水滸伝 6 風塵の章

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087745689

感想・レビュー・書評

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  • 号泣だった。それぞれの生き様に涙が出てきて仕方がない。「水滸伝」は中国でもいじられること無く、ほぼ原形を保った状態で語りそして描かれている。先日読んだものもそんな感じで面白味などまるで感じない。

    正直クライマックスは続編に来るような気もするのだが、やはりこの水滸伝はじわじわと近づいてくる禁軍最高の実力者の童貫との最終決戦であろう。

    「女を守れない男だといわれたくない」

    ような台詞を扈三娘に吐き己の命と引き換えに散った「林沖」やっぱり一番好きですね。6万の軍に包囲された林沖率いる黒騎兵の旗手であった郁保四と共に散る。

    この黒騎兵と遊撃隊の中には重要人物である史進、索超、馬麟、扈三娘、徐寧、そして楊令いた。戦の中心はこの騎馬隊になってくるので、それぞれに思い入れは強いが、北方水滸伝が他の作品と違うのはすべての登場人物がタイトルロールであってそれぞれにドラマがある。

    例えば軍の人選に当たっても細かな角度からそれぞれを眺め適材適所に振り分けられる。ただ指示がでてるのではなく、なぜかということまで書かれ読者を納得させてくれる。騎馬隊の華やかさに比べ歩兵の地味さはラグビーで言えばFWのように思える。彼らがいるから戦える。そんな思いを誰もが忘れず戦っているシーンはなんともいえない。本当に泣けるのだ、しかも人物に記憶がないと遡ってまた読んだりとそれを流して前に進むことの出来ない名作に感じる。

    武人の物語、文人の物語、女性の物語もあれば、凄いのは職人の物語もある。それぞれに命を懸けた壮大な物語です。男なら読め!といった感じです。まさに北方ワールドの集大成のように感じられます!

  • まさか秦明がここまで早く仲間になるとは。もう少し波乱があると思った。たびたび名前は出ていた分、自分の想像以上に気持ちが傾いていたのか。
    あと、最後の王定六の走って手紙を届けるシーン。あのシーンはよかった。負けない気持ちの一心で、もはや陸上青春小説の様なワンシーン。ひたすらひたすら走る。ただ、自分のプライドのために。この小説は本当に何でも詰まっている。続きも楽しみだ。

  • 青蓮寺と梁山泊のぶつかり合いが始まった。それぞれ得意なことをただひたすらやる梁山泊の各人が小気味良い。

    宋江は、全国行脚中。子午山、少華山と回り、双頭山に向かう途中で青蓮寺に囲まれる。二竜山では秦明が指揮して、地方軍の2万5千を退ける。青蓮寺は、蔡京が登用した天才、聞煥章が登場し、梁山泊の大きな敵になる予感。

  • 青蓮寺側の主観描写が入るようになり、人間味が感じられてきたと思います。三國志を先に読んだ為か、聞煥章の第一印象が司馬懿と重なります。人物が揃ってきたことで、物語が動きだす感じがたまりません。

  • 続きがめちゃくちゃ気になる。
    武松はどうなるのだろう。
    林冲と楊令が対峙している姿がいいなあ。

  • 第6巻は静かな章だった。

    新しく秦明と花栄が仲間に加わる。楊志亡き後、二竜山もこれで安定となる。大きな戦はなく、敵は呉用にターゲットを絞り始めた。逸材が死ななくてよかったが、最後の決戦までまだ長そうだ。

  • 官軍を撃退した宋江は、武松と李逵と旅を続ける、途中欧鵬を加えて北へ向かい始める。

    王進を訪ねる途中で賞金稼ぎの馬鱗を返り討ちにして、無理矢理お供に加える。
    そして、王進再処理施設に馬鱗をブチ込み、代わりに史進が出所して、一行は少華山へ向かう。

    史進は少華山に復帰し、宋江は、さらに旅を続ける。

    魯達は、官軍の秦明を説得して梁山泊に迎え入れる事に成功。
    花栄も併せて梁山泊に加わり、楊志の後釜とし秦明と共に、二竜山に入る。

    同志が次々と梁山泊に加入、または同調し始め活動が本格化して、益々面白くなり読むのを止められない。

  • 王進が再登場した!
    鮑旭は梁山泊に加わらないのかな?

    王定六、いくらなんでも走り過ぎだろ~(^_^;)
    馬にも負けないとか…笑

  • 楊志を失った梁山泊は、その後継者として官の将軍・秦明に目を付けた。秦明を梁山泊に引き入れるため、魯達は秘策を考え出す。また、蔡京は拡大する梁山泊に危機感を抱き、対策を強化するため青蓮寺に聞煥章を送り込む。聞煥章は李富が恐怖を覚えるほどの才覚を持っていた。聞煥章が最初に試みたのは、宋江の捕縛である。強力な探索網が宋江を追い詰めていく。
    北方水滸、緊迫の第六巻。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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