一人交換日記 (2) (ビッグコミックススペシャル)

著者 :
  • 小学館
3.95
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本棚登録 : 271
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091898470

作品紹介・あらすじ

愛は、そこにあったんだ。

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』『一人交換日記』と、自らの人生を描いてきた永田カビ。新たに得た友人との交流、漫画家としての活動、親との葛藤などを経てたどり着いたのは…入院!? いままで気付けなかったこと、いまだから気付けたこと、そのすべてをセキララに描き出す衝撃コミックエッセイ! 単行本だけの描き下ろし後日談18ページ収録!

【編集担当からのおすすめ情報】
「このマンガがすごい!2017 オンナ編」第3位となったデビュー作『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』、同作発売前後の混乱と未来への展望を描いた『一人交換日記』…それらを(いったん)締めくくる続編『一人交換日記2』が発売となります。
pixivコミックにて連載されていた本作は、著者の永田カビ氏にリアルタイムで襲いかかる不安や葛藤をできるだけそのままのカタチで描き出しています。しかしその内容は、決して誰かに何かを啓蒙するものでも、辿るべき指針を示すものでもありません。
「はたして『レズ風俗レポ』は世に出すべきだったのか」というところまで思いつめた(あるいは追いつめられた)永田氏の苦悩は、本作を描き終えた今も、もしかしたらこれからも続くのかもしれません。でも、それが永田氏の人生であり、本作はその「軌跡」であるということを、どうかご理解ください。そして願わくば、温かく見守っていただきたく思っております。

感想・レビュー・書評

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  • 『さみしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』『一人交換日記』に続いて今作も読み終わりました。

    p.147-p.150あたり(イギー・ポップ「音楽は(自分にとって)人生だ。人生は、売り物じゃない」の話)を読んで、こうして書籍として売っているのを私が買って読むことを通して、カビさんの人生を読まさせてもらっているんだなぁ、ということを改めて感じました。

    バカにする気なんて起きないし、ましてや踏みつけにする気は起きない。この3冊読んで感じるところが多かった私としては、ただただ「しんどかったなぁ」「よく自分でここまで頑張ったよ」という思いだけが湧いてきます。

    むしろ、入院を経て家族と少しでも通じ合えるようになっているようで、とっても素敵な歩みをしているように思います。カビさんの両親が娘の漫画を読んでどう感じたは描かれていないことではありますが、きっと読んでいく中で自分たちがしてきたことを受け止めて反省して、少しでもカビさんに寄り添おうと努力しているんではないかなと勝手に推測してます。随分懐が深くなった、優しいご両親になったなという感じが読んでいてしましたもん。
    「一族の恥」だとか、そういう受け止めはしていないんじゃないでしょうか。勘当したとか、そういうことが起こったら話は別ですけれど、どうもそういうことも起こっている感じはなさそう。むしろ、お見舞いには来てるし、病院から帰ってきたカビさんを温かく迎えてますし。

    漫画であれ文章であれ映像作品であれ、自分の人生切り売りして表現している人は計り知れないリスクを負うことになります。それこそ、「お前の人生間違ってる」「そんな生き方おかしい」とかいろいろレビューする人どうしても出てきますよ。
    関係ないもんね。そう生きて、そう感じたってことを素直に嘘つかずに表現したんでしょう。誰に「間違っている」「おかしい」っていう権利がありますか。
    自分と向き合えて、漫画にして、沢山の友達ができて、人生が変わって……幸せに恵まれたいい人生歩んでるなぁ。

    とりあえず、退院&断酒おめでとうございます。

  • 不必要で過剰な義務感、責務、自己処罰そして、他者との信頼感、安心感を生む関係性を上手く築けず、自己に執着する一方で周りの評価によって内情の漣が荒波へと容易に変化し荒れ狂う。
    彼女にとって漫画とは己のためか、他人のためか、商品か、人生かによって未来の行く末は決まってくるが、創作物は世に出れば批評される対象となるのでそれを自分自身への人物評価だと混同するのは永田カビさんにとっては精神衛生上良くないのでそこは分離して考えるべきだろうと念を押す。
    作品の評価があなたの人生を必ずしも決めるものではないでしょうから。

    人によって共感や反発を生む所はばらばらだろうが、やたら寂しいと呟き嘆き泣く姿が描かれるがそこは羨ましいと感じ入ってしまった。
    その寂しいが何なのかは置いといてもその寂しいという感情は苛むものでもあるが繋がろう、繋がりたいという意思の裏ずけでもあると思った。
    寂しさも感じずにあきらめ、諦観によって処理され、片ずけられるものからしたら寂しさは人との繋がりや結びつけの為の重要なファクターであり、砦であることを思う。

