萩尾望都作品集 (〔第2期〕-13) メッシュ3 (プチコミックス)

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  • 小学館
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  • / ISBN・EAN: 9784091780331

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  • 名作読み直し週間。
    昔、小学館から出た著者の《第Ⅱ期作品集》より。
    金髪の中に一房の銀髪を持つため、
    メッシュと渾名される少年を中心とする、
    パリを舞台にした人間模様。
    収録作は、

     ①耳をかたむけて
     ②千の矢
     ③苦手な人種
    「船」

    ①家出少年メッシュを居候させている、
     お人好しの贋作画家ミロンに、
     故郷の恩人の訃報が届く。
     墓参のため、パリに出て来て初めての帰郷に、
     旅行気分でついて来るメッシュ。
     だが、故人の遺族以外は誰もがミロンに冷たかった……。
     閉鎖的な田舎町で、
     異様に自己愛の強い権力者の妻が無造作に放った一言が
     十年以上も尾を引いて、
     誤解が総員の共通認識になってしまう恐怖。
     メッシュが傍にいたお陰で、ミロンは救われたに違いない。

    ②画家志望のお坊ちゃんエトゥアールのモデルを
     務めることになったメッシュ。
     エトゥアールの母に対する、
     屈折し、縺れた感情が解けるまで。

    ③ここで言う「人種」とは race ではなく
     personality の意(念のため)。
     ネックレスの金鎖の修理を頼もうと、
     宝石店を訪ねたメッシュが巻き込まれた騒動。
     宝石店の次女は美しく優しい姉に劣等感を抱いていたが……。
     姉は一見、バランスの取れた完璧な女性のようだが、
     実は頭は空っぽ(爆)で、他者の痛みに鈍感な、
     極めて共感力に乏しい人物であることが暴露される。
     ちなみに、私もこの姉のようなタイプは苦手中の苦手(笑)。

    「船」
     これは本のページ数の都合で収録された思われる、
     「メッシュ」シリーズとは無関係の短編なのだが、
     非常に面白い!
     裕福な家庭で多忙な親に構ってもらえず、
     拗ねてプチ家出を繰り返す少年が、
     海辺で出会った中年男性。
     彼には暗い影があり……。
     「もしかしたらこうではないか」「いや、やっぱり違うのか」と
     主人公の気持ちが揺さぶられるところが
     一編の幻想小説のようで素晴らしい。

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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