月光条例 (29) (少年サンデーコミックス)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091246172

作品紹介・あらすじ

“藤田版”御伽草子、ここに完結!!

異界の姫カグヤ=エンゲキブを巡る戦い、ついに完結! 自らの存在を賭して戦い、消えていった「おとぎばなし」の活躍により、「月の客」軍に大打撃を与えた月光たち。だが、残された軍の総力を結集し、敵も最後の牙を向く! さらに大将・オオイミの絶大な力を前に月光は…!? 6年にわたる“藤田版”御伽草子、壮大なクライマックスは必見です!!

【編集担当からのおすすめ情報】
最終巻となるこの巻は、なんと256ページの大ボリューム! 少年サンデー掲載時からの加筆・修正に加え、描きおろしのエピソードも収録! “藤田節”全開の最終回を、ぜひご覧ください!

感想・レビュー・書評

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  • ラスト。
    いや、1話目読んだときには、こんな壮大な話になるとは思わなかったです。
    それどころか、1巻前でも、こんな展開になるとは思っていなかったという凄い展開。

    たしかに、ついて行けなくて怒っている人もいるかもしれないのだけれど、わたした、これを大まじめにかいている藤田さんって、やっぱり素晴らしいと思います。

    基本、わたしはひねくれ者だし、斜に構えたところがあると思っていますが、ストレートにいろいろにものに向き合おうとする強さは、やっぱり、凄いと思いますし、素直に脱帽します。

    物語は、死なない。
    このメッセージをものすごく強く伝えてくれただけでも、物語読みとして感謝したい気持ちです。

    そして、いろいろ調べれば調べるほど、「マッチ売りの少女」から、メーテルリンク、宮沢 賢治へのこの流れ。
    藤田 和日郎、おそるべし。

  • 最高の男性漫画家によって描かれた、最高の男になる為に読むべき、最高の少年漫画
    人間として大事なモノは他の、素晴らしい漫画から学べばいい
    男が男として生きるべく備えたい要素は、全て、この『月光条例』から学べる、いや、学ぶべきだ、学ばないのはもったいない
    藤田和日郎先生の作品が読める時代に生まれて良かった、と本気で思っている私をおかしい、と言うのなら構わない。他人の罵詈雑言など、この『月光条例』を読んで、男として一皮剥けた気になれている私には痛痒にも感じない
    どこがいい、じゃなく、本筋に重要なトコ、そうじゃないトコ、どのシーンも読み手の心を打ち震わせてくる
    『うしおととら』、『からくりサーカス』に次いで、私の中の殿堂入り漫画(少年漫画部門)になったのは言わずもがなであるが、doaの『英雄』を聞きながら一巻から最終巻まで一気読みしたい漫画、第一位でもある
    読んだ人それぞれに感想があるだろう。私のように理屈抜きで感動した人、逆に「駄作」と評価する人。どんな漫画も、100人が100人、好きと言ってくれる訳じゃない。漫画だけじゃない、この世にある芸術作品、風景や生物、果ては対人の印象も、決して同じにはならない。そんな、個人じゃどうしようも動かせない当たり前の事を、「当たり前なんだから、悶々としても仕方ない」と、自分と他人が根本的に違う事を受け入れられ、同時に、違うからこそ歩み寄る意味がある、と自然に思えるようになった
    何度でも言える、私の中で藤田和日郎先生は、尾田栄一郎先生よりも、手塚治虫先生より、ものすっごい漫画家だ!! 恐らく、鈴木央先生だって、ギリギリで藤田先生を追い越せない・・・追い込めても、だ
    どこがスゴイかって、漫画家として自分が描きたい作品、なおかつ、私たち、読者に読んでほしい作品、どっちも両立した作品を描いてるんですよ。それをスゴイと言わずとして、何と言えばいいんですか? ボキャブラリーが乏しい、と言われようが、直情的な感動に任せて、スゴいと叫ぶしかないでしょうよ
    ありがとうございました、藤田和日郎先生!!
    でも、ファンとしては「お疲れ様でした」は言えても、「ゆっくり休んでください」は言えません
    もう、ホント、すぐにでも次回作に挑んでほしいです
    個人的には、『アルスラーン戦記』を別マガで連載している荒川弘先生に対抗して、田中芳樹先生の代表作の一つである『創竜伝』をコミカライズして欲しいんです。藤田先生は、今現在、活躍している漫画家、まだ、芽が出てないけれど実力は十分にある漫画家志望よりも、『創竜伝』を描くに相応しい漫画家だ、と思っているのでなく、信じています
    と言うかですね、『月光条例』が終わって以来、週刊少年サンデーを読んでいても、連載時よりワクワクできないんです。『うしおととら』と『からくりサーカス』が終わった時も、古参のファンの人は、こんな気持ちだったんでしょうか?
    ホント、私だけでなく、他のファンの皆さんのためにも、極太な少年漫画を掲げて戻ってきてくださいよ
    もう、ホント、興奮して書いたから、自分でも何が言いたいのか、判らなくなっちゃいそう
    ともかく、皆さん、『月光条例』を読んで、もっと、藤田先生を好きになってください

