ごほうびおひとり鮨 3 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088908939

感想・レビュー・書評

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  • ほんと、ひどい
    早川先生と王嶋先生に会って、文句を言いたいくらい
    よくも、こんなにもお腹が空く上に、鮨が食べたくなる、好い漫画を描きやがって、と
    冗談抜きで、飯テロ系の作品だ。まぁ、この『ごほうびおひとり鮨』は、鮨がテーマの食漫画だから、正確に言うなら、鮨テロ系だろう
    有体に言っちゃうと、質そのもので言うなら、小川悦司先生の『すしいち!』(全8巻・リイド社)の方が、遥かに上だ
    しかし、この『ごほうびおひとり鮨』は、現代、なおかつ、実際にあるお店が紹介されている漫画なので、寿司屋に行きたくなる衝動を、『すしいち!』より強くブチ当ててくる
    鮨や前菜の絵や、それを食べた時の、あいこさんの素人感が丸出しだからこそ、ストレートに美味しさが、読み手に伝わってくるようなリアクションも、この『ごほうびおひとり鮨』の魅力
    そこに負けない点は、親方の容姿にトーク、握り方や、店の内装と食器類が丁寧に描かれているところだろう
    同じ料理でも、皿が違い、なおかつ、盛り方にも美学が宿っていれば、その美味には特別な価値が宿る
    料金に高額、と感じる人もいるかも知れないが、私は適性料金だ、と思う
    食べ放題や回転すしでは味わえないものを、名店は私達に提供し、特別な時間を過ごさせてくれるのだから、あの値段は、むしろ、懐に優しいんじゃないだろうか
    鮨に関わらず、フレンチ、イタリアン、中華の名店も、最大の勝負は味でしているが、それを支えているのは綿密な計算の上に成立するサーヴィスなのだろう
    胃袋だけじゃなく、良い時間を過ごせた満足感で、心も充実させてこその、一流店
    そんな店は、自分にゃ似合わない、と思う人もいるかもしれないが、あいこさんの食べっぷりと楽しみ方を見てると、それは、つまらない勘違いなんだな、と思えるはずだ
    人間、たまには自分へご褒美をあげてもいい
    何が嬉しいか、人それぞれだけど、一度くらいは、頑張った自分に美味しいお鮨を食べさせてあげるのも、人間力を上げる事になるはずだ
    同志は増えつつも、基本的に店へはおひとり様で行くってスタンスがブレないのも、個人的には推せる理由だ
    どの店も、美味しい鮨を食べさせてくれるので、ハズレはない
    その中でも、個人的に気になったのは、「鮨 峯八」
    出てくる鮨が美味しそうってのもあるけど、どちらかっつーと、大将の人柄に興味がある
    この硬派さは、ぜひ、勉強させてもらいたい。もちろん、私の年齢と見た目では、真似したところで、痛々しいだけなのは重々承知だが、本質を掴み、真髄を得るには、まず、模倣だ
    シンプルに食欲を刺激されたのは、「鮨 久いち」が出してくれる、アユの姿寿司だった
    鮎の鮨ってだけでも珍しいのに、丸々一匹が使われているってのは、相当に希少なのでは
    この台詞を引用に選んだのは、深いなぁ、と震えてしまったので
    ちょい分かり辛い例えかも知れないけど、藤田作品に登場するジィさん達に負けないくらい、中身のある達人だ、と感じた、「鮨處 寛八」の親方には
    何歳であろうとも、努力と勉強は大事、しかも、結果も出しているのだから、もう、憧れるしかない
    この親方ほど中身がある達人だと、道も半ばって謙遜も、まるで厭味には感じないもんだ
    しかし、あいこさんもショックを受けているけど、確かに、この年齢の人に歓声には程遠いと言われちゃ、私ら三十代はまだまだ、ケツに殻の付いた雛だな

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