我が友、スミス

著者 :
  • 集英社
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  • / ISBN・EAN: 9784087717884

作品紹介・あらすじ

【第166回芥川賞候補作】
【第45回すばる文学賞佳作】

前代未聞の筋トレ小説、誕生!

「別の生き物になりたい」。
筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、
O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、
本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには
筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。

鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、
職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、
母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。
モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。
彼女が決勝の舞台で取った行動とは?
世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。

【著者プロフィール】
石田夏穂(いしだ・かほ)
1991年埼玉県出身。東京工業大学工学部卒。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文学賞佳作。

感想・レビュー・書評

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  • 女性らしさを求められることに嫌気がさし筋トレを始め、ボディビル競技に挑むU野。
    トレーニング中の心理描写に大いに首肯し笑った。

    社会的なモノサシに常に測られるのはしんどいもので、私は男だからまだマシだが、女性はさらに窮屈だろう。
    しかし、U野は一筋縄ではいかない女性であり…。

    筋トレに詳しくない方でも十分に楽しめるはず。

  • U野は女性らしさを求められるのが嫌で(はっきりとは書かれていないがおそらく)筋トレを始めたが、その道を極めたボディビルという競技はもっと「クラシック」な女性らしさを求められるものだった。大会出場を目指すが、そのジレンマに陥るという物語。
    「黄金比の縁」が面白かったのでこちらも読んでみた。主人公が淡々としているところや、ちょっとしたユーモアがあるところは似ていたが、考え方が自分にはあまりはまらなかった。

    個人名がU野やO島など頭文字が全てアルファベットなのは何でだろう。覚えにくいし、読みづらかった。

    • 傍らに珈琲を。さん
      ムク助さん、こんばんは☆

      作品を読んでいないので私の安直な考えですが…
      U野は宇野であり、O島は大島。
      母音をアルファベットにしているので...
      ムク助さん、こんばんは☆

      作品を読んでいないので私の安直な考えですが…
      U野は宇野であり、O島は大島。
      母音をアルファベットにしているので、そのようにしか読めないはずなのに、わざわざアルファベットにしてますよね。
      その方が、何処かに存在するであろうあなた方、のように読者に提示できるからかなーなんて。

      あ、でも、あいうえおだけでなく、
      JとかKも使われていたらスミマセン
      違うかもっ 汗
      2023/08/24
    • ムク助さん
      傍らに珈琲を。さん
      コメントありがとうございます!

      私、ずっとU野をユウノと読んでいたので、宇野であろうことに気づかなかったです。笑
      E藤...
      傍らに珈琲を。さん
      コメントありがとうございます!

      私、ずっとU野をユウノと読んでいたので、宇野であろうことに気づかなかったです。笑
      E藤もいました。江藤かぁ。
      S子やT井も出てくるので全員が母音ではありませんが、人物像をあえてぼやかす効果があるのかもしれませんね。
      2023/08/24
    • 傍らに珈琲を。さん
      おぉ、E藤が居たんですね♪
      よっしゃ~!と思ったら、S子もT井も居ましたか~残念っ 笑

      お返事、有難う御座います
      こういう会話、楽しいです...
      おぉ、E藤が居たんですね♪
      よっしゃ~!と思ったら、S子もT井も居ましたか~残念っ 笑

      お返事、有難う御座います
      こういう会話、楽しいですね♪
      2023/08/24
  • 第166回芥川賞候補作

    タイトルが秀逸!
    「スミス」はスミスマシンのスミスで、スミスマシンとは、バーベルがレールに固定されているトレーニング機器のこと。

    つまり、筋トレの小説。スミスマシンを我が友とする筋トレ女子の話。

    芥川賞候補作っぽくないテーマじゃないですか。あらすじ聞いて読む前からびっくり。

    そして、読んでさらにびっくり。めっちゃ面白い!

    って言うか、芥川賞受賞の「ブラックボックス」ものめり込み系の非常に面白い作品だったけど、芥川賞ってそういう毛色だったっけ?
    もっとブンガクっぽい感じじゃなかったっけ?

    まあ、いいけど。

    主人公は20代の会社員、U野は、趣味の筋トレが高じて、ボディ・ビル大会に出ることになる。
    「違う生き物になりたい」と始めた筋トレだったが、大会に出るためには単に体を鍛えればよい、というものではなく、ピアスを開け、脱毛をして、日焼けして、ビキニと12センチのハイヒールを履かなければならない!
    女性らしさを追求も必要。会社の男性の同僚から「女性は大変ですね」と勘違いされる…

    いやー、そうなんだ…
    確かに、「肉体」にはジェンダー問題ってつきものなのかもしれないけど、なんだか一筋縄でいかないややこしさがあるのね。

    はたして、U野の大会での結果は如何に?

