- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087717686
作品紹介・あらすじ
封をしたい過去、あらぬ真実、果たされざる約束……秘密の扉に委ねてみませんか?
「まぼろし堂」と呼ばれるその複雑な造りの館には、時空を超えて潜めておきたい、さまざまな「人の歴史」が預けられていた――。
火事で家族を失った大学生の水城朔実(みずき・さくみ)は、自らを育ててくれた恩人に頼まれ、「幻堂設計事務所」、通称「まぼろし堂」を訪れる。あるじの幻堂風彦(げんどう・かざひこ)が案内してくれたのは、館内に迷路のように広がる部屋の数々。この「まぼろし堂」には、「あかずの間」を貸し出すというもう一つの顔があり、さらには訳ありげな下宿人たちを受け入れてもいて……。
金木犀香る北鎌倉の古い洋館を舞台に繰り広げられる、心あたたまるファンタジック・ミステリー。
【目次】
一章 開けっぱなしの密室
二章 地下室の向こうへ
三章 天の鍵穴
四章 いつかオルゴールが鳴る日
五章 木犀の香に眠る
【著者略歴】
谷瑞恵(たに・みずえ)
三重県出身。1997年、『パラダイスルネッサンス――楽園再生』でロマン大賞佳作に入選し、デビュー。「伯爵と妖精」「思い出のとき修理します」「異人館画廊」などの文庫シリーズ、単行本では『木もれ日を縫う』『語らいサンドイッチ』『神さまのいうとおり』など、著書多数。
感想・レビュー・書評
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なかなか不思議な話でした。
鎌倉にある廃墟のような洋館に設計事務所兼下宿屋さん兼あかずの間があり、あかずの扉は無料で貸出できるとのこと。
開けられないものではなく、開けてはいけないという呪縛からあかずの扉は存在している。
どうしても秘密にしたい事柄を抱え込まず、一度距離を置くことは心の負担の軽減になるのでしょう。
下宿といい鍵といい現代の設定なのに、ノスタルジックな情景です。
徐々にあかずの扉を通じて、明らかにされていく謎。当事者や周囲に全て真実を明らかにするわけでもなく内に秘めて終わることに少しモヤモヤしますが、本来なんでも明らかにすればいいというものでもないのかなぁと優しい気持ちにさせてくれました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
青春と読書2020年4月号〜2021年5月号掲載のものに加筆修正を行い2021年10月集英社から刊行。一章開けっぱなしの密室、二章地下室の向こうへ、三章天の鍵穴、四章いつかオルゴールが鳴る日、五章木犀の香に眠る、の4つの連作短編。一章が良かったです。アイデアは面白いのですが、展開に難があって読み辛いものがありました。連載中は、栗城由香さんの挿絵に雰囲気があって良かったのですが単行本化でカットされ残念です。
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雰囲気はすごく良かったけど、割と大雑把で、設定とかが頭にはいってこず…解説編(?)を読んでおおよその流れが分かったような?分かってないような?
どうやらシリーズ化されそうだけど、書いていくうちにだんだんと整理されていくのかな… -
難解だった。
まぼろし堂そのものがあかずの扉のように、この世とあの世の間に存在するかのよう。
登場人物もどちらの住人なのか、出来事もどちらで起こったものなのか、誰が誰なのか…
何事も投げ出すのが嫌なので読み切ったものの、私には合わなかった。残念。 -
何となくモヤモヤすると言うか、しっくりこないと言うか、朔実さんがあまりに真っ直ぐで人を疑うことを知らないし、一生懸命過ぎてちょっと疲れてしまった。
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設定や登場人物の人柄など、好きな要素はたくさんあるが、なかなか物語に入り込めないまま終わってしまった。
ポイントとなる建物の構造などがイメージしきれなかったからかな…最後の話しも誰が何をしたいのかなかなか理解できなかった。こちらの読解力の問題かもしれないけれど。 -
ブクログで見て興味を持った。谷さんの作品というところで惹かれる。
が、期待が大きすぎたか。なかなか読み進められなかったところを見ると、好きな方ではなかったかも。あかずの扉の意味やまぼろし堂の全体像が見えなかった・・
朔実の子どもの頃の話がもう少しあるかと思ったけれど、それはもう過去のことで済まされていた。五章が一番わくわくしたけれど、結論に迫る部分がちょっと少なくて残念だった。 -
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あかずの扉の鍵貸します/谷瑞恵
一章 開けっぱなしの密室
二章 地下室の向こうへ
三章 天の鍵穴
四章 いつかオルゴールが鳴る日
五章 木犀の香に眠る
感想を一言で言うなら、優しいお話でした。
まぼろし堂と言われる、古く錆びれた外観の
洋館には、あかずの扉があり人に貸していた。
あかずの扉の中には、他人に知られたくない
その人だけの大切な秘密が閉じ込められている。
それは本当に人に知られたくないものなのか、
いつか知られる時のために閉ざされた場所で
守られているのか……。
秘密の扉を開ける時、その人の本当の願いが
明らかになる。
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ミステリーよりファンタジー色が強いかな。
天涯孤独となった女性が、つかみどころのないちょっと天然?な男性に惹かれていくってベタですな~ 嫌いではないけど…何か物足りなかった。
都内に勤めていて鎌倉から通うって、面倒くさくない??って余計なことを考えてしまいました(^-^;
最終章がちょっと詰め込みすぎな感じ。