- Amazon.co.jp ・マンガ (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091780331
感想・レビュー・書評
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名作読み直し週間。
昔、小学館から出た著者の《第Ⅱ期作品集》より。
金髪の中に一房の銀髪を持つため、
メッシュと渾名される少年を中心とする、
パリを舞台にした人間模様。
収録作は、
①耳をかたむけて
②千の矢
③苦手な人種
「船」
①家出少年メッシュを居候させている、
お人好しの贋作画家ミロンに、
故郷の恩人の訃報が届く。
墓参のため、パリに出て来て初めての帰郷に、
旅行気分でついて来るメッシュ。
だが、故人の遺族以外は誰もがミロンに冷たかった……。
閉鎖的な田舎町で、
異様に自己愛の強い権力者の妻が無造作に放った一言が
十年以上も尾を引いて、
誤解が総員の共通認識になってしまう恐怖。
メッシュが傍にいたお陰で、ミロンは救われたに違いない。
②画家志望のお坊ちゃんエトゥアールのモデルを
務めることになったメッシュ。
エトゥアールの母に対する、
屈折し、縺れた感情が解けるまで。
③ここで言う「人種」とは race ではなく
personality の意(念のため)。
ネックレスの金鎖の修理を頼もうと、
宝石店を訪ねたメッシュが巻き込まれた騒動。
宝石店の次女は美しく優しい姉に劣等感を抱いていたが……。
姉は一見、バランスの取れた完璧な女性のようだが、
実は頭は空っぽ(爆)で、他者の痛みに鈍感な、
極めて共感力に乏しい人物であることが暴露される。
ちなみに、私もこの姉のようなタイプは苦手中の苦手(笑)。
「船」
これは本のページ数の都合で収録された思われる、
「メッシュ」シリーズとは無関係の短編なのだが、
非常に面白い!
裕福な家庭で多忙な親に構ってもらえず、
拗ねてプチ家出を繰り返す少年が、
海辺で出会った中年男性。
彼には暗い影があり……。
「もしかしたらこうではないか」「いや、やっぱり違うのか」と
主人公の気持ちが揺さぶられるところが
一編の幻想小説のようで素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示