広重の浮世絵と地形で読み解く 江戸の秘密

著者 :
  • 集英社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087817003

作品紹介・あらすじ

広重の浮世絵は、江戸時代の写真だ!?
広重の浮世絵をこよなく愛好する著者が、ふと発想を転換して浮世絵をみたところ・・・驚くべき事実が浮世絵に書き込まれていることを発見!さらに専門である土木や治水の知識を合わせて考えると、江戸の地形や歴史の謎が解け、知られざる江戸幕府の政治や仕組みの秘密も見えてくる。 『日本史の謎は「地形」で解ける』シリーズが30万部以上のベストセラーとなった竹村先生ならではの謎解きを、「名所江戸百景」や「東海道五拾三次」などに描かれた名所ごとに展開。日本橋、四谷内藤新宿、溜池、新橋……この一冊を片手に、江戸の地形を巡る散歩をするのも楽しい! 美しいカラー図版満載で保存版にしたい一冊‼
( 目 次 )
第1章.日本橋から始まる旅
――もっと薄く、より小さくが、日本人のアイデンティティ――
第2章.「参勤交代」と「統一言語」 、第3章.水運が形成した情報ネットワーク
第4章.戦国のアウトバーン、小名木川、第5章.関東平野の最重要地、軍事拠点「国府台」
第6章.馬糞が証明する 究極のリサイクル都市「江戸」
第7章.広重の〝禿山〟から考える エネルギー問題
第8章.下谷広小路 ─―防災都市の原点─―
第9章.日本人と橋造り─―対岸への願望─―
第10章.日本堤と吉原の遊郭 ―─市民が守った江戸─―
第11章.遊郭の窓から五〇〇年の時空へ 〝高台〟という仕掛け
第12章.ヤマタノオロチが眠る 湿地都市の宿命
第13章.文字通りの鳥瞰図 、第14章.日本の命の水の物語
第15章.歴史が生んだ近代 ─―牛から電車へ─―
第16章.近代化の象徴、鉄道開通と住民運動の始まり
(著者) 竹村公太郎(たけむら こうたろう)
(特非)日本水フォーラム代表理事及び事務局長、人事院研修所客員教授、博士(工学)。1970年建設省入省。国土交通省河川局長などを経て現職。著書:シリーズ合計で30万部を超えるベストセラー3部作『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP研究所)、『水力発電が日本を救う』(東洋経済新報社)など多数。

感想・レビュー・書評

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  • 『日本史の謎は「地形」で解ける』で知られる著者は、元建設省(国土交通省)のダムや河川の土木のプロ。
    浮世絵の研究者ではない著者、歌川広重の残した風景画を江戸時代当時の写真として捉え、そこに描かれた地形や風俗からから、独自の謎解きが展開される一冊。有名な東海道五十三次や名所江戸百景を情緒豊かな風景画としてしか思えなかった絵が、畑違いのプロが全く違う視点から見ると、思いもよらない面白いお話となる。

  • 地形歴史から読み解く土木視点。
    仮説がどれもおもしろく、裏付けとなる根拠も多い。
    土木のスペシャリストの観点から広重の絵を見る視野の広がり。
    読みものとしておもしろい。
    特にリサイクル視点をエネルギー問題まで昇華して考える点より
    日本なりの再生エネルギーの道はありそうだと思える。
    あと、江戸一極集中レベルで集まった東京という場所は震災が起きた時に、
    歴史的転換もありえるだろうなと。
    生きている間に起きるかも知れないことは気にしておく。

  • 想像の5倍面白かった。参勤交代のおかげで日本全国に通じる「標準語」ができ、それが今でも方言がありながら共通の言語で繋がっているという最初の話から引き込まれた。
    家康が江戸に来たばかりの頃は、関東は湿地帯であったことなど知らないことも多々あり、何より今と繋がってるのかという驚きが随所にあった。
    歴史は面白いのは知っていたが、歴史家が語るもの以外でも新しい面白さを見れた気がする。

  • 題名からの期待と違うが寧ろ新たな知見を得られた

  • 以下、引用

    ●「日本人は昔から『太郎』とか『花子』とか家畜に名前をつけて『家族の一員』として飼った。日本人は家族の一員である牛馬を去勢するなど考えもしなかった。それに対して、ヨーロッパや中国では、牛馬を完全にコントロールしようと考えた。そのため、ためらいなく去勢した。だから、大陸の文化では、牛馬をエンジンとする車両が発達していった。日本では去勢されていない突然暴れる牛をコントロールできなかったので、車両の文化が発達しまかった」(中略)つまり、日本人は家畜を去勢する代わりに、地面を掘り込んで車石を敷いた溝に、牛を入れて歩かせたのです。牛に余計な刺激を与えて暴れないようにしたのです。もし暴れた時でも、人に突進したり、荷車を引っ張って暴走しないようにした。安全のために人と牛車が通る場所を分離したのです。

  • 元建設官僚の著者が、浮世絵を題材に、江戸の治水における知恵を調査・解説する。江戸も大坂も、かつては湿地帯。川の付け替え工事などで水の流れを御し、土地を乾燥させ、埋め立て、今の形になっている。
    『日本堤』を踏み固めるのに、桜並木を作って花見客を呼び、吉原を移動させておっちゃんたちを通わせて、踏み固めさせた、、、ホンマかいな。人の欲求を利用するとは、すごいっす。

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著者プロフィール

日本水フォーラム代表理事。博士(工学)。
1945年生まれ、神奈川県出身。昭和45年東北大学工学部土木工学科修士修了。同年建設省入省、近畿地方建設局長を経て国土交通省河川局長。2001退職。一貫して河川、水資源、環境問題に従事。人事院研修所客員教授。
著書に『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP文庫3部作)、『土地の文明』『幸運な文明』(以上、PHP研究所)、『日本文明の謎を解く』(清流出版)、『水力発電が日本を救う』(東洋経済新報社)など多数がある。

「2021年 『“地形と気象”で解く! 日本の都市 誕生の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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