- Amazon.co.jp ・マンガ (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091884916
作品紹介・あらすじ
▼第1~9話●主な登場人物/鏡島迴(ハル。弟想いの兄。父親をバットで殴り殺そうとした)、鏡島能(ヨキ。弟。暴力がはびこる家の中でも楽しげに暮らしている)、鏡島戒人(大学で哲学を教える父。息子たちに暴力を振るう)●あらすじ/父の戒人からいわれ無き暴力を受ける幼い二人の兄弟、ハルとヨキ。顔をはらして登校するハルの姿を見かねた担任の早川先生は、暴力を辞めさせようと鏡島家を訪れるが、戒人は反省の色を全く見せないばかりか、この女教師にまで暴行を…(第1話)。●本巻の特徴/毎日のように続く父親からの暴力。母親も逃げ、それでも兄弟は助け合って生きてきた。だがある日、父親はヨキだけを親戚の家に預けることを一方的に決めてしまい、意を決したハルは父親をバットで殴りつける。数日間の記憶をなくし、入院した父親はすっかり別人のようになってしまい…?●その他の登場人物/鏡島貴志・加代子・まいら(戒人の弟夫婦とその娘。お金に困っていて、現在は一家でハルたちの家に住んでいる)
感想・レビュー・書評
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全3巻
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全5巻
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胸が痛くて苦しい。
ハルちゃんもヨキも子供なのだ。こどもなのに、彼らはどこまでも冷めている…。
彼らがただ求めているのは安住の地。還る場所。
2人一緒に幸せになってほしい。
父の支配からは逃れられない。それでも、2人一緒に生きていくんだろうなあ。
ただ欲を言えば、もっと兄弟間での感情や関係を描いて欲しかった。こんな状況の家族状態の中、ずっとただ1人お互いにいた兄弟なのだ、普通に幸せに暮らす兄弟とは全く違う関係性になってもおかしくないでしょう。
もうひとつ気になったのは、このような少女漫画によく見られる愛への渇望がほとんど見られないこと。ハルちゃんもヨキも絶対淋しいと思う。かといって互いに依存しているような描写もそこまでないし…
作者の意図したメッセージが何かは明確にはわかりづらかったですが、強烈な衝撃を残したことは確かです。
全5巻 -
久しぶりに読み返した。
独特の静謐な世界が良いです。
バット、グローブ、ボールをプレゼントされた兄弟。
ハルちゃんのモノローグが印象的だった。
「ぼくはずっとバットは野球をするためにあるんだと思っていた。
投げられたボールを、打つためにあるんだと…
でももしかしたら逆かもしれない。
もともとボールじゃないものをたたいていたんじゃないか?」 -
本の雑誌の吉野朔実劇場や、映画の紹介本しか見たことがなかったので、
ぜんぜん違う容赦のない世界にショックを受けました。
まだドキドキしています。 -
昔からこの作者さんが好きだったのですが、
こちらの作品も、ものすごくヘビーで繊細。
詩的な雰囲気を漂わせながら、虐待や自殺などヘビーな問題を
サラリと描いています。
主人公の兄弟が育っていく様を見るのが、
楽しみなような怖いような。
でも本当にすごい作品だと思います。
(fujita) -
1巻はもう5年も前の発行なんですね。まだ3巻までしか出ていません。ラストがどうなるのか予測がつきませんが、兄弟に救いがあることを願います。
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苦しいです。不幸すぎて。でもこの子は幸せな思いしか残らず大人になるんだろうな。と思うと、なお悲しい。この作品を包むかすかな希望が悲しいです。
作品の中で主人公の父親が主人公に「今日はこれを読んでから寝なさい」と芥川の河童を手渡すんだけど、その意味を考えているのが幸せでした。