またやぶけの夕焼け

著者 :
  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714586

感想・レビュー・書評

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  • 著者と年齢が近いせいか、小学校の時のバカ男子のあれこれが思い出され、本当におかしく、懐かしく切なくなった。
    昔の小学生は近所の年齢の近い者同士が一緒に遊ぶのが普通だった。もちろん好き好んでではなく、親に「弟(妹)も連れていけ!」ときつく言われて仕方なく一緒に遊ぶのだけど、はじめはお味噌だった年少者が、遊ぶにつれ力をつけ、それなりの立ち位置を確保するのは、今考えれば非常に有意義なことだったなあと思う。
    そして、男子ならではのどうでもいい(と大人や女子には思える)ことに命がけになって夢中になっていた。
    そういう少年が、早稲田に行って冒険家になっていると考えると、勉強はやる気が出てからでも遅くない、好きなことに夢中になれるベースを作ることが子ども時代には本当に大事なんだと思える。
    著者のように有名にならなくても、きっとカッチャンもシゲオもミンミンもユーリンも少年時代に悔いは残していないだろう。
    それを思うと今の子どもって本当に可哀想だ。親の目の届く範囲で、大人のつくったルールで、大人の作ったおもちゃで、汚れず怪我もしない遊びしかできないなんて。そういう子たちだから、逆にいつまで経っても大人になれず幼児性を引きずるのかもしれない。
    この本の少年たちのように遊んでたら、野球やゴルフや超常現象、歴史、生物、発明、…いろんなことに興味を持つことになる。自発的に。自然に。
    親が「科学実験教室」や「農村体験」に入れても、これほど子どもの心を刺激しない。所詮大人が考えることだもの。
    本自体はノスタルジーを廃し、情緒的にもならず、カッチャン軍団の活動を描いただけだが、読んでいるこちらがいろんなことを考えさせられた。
    子どもがいる大人は読んでみて、時には冒険させてあげてほしいな。

著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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