一度、死んでみましたが

著者 :
  • 集英社
3.58
  • (3)
  • (16)
  • (9)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 143
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087860290

作品紹介・あらすじ

重度くも膜下出血に倒れた、人気コラムニスト、神足裕司。絶望的な状態から奇蹟的な回復。神足は命と正面から向き合う日々を綴ることで、コラムニストとして再生を遂げる! 「書くことは、生きること」

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 西原理恵子さんの本が好きで、それをきっかけに手に取りました。今まで深く考えたことがなかったことに、気づかせてくれる本の一つだと思いました。

  • はじめに、家族という立場にあるものからのレビューであることをお許しいただきたい。

    本が手元に届いてからも、私はなかなか本を開く気になれなかった。
    怖かったのだ。

    父の、つまりはこの本の筆者の状態はもちろん百%ではない。
    ページを繰っていけば、彼がこれまで積み上げてきたものが、
    私の前に立ちはだかる者としての彼が、崩れ去ってしまうのではないか、
    そんな恐れを抱いていたのだ。

    杞憂だった。
    そこにあったのは、私にはとても紡ぎ出せない「凄み」のある言葉の数々。
    いや、もしかしたらこれは、以前の筆者にも書けなかったのかもしれない。

    薀蓄をちりばめ、変幻自在の修飾語を用いながら、ページを埋め尽くすのが豊穣な表現だとするならば、この本はそれには当たらないかもしれない。
    むしろ、そのような表現は全てが余白へと沈み、筆者にとってのその瞬間の全てがこめられている。
    少なくとも筆者の生きる「世界」において、その瞬間、それ以外の表現はあり得なかったのだろう。

    切り詰められた音の数。
    他の人が弾いたら、ミスタッチだと思われかねないフレーズ。
    彼の憧れたジャズピアニストを思い出す、なんていったら笑われるだろうか。
    (そういえば、昔ピアノの先生にこれが弾きたいと父が言ったとき、「私にも弾けませんよ」なんて笑顔で言われてたことがあったっけ)

    筆者は、あるところでのインタビュー(といっても筆談だけど)で、どのような人に読んで欲しいかと問われて、
    「自分が病気だとわかってない人に読んで欲しい。肺に穴があいているのに必死で呼吸している人、足が折れているのに懸命に足を回転させている人、それと同じようなものだ。わからないのにわかったふりをしたり、またはその逆だったり」
    と答えている。
    彼と同じ病気を患った人には自分がそのような病気であるという意識が欠如している人も多いという。それによって、本人や家族、周囲の人が苦労をすることもあるだろう。
    同じような病気の方、周りの方に読んでいただき、少しでもその世界の理解に役立つのであれば本望だろう。
    また、この本を読み、この文章を改めて考えたとき、これは「私たち」に向けられたものなのかもしれないと感じた。

    「自分が自分で、怖くなる。何を言っているか、わからないんだからね。
    そう書いているボクの横で、奥さんが言う。
    「酔っ払ってても同じだったでしょ。怖くないよ!」
    昔のボクと、何にも変わらないのか・・・・・・。そりゃそうだな。」(p.36)

    彼はいう。
    そう、私たちの肺にも穴が開いているのかもしれないのだ。深呼吸をしてみよう。
    2014年の「書き」初めだ、なんて思っていたら思いのほか長くなってしまった。

  • 重度障害になり記憶障害やら、いろんな障害が残りましたが回りの人に手助けしながらも書くことが出来、そんな目線からのエッセイ
    父が寝たきりになった時は、こんな思いや気持ちだったのかなと読みました

  • 基本、わたしは「有名人本」はあまり読まないんだが、これは今思い返してみると、どこでどのように知って、いつ図書館で予約(なんせ予約数が30以上あってかなり待たされたような?)したのか、全く覚えてない。。なんせ、神足裕司って人すらわたしはよく知らない人だったのだ(笑)いや、名前は聞いたことがあるけど、どこでこの人の名前を知ったのか思い出せない。広島で仕事してたとき、移動の車の中のラジオで「神足裕司の見たり聞いたりこーたりん」ってかなり頻繁に聞いてたような気がするのだが、実際のところ、どういう番組でどんなことはなされてたのか全然記憶にない。なんでわたしはこの本を読みたいって思ったんだろう、、、

    で、今日借りてきて一気に今日中に読んじゃったのだが、この手の本にしては結構面白かった、面白かったというか、いや、やっぱり面白かったのかな。。

    少しずつよくなってるみたいだけど、これからも少しずつよくなられますように。

  • 広島のローカル番組でおなじみの方。テレビ出なくなったと思ったら、こんな大病されていたんですね。
    1日も早い復帰を望みます。

  • 神足裕司氏を知ったのは、遅くも遅く、TBSラジオ『小島慶子キラキラ』の火曜パートナーとしての、Podcastを通しての声でからでした。プラプラしてるのに”ペラペラ”コーナーで語る話は面白くて(小島さんとのオープニングトークも面白かったなぁ)毎週楽しみに聴いてました。
    なので、神足さんがくも膜下出血で倒れ緊急搬送された知らせは本当にショックで、息を殺してその後の状況を待ちました。Twitterの息子さんによるツィートも読んでました。
    その神足さんが出版したのがこのエッセイで、発売を知った時はすごく感慨深かったです。
    (WANTEDでの手紙連載はこのエッセイを読むまで知らなかったのが、痛恨でした(苦笑))

    本人のエッセイの他に奥さんによる前書き等があったのも、家族の側の緊迫感を知る事が出来て良かったです。

    倒れてから初めての広島帰省の件は、twitterで流れてた、歌う神足さんの画像を思い出しつつ、胸が詰まりました。
    この後の神足さんの文章もきっと読みます。新刊待ってます。

  • 読んでてこわかった。「奇跡の脳」はあんまり怖くなかったのに。文筆家と科学者で書き方が違うのかも。

  • TBSラジオ「キラキラ」をいつも聞いていたから倒れた事は信じられなかったし、くも膜下出血と聞いて失礼ながらもう復帰は出来ないと思っていた。
    TBSラジオ「Wanted!!」でコータリさんからの手紙を初めて聞いた時は、運転中涙が止まらず車を停めた。
    この本を読んでも家族や仲間との関わりや日常の率直な内容に涙が滲んだ。
    次回作を早く読みたい。

  • 気に入りました。

  • コータリンが大変なことになってたのを知りませんでした。一日も早い回復を祈念しております。

全17件中 1 - 10件を表示

神足裕司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×