  • 相変わらずみせてくれる
    おとぎ話がベースだったからどうかなって思ってたけど、いつもの熱くて泣けるフジタ節が大炸裂でした。

  • 兄から借りて一気読みです。漫画初レビュー。
    「物語」に並々ならぬ思い入れを持つ筆者が、メタ構造を駆使して真っ向から「物語る」ことを描いた怪作(誤字ではないです、念のため)。

    モチーフはおとぎ話。数十年に一度、青き月光でおとぎ話の登場人物がおかしくなってしまいます。おとぎ話の長老たちが決めたただ一つの条例「青き月光でねじれた『おとぎばなし』は猛き月光で正されねばならない」=「月光条例」に従い条例執行者たる主人公がおとぎ話を正していくお話。

    序盤は作者自身がおとぎ話に抱いている不満が「おかしくなる」という形で現れます。要はおとぎ話をDisってます。一番分かりやすいのがシンデレラでしょうか。「ただ魔女に会い、魔法をかけられお城に行き、王子に見初められただけ。私は一体何をしたの?パレードで私を見つめるあの貧しい女性と私は何が違うの?」…って感じです。

    後半は長編、主人公・ヒロインの秘密が徐々に明らかになる少年漫画的な謎解きから、果てはメタ構造に至り「物語」が存在することの意味まで幅広に言及しています。

    巷ではラスボスがしょぼすぎるという批判があるのですが、「月光条例」という物語を成立させるための必須の敵役、というポジションを考えるとあの描写は仕方なかったのかなとも思います。もうちょっとうまいやり方はあったかもしれませんが。

    見せ場の描き方、収束の上手さはさすがの一言。ただ「うしおととら」「からくりサーカス」よりは少し(あえて?)放り投げるような終わり方になっています。最終話もあれはあれでありだと思いますが、個人的には「死なせて。」というセリフが一番心に残ってます。

    惜しむらくは、著作権の問題で最も肝要な設定を変更せざるを得なかったこと。本来、○○は「○○○○○」の○○という設定だったみたいです。こちらだったら間違いなく名作になってたと思います。

    色々チャレンジングで好きな作品ですが、キャラの魅力が弱いのと、上記記載の理由で★4つ。

    なお、かの名作「うしおととら」1巻の口上で作者藤田和日朗は以下のように述べています。
    「小さい頃寝る前にオヤジやオフクロによく読んでもらった「マッチ売りの少女」が気に入らなかった。なんでかわいそうな女の子がかわいそうなコトになっちまうんだよ!!だけど本のさし絵に正拳を叩き込んでもムナしいだけだ。だから僕はそのパンチを代理のヤツにぶちかましてもらうことにした。うしおととら、こいつらはつまり・・・そういうヤツらなんだ。」

