赤白つるばみ・裏/火星は錆でできていて赤いのだ (愛蔵版コミックス)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 131
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087920581

作品紹介・あらすじ

未来永劫 孤高でロック
侵食する水、広がる氷河 私たちの地球はあの日から違う世界になってしまった。夜空を見上げて赤い星に託すのは祈りか、願いか──

感想・レビュー・書評

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  • 「赤白つるばみ」のその後(十年くらい?)。
    SNSで作中の、

    え だって
    ジェンダーバイアスに
    「よいジェンダーバイアス」とか
    「許容範囲のジェンダーバイアス」
    なんてないんですから
    なくなった方がいいですよね?

    というコマが引用されて、話題になったり、その後作者自身の発言がいくつかあったことなど、うっすら聞いた気がしていた。
    で読んでみたわけだが、うーん…… …… ……作中人物が説教臭くなったなというのが、正直な第一印象。
    もう少し時間を置いて読み直して、自分の更新具合を見てみたいとは思うけれど。
    この作品が自分にとって大事な大事な作品になったという人もいるだろうとは思うけれど。


  • 赤白つるばみの続編と聞いてワクワクしながら読みました。

    Twitterでよく見る感じのフェミニスト的意見をストレートに伝えてくるキャラ達。え、いきなりなぜ?とちょっとびっくり。

    伝えたいことはわかりやすいけど、物語との融合がイマイチで、メッセージとしてそのままなので、赤白つるばみの世界観がブレてしまっていて残念でした。
    赤白つるばみの皆のその後が見れたのは楽しかったけれど、この様式にするなら別シリーズで新しいキャラでやって欲しかった。

    ここからネタバレ。

    物語を通してフェミニスト的に色々意見を言うわりには子供の食事を外注する事に文句を言ったり、年齢にとらわれない生き方を推奨する一方でわがままを通す時には年齢を理由にしたり、とダブルスタンダードなキャラ達がいて違和感が強かったです。

    男性ばかり料理してるのもなぜなのか。ドローイングが好きなのに料理作るために途中で帰るのもなぜ。対等な関係というなら終わってから帰る、もしくは早く帰宅した方が作る、のが適切では。
    いきなり他人の育児方法にレッドカード?を出す双子も客観的に失礼すぎでは、と悲しくなりました。

    書き下ろしの部分でかかれていたフェミニストの定義であれば私は大きな声でYES!と言うけれど、世の中のフェミニストで声の大きい人は、自分や自分と同じ立場の女性の権利や理想しか考えないことが多いので苦手です。

    リベラルになりきれない人々をあえて表現して世の中ままならないよね、ということを伝えたいのかなとも思ったけど、それはさすがに考えすぎでしょうか。

    新人漫画家の葛藤は楠本まきさんご本人の経験なのかなと思うと感慨深い、けど成果が出ていない状況で物語が終わるので多少のもやっと感が残ります。
    ジェンダーバイアスについては無くすべきものもたくさんあるとは思いますが、それがバイアスなのか性別としての性(さが)なのか明確に区別出来ていない状況で排除だけを声高に言うのは危うい気がします。

    絵柄は相変わらず美しく、見ているだけで幸せになれました。

    次回作はどうなるのかな。楽しみなような怖いような感じです。

  • 「赤白つるばみ」の続編と、2012年に発表された「火星は錆でできていて~」とその続編を収録。今回も装丁が素晴らしい!この赤錆色の火星!

    さて赤白つるばみ裏は、前作の登場人物がまんべんなく登場しつつも、メインは美大のシマちゃん(イマジナリーフレンド連れてた子ね)なんと漫画家デビューしている!谷崎真珠先生、面白い、好き(笑)他にもアノヒトとアノヒトがつきあっちゃったり色々ありつつ。

    ヒルちゃんやおろち丸、椿ちゃんは、美男美女でそれを意識せず生きてきてエキセントリックだけどカッコイイし憧れるのだけど、私はコンプレックスを克服してきたニチカちゃんやシマちゃんのほうにやはり共感してしまう。

    楽しく読んだし、フェミニズムの教科書としても素晴らしいのだけど、個人的にはそういうメッセージがストレートすぎる(とかく登場人物が語りたがる)のはたまに苦手だったかなあ。誰かが誰かにお説教されるような直接的な言葉じゃなくて、もうちょっとエピソードに落とし込んであったらすんなり入ってくるのだけど。

    今回ヒルちゃんのお母さん(還暦前)が登場して、老人たちがもれなくカッコイイ本作にまたカッコイイお祖母ちゃんが一人追加されたのだけど、こういうキャラクターを描いてくれるだけで、呪いはちょっと解けると思うの。直接的な言葉じゃなくて。

    とまれ椿ちゃんの言う「少女マンガは少女のためのマンガなのに、どうして対等じゃない恋愛が定番なのかな?」という発言からの一連のエピソードは(谷崎先生の発言含め)盲点へのなかなか鋭い切り込みでした。