    読後はトレーニングして、筋肉を苛め抜いた後のように清々しい気分になります。

    • naonaonao16gさん
      脱毛、通ってましたけど、日焼けNGでしたよ!火傷をさらに火傷させるようなものですから…
      ボディビルまでいくと大変ですねほんとに。何事も程々が...
      脱毛、通ってましたけど、日焼けNGでしたよ!火傷をさらに火傷させるようなものですから…
      ボディビルまでいくと大変ですねほんとに。何事も程々がいいのかもしれないですね…

      どうなんでしょう、しっかりしてきてるといいんですけど…
      プランクで肘の下にアザができてます笑
      2022/03/02
    • たけさん
      naonaoさん。

      脱毛、僕もヒゲに少しだけ通ったことあるんですよ。
      痛くてやめましたけど笑
      痛いの嫌い。

      アザできているくらいなら、体...
      naonaoさん。

      脱毛、僕もヒゲに少しだけ通ったことあるんですよ。
      痛くてやめましたけど笑
      痛いの嫌い。

      アザできているくらいなら、体幹ばっちりでしょう。
      でも、肘のアザは早くケアしたいところですね。
      ザブトンしくとかして、お気をつけください。
      2022/03/02
    • naonaonao16gさん
      男性の脱毛は痛そうですほんとに…
      わたしもやめた箇所があるんですが、公の場なので部位の公表は控えますね爆

      アザ!いいことなんですね!
      そう...
      男性の脱毛は痛そうですほんとに…
      わたしもやめた箇所があるんですが、公の場なので部位の公表は控えますね爆

      アザ!いいことなんですね!
      そうか、何か柔らかいものかませればいいんですね!
      トレーニング動画みたいに、仰向けの姿勢からプランクの姿勢にスっと移れないのが悩みです…
      2022/03/02
  • 筋トレにハマった29歳の女性のお話です。
    スミスとは、筋トレマシンの名前。
    三日坊主の私は、この主人公のようにここまでストイックに打ち込める趣味を持ったことがないので、前半はとても羨ましいな、という思いで読んでいました。それも、プロの目に留まりボディビルの大会を目指すことになるなんて、なんと素晴らしいことか!と。
    生来クソがつくほど真面目な性格の主人公は、より一層筋トレに励むようになって、こんなにピッタリだと思えるものに出合えるなんて幸せだなぁと、ただただ羨ましい。
    でも、ボディビルの大会って筋肉だけを採点されているのではないんですね。主人公としては、元々中性的でありたいと思って始めた筋トレのはずなのに、ハイヒールを履いたり満面の笑顔を見せなければいけなかったり、女性らしさを求められるとは‥‥
    人は他者から認められたいものだし、褒められて伸びるものだけれど、やっぱり自分の人生は自分で演出してこそ、ですよね。

    • タコスさん
      こっとんさん、はじめまして。
      感想が好きだなぁと思いコメントさせて頂きました。
      私もこの本を読んでいる時、筋トレにハマり我が道をいく清々しさ...
      こっとんさん、はじめまして。
      感想が好きだなぁと思いコメントさせて頂きました。
      私もこの本を読んでいる時、筋トレにハマり我が道をいく清々しさが羨ましい!とページをめくってました。
      気がつけば性別や競技モラル等の鍛えること以外の話が広がってる不思議な感覚。
      最後には自己満足って最強だよなぁと勝手な答えを導いてました。
      長文、失礼しました。
      2022/05/05
    • こっとんさん
      タコスさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます♪
      好きで始めたことなのに、なんだか違う方に引っ張られているような違和感‥‥
      やっぱ...
      タコスさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます♪
      好きで始めたことなのに、なんだか違う方に引っ張られているような違和感‥‥
      やっぱり自己満足できなきゃ意味がないですよね。自己満足最強!同感です。
      2022/05/05
  • 面白かった。
    ただもう、ひたすら筋トレの専門書だったけれど、どこの世界にも未だにどっしりと腰を下ろしているジェンダーに対しての疑問も含んだ内容。
    女性は女性らしく、男性にも同様に男性らしさを。
    ボディビルの世界も一緒。

    筋トレ専門書として読んだ感想としては、産まれてきた事を後悔するくらい追い込むって一体どういうこと!?