    うしおととら最終巻にて、一旦はその感情に決着をつけたかのように見えました。「かわいそうな「マッチ売りの少女」が嫌いで、僕はこいつらを生み出した。少女を助けて戦うヤツら。でも少女を助けるヒーローなんざ、要らないのかもしれない。7年間、こいつらに戦ってもらってようやくわかった。だって。少女が戦わなきゃ。ただ雪の中、手に息を吹きかけて泣いてちゃ、だれもふりむいちゃくれないもの。戦わなきゃ。しんどくても辛くても、自分でやんなきゃ。(まんが描くのもね。)ああ、ああ、そういうことか。だから自分は、「マッチ売りの少女」が嫌いだったんだ。 -背中をまるめてマッチなんてすってるんじゃねえ。-なんだ、ようやく、わかったよ。「うしおととら」は、つまり・・・そういうヤツらだったんだ。」

    物語への思いが再び溢れ出た本作。作者の思いは昇華できたのでしょうか?マッチ売りの少女ももちろん出てきますよ。

  •  いやぁ、少年漫画で恋愛部分にキュンキュンするのはちょっと気恥ずかしいところもありますね。月光がやっと幸せだと言えるようになったのが嬉しいです。きっとこの後に帰ってきてくれるよね?
     物語の物語というカラクリは、藤田先生らしいテーマで楽しかったです。またこんな燃えるまんがを期待してます。

  • ついに完結。相変わらず感動のツボを押すのが上手いですね。
    本作の終わり方は読み手に考える余地が与えられているので、そういうのが好きか苦手かは別れるだろうなあ。

  • 遂に最終巻となった月光条例.....

    感無量ですね。

    ハチカヅキと一寸の最後があっさりだったので加筆されているかと思ったらそのままだったのでちょっと残念。
    ただ藤田先生が連載当初から「最後はこうする」と決めていただろう結末は中々綺麗にまとまっています。

    「流石、藤田先生!またまた熱すぎるっ!」という次回作を心待ちにさせていただきたいと思います。

    最後に加筆されたエピローグ.....

    ちょっとわかりにくかったですが「ハチカヅキさんの素顔はこの中からあなたが決めて下さい」といった感じなのでしょうね。
    個人的には右ページ下のたれ目の娘なんか良いと思いますw

  • 正直、最初の10巻ぐらいまでは「もう読むの止めようかな・・・」と思うぐらいには辛かったけど、後半の5巻はずっと泣きっぱなしだった。
    色々ゴタゴタがあって伏線の回収が無理やりだったり、明らかに中だるみしてたり、人が死なない・事件が終わったらすべて元通りっていう設定が藤田先生の良さとあんまりマッチして無かったりなど微妙なところは多いけど、物語たちが人間のため他の物語を守るっていう最終盤の展開は本当に熱かった。
    他の作品に比べると粗が目立つ作品だけど、最後の展開のために最初のあんまりなところがあったと考えるとまぁと思った。ただこれを連載で追ってた人は辛かっただろうな・・・。単行本単位で短期間で読むと評価が変わる作品だと思う。

  • うーん、再読すれば、精緻な伏線に感心出来るのだろうか。「うしお」「からくり」の鮮烈な成功体験が「風呂敷はいくらでも広げられるし、いつでも畳める」という誤った判断を作者にさせた印象。ただただその場の思いつきで突っ走るばかりでなく、じっくりと「物語」を練る姿勢を思い出していただければと思う。

  • 最終巻。作者の他の作品は大好きなんだが、この作品は最後まで今一歩という感じだった。シリアスなシーンにおとき話のキャラがどうしても違和感を感じてしまい、最後までダメだった。

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著者プロフィール

北海道旭川市出身。1964年生まれ。88年、『連絡船奇譚』(少年サンデー増刊号)でデビュー。少年サンデーに連載された『うしおととら』で91年に第37回小学館漫画賞、77年に第28回星雲賞コミック部門賞受賞。ダイナミックかつスピーディー、個性的ながらエンターテインメントに徹したその作風で、幅広い読者を魅了し続けている。他の代表作に『からくりサーカス』(少年サンデー)がある。

「2007年 『黒博物館 スプリンガルド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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