまた柔道をやめる。一馬はある理由から、大学チアリーディング界初の男子のみのチーム結成を決意したのだ。それぞれに事情を抱える超個性的なメンバーが集まり、チームは学園祭での初舞台、さらには全国選手権を目指すが…。
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    一馬の亡くなった両親がチアをやっていたこと。唯一の家族である入院しているおばあちゃんに自分のことを思い出してもらいたいこと。それを理由に男子だけのチアを始める。好奇の目で見られつつも7人メンバーで学園祭で披露し、そこから、コーチとメンバーが増え、全国大会を目指すことになる。さまざまな人間関係を乗り越えチームが一つになる。
     ウォーターボーイズのチア版(本の中にも書いてあったけど)。チアの知識がなくても、青春ものとして楽しく読めた。1人1人の人物キャラが立っていて話の展開もテンポもよかった。
    一馬がチアをやる理由がなくなった。あの辺りが泣けた。よくあるストーリーだけど、ちゃんとお約束なところで泣くわたしwww 最後の交換ノートを回すあたりも話が読めてしまったけど、それでもよかった。
    映画とかドラマ化を狙ったのかな?と思うぐらい、入口、クライマックス、最後のまとまり。まで映像化に適した話だと思った。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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