赤白つるばみ・裏/火星は錆でできていて赤いのだ (愛蔵版コミックス)
- 集英社 (2020年7月22日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087920581
作品紹介・あらすじ
未来永劫 孤高でロック
侵食する水、広がる氷河 私たちの地球はあの日から違う世界になってしまった。夜空を見上げて赤い星に託すのは祈りか、願いか──
感想・レビュー・書評
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「赤白つるばみ」の続編と、2012年に発表された「火星は錆でできていて~」とその続編を収録。今回も装丁が素晴らしい!この赤錆色の火星!
さて赤白つるばみ裏は、前作の登場人物がまんべんなく登場しつつも、メインは美大のシマちゃん(イマジナリーフレンド連れてた子ね)なんと漫画家デビューしている!谷崎真珠先生、面白い、好き(笑)他にもアノヒトとアノヒトがつきあっちゃったり色々ありつつ。
ヒルちゃんやおろち丸、椿ちゃんは、美男美女でそれを意識せず生きてきてエキセントリックだけどカッコイイし憧れるのだけど、私はコンプレックスを克服してきたニチカちゃんやシマちゃんのほうにやはり共感してしまう。
楽しく読んだし、フェミニズムの教科書としても素晴らしいのだけど、個人的にはそういうメッセージがストレートすぎる(とかく登場人物が語りたがる)のはたまに苦手だったかなあ。誰かが誰かにお説教されるような直接的な言葉じゃなくて、もうちょっとエピソードに落とし込んであったらすんなり入ってくるのだけど。
今回ヒルちゃんのお母さん(還暦前)が登場して、老人たちがもれなくカッコイイ本作にまたカッコイイお祖母ちゃんが一人追加されたのだけど、こういうキャラクターを描いてくれるだけで、呪いはちょっと解けると思うの。直接的な言葉じゃなくて。
とまれ椿ちゃんの言う「少女マンガは少女のためのマンガなのに、どうして対等じゃない恋愛が定番なのかな?」という発言からの一連のエピソードは(谷崎先生の発言含め)盲点へのなかなか鋭い切り込みでした。
「火星~」のほうは、311後ぽい題材とフェミニズムが同居している感じ。 -
小学校の頃から好きだった楠本まきさんの新刊。
なかなか新刊が出ない上に、漫画よりもエッセイや絵本形式が多くなている作家さんなので、今回リリースされた新刊も漫画だった(しかも再録でもない)ってことに期待した。
また、この方は装丁がいつも美しいので、電子書籍でなく当然のように紙本で入手。
感想、認めたくなかったけれど、個人的には凄く残念な新刊だった。
装丁に関しては相変わらず洒落てはいるけれど、昔ほどのこだわりをあまり感じられない。
前 2 作(赤白つるばみ 上/下)で既に感じてはいたけれど、変な力みや神経質さが抜けて作家ご本人様的には幸福というか、リラックスできてるんだろうなあ、良かったなあとは思うけれども。
しかし、それよりも残念だったのは内容だった。
言いたいこともテーマも分かり易く、はっきりと書かれている。
書かれてはいるが、描かれてはいないのだ。
正直、Twitter などで散見されるヒステリーな叫びを詰めましたとしか感じられなかった。
この人物にそれを語らせる必要があるのだろうか、もっと言えば、そのどこでも拾ってこられるような内容をわざわざ楠本まきさんが、わざわざ漫画にする必要があったのだろうか。
一方的に声を大にして文字を並べているだけにしか感じられなかった。
(念のため添えておくけれど、私はその意見に否定的ではないし、どちらかといえば賛成派だ)。
もっと他の角度を混ぜたり、掘り下げて欲しかったかなと。
キャラクターが言わせされてるではなく、キャラクターが言っていると感じられたらもっと違った感想を受けた気がする。
これでは、現代問題に触れてみた乗っかてみた、これがイマドキなのよ、カッコイイでしょ?と言っているような、表面だけのオサレ漫画ではないかという印象になってしまいました。 -
きゃ〜
楠本まき「赤白つるばみ」の続編を収録した単行本発売、描き下ろしも マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20200722-1170236/ -
大事に大事に読んだ。
思うようにいかないことがあった後に読むと救われた。
「赤白つるばみ」の世界で生きたいと思った。
「火星は錆でできていて赤いのだ」も含め、色々なことを考えさせられた。
考えなくても気にしなくてもそれなりに生きてはいけるけれど、生きていて呼吸がしづらいと感じるのは何故かなと何となく思っていて、それでもふとそういうことだったんだと気付くようなこと。
そういうことが少しずつ少しずつなくなっていくといい。
昔から楠本まきさんの描く老人が好きだ。
もし生き続けられるならいつかそんな老人になりたい。
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「赤白つるばみ上下」から読み返しましたとも。一気に。だって忘れるから!読み返した瞬間に「そうだったそうだった!」って思いながら一気に読んで「くぅううぅ〜っ悔しい好き!!」ってところまでいつもどおり。そして表紙特色前回は金銀、そして今回は錆色。最高。
今回は連載中からちょっとジェンダーバイアスのことが挙げられていたり、それ以外もあらゆるバイアスについて考えることが多かったけれど、あらためて考えるとまきさんの作品は最初からバイアスによって敬遠されがち(または崇拝されがち)な人たちが、ごく普通の人間として普通に生きていることをずっと描いているんだなとものすごく腑に落ちた。そして自分がいかにそれらのバイアスに対して嫌悪感を持っているか、だからこそ楠本作品に惹かれるのかという理由がすこーんっと入ってきてとてもスッキリ。清々しい。
あとはもうユラくんの好きはほんとに好きだったんだなーとか、椿ちゃんは初登場シーンのあの超絶美人だけど透明なバリアバリバリ感はどこへやら某はぐちゃんみたいな美大っ子になっったなーとか、にちかちゃんやシマちゃんが吐露したような一般人からは羨望と妬みにも値するようなヒルコともあろう人が、まさか今自分が感じるような焦りや不安を感じるなんてーとか、現実世界と同じように時間の経過を噛みしめる。
あとがきにも書いてあるけど「なるべく早い時期に、ああ、そういえば昔はそうだったね。今となっては信じがたいけど。と、言われるようになってほしい」と思う。今のこの世界だって「今となっては信じがたい」ことが山のようにあって、それをきちんと「それはおかしいんじゃないか」と考えて、それを多くの人が共有したからこそ変えられたことがたくさんある。それは常になされるべきことであって、常に「本当にそれでいいのか」と考えること怠ってはならない。 -
色々しんどかった中学生の頃の自分に読ませてやりたかったと思った本。
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大好き
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いろいろ考えさせられる。
この本はこれまでの楠本まきの漫画とは別な位置づけかな。