- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087717877
作品紹介・あらすじ
第34回小説すばる新人賞受賞作
海洋研究所に勤めるイーサンと飼育委員のノアのもとに、国際バイオ企業からある依頼が舞い込んだ。世界環境を救う貴重なキャニスターを、シャチを訓練して海底から回収して欲しいという。間もなく訓練用の仔シャチが到着。イーサンはセブンと名付けられたそのシャチが愛情深く、他動物と言語によるコミュニケーションが出来ることに気づく。しかしここに来る前にいた海の世界では、セブンはカイという名で、好奇心が災いし、従姉のエルと共に人間に捕獲されたのだった。ある日、外洋での訓練中、離れ離れになったエルが苦境にあることをクジラから聞いたセブンは、心配のあまり不調に陥る。その様子を見たイーサンは、苦心の末、セブンの不調の原因を突き止め、ミッション終了後にシャチたちを故郷の海に帰すことを決意する。果たしてセブンは無事ミッションを遂行することが出来るのか――。
永原皓(ながはら・こう)
1965年長野県生まれ。千葉県在住。中央大学文学部卒業。
感想・レビュー・書評
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シャチと人間がわかりあっていく過程は、ドラマチックで心が躍る。コミュニケーション能力が高い雄のシャチ、カイ(後にセブンと呼ばれる)が魅力的。最初は擬人化された描写に違和感があったが、やがてクジラや人間と「会話」する場面に抵抗がなくなった。自分の中で彼を受け入れたのだと思う。
人間界の複雑な関係が、余計に思えた。出世、愛情、食生活…。シャチの描写に比べ説明的すぎて、理解するのに苦労した。
この続編があってもよいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロシアの捕獲船、アメリカの海洋研究所、中国の水族館...と舞台は2頭のシャチと、それらに関わる人々の思惑によって、広く展開されていく。
研究機関で働いた経験を持つ、という著者はかなり海洋動物や関連所について調べたのだなと思いました。登場人物やシャチたちの会話が軽快で、海外の翻訳小説やドラマシリーズを見ている気になります。
ハラハラドキドキあり、ラストはあまりに全てがうまくいきすぎな結末でしたが、初作でここまで話をうまくまとめて解決させるのは素晴らしいと思います。
映画化や、翻訳してもっと知られて欲しい作品です。 -
シャチのセブンがとってもかわいい
イーサンという名前も素敵
クジラは遠くまで声が届くそうですごい
普段はあまり意識することのない海の中を想像しながら読み進めることができて楽しい時間だった。
後半はフィクションらしくうまくいきすぎだと思った。 -
シャチといえば頭の良い『海の王者』
あとは映画『オルカ』くらいの認識
極めて「好奇心の強い」特性をもった仔シャチ「カイ」
<セブン>と名付けられ、あるミッションのため特殊な訓練を受ける。
シャチってこんなにも利口なんですねぇ。
研究者イーサンと主任飼育員ノアとの交流も心温まる。
『イルカの日』のような展開にならなくて良かった。
第34回小説すばる新人賞受賞作 -
海外文学?っぽい感じで、とてもおもしろかった!
セブンがエルを思う気持ちが切ない!!
イーサン、ノアの優しさが心に染みた。
シャチと、クジラの会話もよかった!
空想が広がりすぎてとまらなかった!!
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序盤は少し退屈ですが、セブンの訓練が始まるあたりから一気に面白くなります。
さくさくと話が進み、読後感良く終われます。
ディズニーの昔の作品(ピノキオとか)を観たときの様な良い話だなー、って言う感じのあれですね。
読んだ後、動物と触れ合いたくなりますw -
シャチの擬人化は、少し中途半端に感じた。人間を描きたいのかシャチを描きたいのか、どちらなのか、分からなくなった。