黄昏流星群 (25) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091873156

作品紹介・あらすじ

▼第1~5話/煌めかざる星(1~5)●主な登場人物/歌川哲彦(S市市長。49歳)、村井香織(歌川とは高校のクラスメイト。そして高校時代の恋人でもあった女性)●あらすじ/接戦の市長選挙に勝利して、はや3年。49歳の若き市長・歌川哲彦は、秘書やSPが常に帯同する息苦しい毎日を送っていた。そんな生活に疑問を感じ出したころ、ある町の環境シンポジウムに出席して欲しいという申し出が舞い込んで来た。その町というのは、歌川が中学、高校時代を過ごした町。申し出を快諾した彼は、秘書やSPの帯同を断ったうえで単身出かけていくのだが…!?(第1話)▼第6~9話/流星スケッチクラブ(1~4)●主な登場人物/石崎(スケッチクラブのモデルに誘われた男性、61歳)、高橋美佐子(スケッチクラブのリーダー、66歳)、本城加津(スケッチクラブのメンバー、64歳)、等々力洋子(スケッチクラブのメンバー、67歳)●あらすじ/61歳になって待望の年金暮らしを始めた男・石崎。しかし妻は、石崎と折り合いの悪い息子夫婦の新居に住み込んでしまったため、ワンルームのアパートでの1人暮らしとなった。生活費は1か月10万円、そのうち家賃が5万8千円、残りの4万2千円で食費、光熱費などをすべて賄うという少々苦しい生活。だが、そんな暮らしに楽しさすら覚え出したある日、スーパーで声をかけて来た女性からヌードモデルをやってみないかと誘われて…!?(第6話)●本巻の特徴/初恋の人と再会したものの殺人事件に巻き込まれた歌川。新たな恋を取るか、それとも名誉や地位を選ぶべきか…若き市長の葛藤を描いた表題作「煌めかざる星」と、老女3人と肉体関係を持ってしまった男のドラマ「流星スケッチクラブ」の2編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「煌めかざる星」46歳で市長になった歌川哲彦はある日公務で高校の頃まで生活をしていた静岡県桜川市を訪れる。市長になっての3年間思っていた以上の重責でプレッシャーのかかる市長職に忙殺され家庭を省みる時間もなくプライベートもない日々を過ごしていた。そんな生活が幸せだったのかどうか今となってはよく分からず漠然とした思いを抱えながらも久しぶりの地元へ帰ってみると誰からも注目されない開放感をしばし味わっていた。そんな時たまたま入った割烹居酒屋で高校の頃に付き合っていた村井香織と偶然に出会い意気投合しその日のうちに結ばれる。次の日歌川が参加するシンポジウムに顔を見せると言っていた村井香織であったが結局姿を現さなかった。気になって調べると歌川と別れたそのあと、家で旦那を殺した罪で警察に捕まっていることがわかった。報道によると村井は自分の犯行は否定していたが、歌川を庇うためか一緒にいたことを警察に話していないようだった。すべてを話せば自分の市長の立場も家庭も崩壊する。最初は黙っていようかと迷う歌川であったが、彼女を助けるため動き出す事を決意する。そして結果ほんとうに今まで築いたものをすべて失うことになるのだが、歌川の顔には爽やかな笑顔がひろがっていた。そして二人は誰も知らない街へと旅立った。ラストの晴れやかな表情がとても印象的。金や名誉をすべて手放して幸せを選んだ二人のこれからはさて。「流星スケッチクラブ」弘兼先生の作品史上1.2を争う面白さだった。定年を過ぎ妻と別居することになった石崎は決して余裕はないが年金暮らしで大学生以来の一人暮らしを満喫していた。そんなある日立ち寄ったスーパーで妙齢のご婦人に「ヌードモデルにならないか?」と声をかけられる。話を聞いてみるとカルチャースクールの絵画教室で知り合ったおばあちゃん三人の前で裸になればアルバイト代をくれるという。話を聞いて面白そうだと興味を持った石崎はヌードモデルを快諾するのだが、実はモデルはただの口実に過ぎず三人の経験の少ない女性たちの夜の相手になることを望まれたのだった。はじめは驚いた石崎だったが女性たちの真面目な気持ちを汲んでそのままの関係を続けることに。しかし初めはよかったが、三人の女性たちと代わるがわる夜の相手をしているうちに少しずつお互いのことを貶すような本音がちらほらと。女の本性を垣間見るような気持ちに疲れだしたその頃、息子と同居していた妻が病気で寝たきりになる。一度は別居した妻だったが長年連れ添ってきた感謝の思いから介護をすることに。そしてそのタイミングでモデルと夜の関係も解消する。二年後偶然街のギャラリーの前を通りがかると見覚えのある絵が。なんとそこには自分をモデルとした絵があった。会いに行くと二年前に声をかけてきた女性の一人だった。あれからの顛末を話し終えお互いフリーだと分かると今度は一対一でちゃんと付き合うことに。そのほかの二人はあまり良い結末ではなかったみたいだ。せめてこの二人だけでも幸せになってほしいと願う。こんな話実際にあるのだろうか?おれがそのポジションに居たらどう思うのだろうか?多分夜の自信がないから断るやろね。へへへ。(写真①モデルをしているときにエレクトしてしまった石崎)ご立派。

  • 歳とったって女でいて。歳とったって男でいる素敵な人たちのお話。

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著者プロフィール

1947年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業。松下電器産業に勤務の後、74年漫画家デビュー。
85年『人間交差点』(原作 矢島正雄)で第30回小学館漫画賞青年一般部門、91年『課長 島耕作』 で第15回講談社漫画賞一般部門、2000年『黄昏流星群』 で第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、03年同作で第32回日本漫画家協会賞大賞を受賞。07年には紫綬褒章を受章している。
主な作品はほかに、『ハロー張りネズミ』 『加治隆介の議』 など多数。現在は『社外取締役 島耕作』(「モーニング」)、『黄昏流星群』(「ビッグコミックオリジナル」)を連載中。

「2023年 『逢いたくて、島耕作(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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