    筋トレに近道はないってやっぱり書いてあるし、叶姉妹も美は1日にしてならずって言ってるし。
    どうやら継続は力らしいし、筋肉も年功序列らしいし。

    読んだらなんだか筋トレしたくなる…!腹筋割りたい。

    制服のスカートのフォックがきつくてしまらない場合じゃないわ、って思いました。

  • ジムに通う中でボディビルの大会出場を目指すことになる女性が主人公。

    なぜ鍛えて、それが誰のため何のためなのか
    そこで求められる女性らしさとはなんなのか。

    鍛えながら大会出場を目指す中で変わっていく
    自身の身体だったり、心、周りの反応
    それらがリアルに描かれていると感じた。

    終始筋トレの内容ではあるけれど
    自分の思いに気付き向き合っていく様が
    今自分に足りていないような気がして勇気づけられた。

  • ⚫︎受け取ったメッセージ
    痛快。人生という舞台は自分で創り上げるもの。
    別の生き物になりたい。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    【第166回芥川賞候補作】
    【第45回すばる文学賞佳作】

    前代未聞の筋トレ小説、誕生!

    「別の生き物になりたい」。
    筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、
    O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、
    本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには
    筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。

    鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、
    職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、
    母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。
    モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。
    彼女が決勝の舞台で取った行動とは?
    世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。

    ⚫︎感想
    ユーモア溢れる比喩が散りばめられていて、
    ジェンダー問題を扱いながらも軽やかで
    最後の最後まで楽しませてもらえた。
    ボディービルを通して主人公やそれ以外の様々な人の人生観を垣間見れた。これがデビュー作とは!完成度の高さ、読みやすさ、読了感、とても良かった。

    • shintak5555さん
      大好きな作品です!表紙絵が珠玉!
      この作品から石田さん推しが始まりました!
      大好きな作品です!表紙絵が珠玉!
      この作品から石田さん推しが始まりました!
      2024/03/03
  • 第166回芥川賞候補作。

    事前情報で、“筋トレ小説”と知る。

    会社にも筋トレにはまり、「今日は上半身の日」と話し、風呂上がりにタンクトップを着て、日に日に大きくなっていく自分の筋肉を鏡越しに見てはポーズを決めて頷き(本人談)職場で血管が見えてきたのでちょっと見てくれと腕を捲って見せてくれる子がいる。

    筋トレは、ハマると病みつきになるらしく、やればやるだけ結果がついてきて快感らしい。確かに制服がはち切れそうなほどパンパンになっていた。
    シュッとしていた彼は、ひと回り大きなそれに近づきつつあった。『別の生き物』に。

    「火曜は脚の日だ」という一文から始まります。

    通っているジムの知り合いから誘われて、ガチなボディビル大会に出場するまでを描いた作品。
    『別の生き物になりたい』と出場を決意するものの、ボディビル大会について知らない人からすれば、筋肉ムキムキで、肌も黒く、“女らしくない”と見えるそれは、蓋を開けてみれば、髪を長くし、ピアスをあけ、ヒールを履きこなし、笑顔を作り、優雅なポーズをし、アクセサリーをつけ、派手な化粧をするなど、筋肉と同じくらい『女らしさ』も必要だった。純粋に筋肉だけで勝負したいのに、筋肉と関係ないものが評価される、男と女でまた違ってくるという違和感、心の葛藤が描かれている。

    何が面白かったかといえば、文章表現だ。

    ◽︎スヌーピーの言う通り、我々は配られたカードでゲームするしかないのだ。

    ◽︎ああ、遂に。私は、ゲロったのだった。それは正しく、カツ丼を前にした容疑者が犯行を白日の下に晒す心境だった。

    ◽︎翌日、私は近所の歯医者に行き、げん担ぎのように即席のホワイトニングをした。サンプルを持ち出され「新庄・清原クラス」の二段階手前の色合いを選んだ。翌朝、起き抜けの白湯が歯に染み、飛び上がった。

    等々、クスクス笑える文章に、次作も読みたいと思わされた。


    ちなみにタイトル『我が友、スミス』のスミスは、スミスマシンという筋トレの器具の名前からきている。

    装丁も、純文学ではあまり見ない雰囲気で興味をそそられた。

  • 筋トレを愛する、鍛えることが生き甲斐なアラサー
    女子 U野がボディビル大会に出場して、自分の筋肉
    をとことんまで、鍛えて、節制して、つくりあげいく筋トレ小説かと思いきや、女性に対する偏見。
    多様性の中で、女性が筋肉を鍛えることへの社会の目線も感じることができる社会派小説の意味合いも感じれました。新たなジャンルを開拓したと、私は感じています。

  • キワモノ好きとしては知らない世界を知る楽しさを十分に堪能できた。とはいえ、最後まで読めば、単なるボディビルに留まらず、結構深い話で驚く。

    次回作はどういう題材を書かれるか分からないが、期待して待ちたいと思う。

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著者プロフィール

1991年生まれ。東京工業大学工学部卒。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文学賞佳作。

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