    「火星~」のほうは、311後ぽい題材とフェミニズムが同居している感じ。

  • 小学校の頃から好きだった楠本まきさんの新刊。
    なかなか新刊が出ない上に、漫画よりもエッセイや絵本形式が多くなている作家さんなので、今回リリースされた新刊も漫画だった(しかも再録でもない)ってことに期待した。
    また、この方は装丁がいつも美しいので、電子書籍でなく当然のように紙本で入手。

    感想、認めたくなかったけれど、個人的には凄く残念な新刊だった。
    装丁に関しては相変わらず洒落てはいるけれど、昔ほどのこだわりをあまり感じられない。
    前 2 作(赤白つるばみ 上/下)で既に感じてはいたけれど、変な力みや神経質さが抜けて作家ご本人様的には幸福というか、リラックスできてるんだろうなあ、良かったなあとは思うけれども。

    しかし、それよりも残念だったのは内容だった。
    言いたいこともテーマも分かり易く、はっきりと書かれている。
    書かれてはいるが、描かれてはいないのだ。
    正直、Twitter などで散見されるヒステリーな叫びを詰めましたとしか感じられなかった。
    この人物にそれを語らせる必要があるのだろうか、もっと言えば、そのどこでも拾ってこられるような内容をわざわざ楠本まきさんが、わざわざ漫画にする必要があったのだろうか。
    一方的に声を大にして文字を並べているだけにしか感じられなかった。
    (念のため添えておくけれど、私はその意見に否定的ではないし、どちらかといえば賛成派だ)。
    もっと他の角度を混ぜたり、掘り下げて欲しかったかなと。
    キャラクターが言わせされてるではなく、キャラクターが言っていると感じられたらもっと違った感想を受けた気がする。
    これでは、現代問題に触れてみた乗っかてみた、これがイマドキなのよ、カッコイイでしょ?と言っているような、表面だけのオサレ漫画ではないかという印象になってしまいました。

  • きゃ〜

    楠本まき「赤白つるばみ」の続編を収録した単行本発売、描き下ろしも マイナビニュース
    https://news.mynavi.jp/article/20200722-1170236/

  • 大事に大事に読んだ。
    思うようにいかないことがあった後に読むと救われた。
    「赤白つるばみ」の世界で生きたいと思った。
    「火星は錆でできていて赤いのだ」も含め、色々なことを考えさせられた。
    考えなくても気にしなくてもそれなりに生きてはいけるけれど、生きていて呼吸がしづらいと感じるのは何故かなと何となく思っていて、それでもふとそういうことだったんだと気付くようなこと。
    そういうことが少しずつ少しずつなくなっていくといい。
    昔から楠本まきさんの描く老人が好きだ。
    もし生き続けられるならいつかそんな老人になりたい。

  • 「赤白つるばみ上下」から読み返しましたとも。一気に。だって忘れるから!読み返した瞬間に「そうだったそうだった!」って思いながら一気に読んで「くぅううぅ〜っ悔しい好き!!」ってところまでいつもどおり。そして表紙特色前回は金銀、そして今回は錆色。最高。

    今回は連載中からちょっとジェンダーバイアスのことが挙げられていたり、それ以外もあらゆるバイアスについて考えることが多かったけれど、あらためて考えるとまきさんの作品は最初からバイアスによって敬遠されがち(または崇拝されがち)な人たちが、ごく普通の人間として普通に生きていることをずっと描いているんだなとものすごく腑に落ちた。そして自分がいかにそれらのバイアスに対して嫌悪感を持っているか、だからこそ楠本作品に惹かれるのかという理由がすこーんっと入ってきてとてもスッキリ。清々しい。

    あとはもうユラくんの好きはほんとに好きだったんだなーとか、椿ちゃんは初登場シーンのあの超絶美人だけど透明なバリアバリバリ感はどこへやら某はぐちゃんみたいな美大っ子になっったなーとか、にちかちゃんやシマちゃんが吐露したような一般人からは羨望と妬みにも値するようなヒルコともあろう人が、まさか今自分が感じるような焦りや不安を感じるなんてーとか、現実世界と同じように時間の経過を噛みしめる。

    あとがきにも書いてあるけど「なるべく早い時期に、ああ、そういえば昔はそうだったね。今となっては信じがたいけど。と、言われるようになってほしい」と思う。今のこの世界だって「今となっては信じがたい」ことが山のようにあって、それをきちんと「それはおかしいんじゃないか」と考えて、それを多くの人が共有したからこそ変えられたことがたくさんある。それは常になされるべきことであって、常に「本当にそれでいいのか」と考えること怠ってはならない。

  • 色々しんどかった中学生の頃の自分に読ませてやりたかったと思った本。

  • 大好き

  • いろいろ考えさせられる。
    この本はこれまでの楠本まきの漫画とは別な位置づけかな。

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著者プロフィール

16歳の時に『週刊マーガレット』でデビュー。その後、「KISSxxxx」(集英社)、「Kの葬列」(集英社)、「致死量ドーリス」(祥伝社)などの作品で熱狂的な人気を博した。2020年には最新作『赤白つるばみ・裏/火星は錆でできていて赤いのだ』(集英社)を刊行。フランス、イタリア、アメリカ、韓国など、海外でも翻訳本が出版されている。イギリス在住。

「2021年 『線と言葉 楠本まきの仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

楠本まきの作品

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