  • 何回読んでも入院の話で泣いてしまいます。
    絵が好きで追いかけてますが、
    私にとっては話も共感できたり新しい発見があったり、これは違うなと考えたりできる漫画でした。

  • 2018/03/04読了


    Pixivの連載で、ちょこちょこ見てはいたのですが
    成長というか、許容というか、愛を受け入れることができるようになったこと
    その反面、反動が恐れとなって表れたこと
    お酒と自傷が傷をつけても立ち直り
    前向きな姿でエッセイを締めくくっていること。


    人の人生であり、ここで私がとやかくレビューするのもなんだかなぁとか思いますが
    カビさんの著作は全部読んだので、なんていうかポジティブに近づいているような気はします。
    カビさんの人生が これからの人生が
    光あるものだといいなあと思う。

  • まるで自分との往復書簡

    愛されていない自分
    愛が欲しい自分
    壊れていってしまう自分

    その自分を行ったり来たりして
    未来の自分へ手紙を書く

    その時
    本当は愛されていたのかもしれないと気づく
    欲しかった愛は
    本当は、ずっと近くにそれも
    最初からあったのかもしれないと、気づく

    壊れそうでも
    絶対になくならない自分に気づいていく

    これは愛を探す
    堂々巡りみたいな
    とても小さな大冒険だったのかもしれない

    ――未来の自分へ
    そちらではいかがおすごしてですか?
    あなたは 今幸せですか?


    ――大丈夫

    手紙を書きたくなる
    あなたに 言ってあげたくなる

  • カビ先生の本読むと泣いちゃうし、お母さんに会いたくなってしまう。私の母に対する想いと似てるというか(なんていうと失礼だろうけども)…分かるなあと…。寂しくて不安で、マンションのベランダで手を振る母を振り返り、振り返り通学路を歩いた小学生の頃から変わってない自分に気づくというか。泣ける。実家帰りたくないけど帰りたい矛盾。
    エッセイ系は文章のも好きなのだけど、それはやっぱり他人の人生を見るのが楽しいからで、そのリアル(あくまでも作品としてフィクション化されてるのも分かった上で)に救いを求めるから好んで読む。有難いし、尊いことです。
    カビ先生の人生に私のメンタルが癒され救われている。凄いことだと思う!
    読み切りも載っていて1粒で2度美味しい。求人誌の成れの果てが分かりみすぎた。

  • きっと、周りの人よりも敏感で、繊細で、臆病な面もあり…。自分と似ているなぁと、共感も含めてカビさんの漫画を読ませていただいているけど、私と似ていないのは彼女がどんなに底まで沈んでも光を見つけて這い上がる強さを持っていること。 多分大人になるにつれ、なるべく痛い思いをしないように避けて通る道でも、彼女は自問自答を繰り返しながらぼろぼろになりながらも歩いて行きます。
    時には立ち止まり、過去の思いや考えに今の気持ちや答えを塗り替えしながら。 それでもいいんだ、ダメな答えなんてないんだ! とことん自分と向き合うことの意味、儚げに見えるけどとてつもない強さから、なんだか勇気をもらえました。 最期の漫画も良い!

  • なんというか、心に突き刺さる本でした。
    「さびしい、さびしい、愛されたい。ぎゅっとしてもらいたい。」という作者の気持ちが本当に読んでる側にも伝わってきました。全152ページ(ストーリー漫画除く)で何回「さびしい」と出てくるかカウントしようかと思ったくらい「さびしい」言葉があふれています。まるで寂しい感情の波が押し寄せてくるかのようです。

    私は現在一人暮らしです。やっぱり一人が寂しいと感じる時もありますし、一人が楽しいと思うときもあります。
    また、メンタルやられている時は寂しさより家族に会いたくない気持ちが勝ります。こんなズタボロの状態を見せたくないので。

    多分、気分が穏やかではない時にこの本を読んだら色んな意味で持って行かれると思います。
    体調のいい時、自分の気持ちがぶれない時に読んでよかったと思いました。うっかり読んだらぐっさり刺さりますので。

  • 誰からも承認欲求を満たしてもらえず、その苦悩だけがブクブク成長し、制御の効かない怪物と化してしまう。その不幸を目の当たりにしてしまう。
    好奇と狡猾な人間の目に晒される事で永田カビの作品は売れる。心の傷を開き血を流す事でやっと社会から認められる。
    うまくやろうとしてもうまくいかなくて社会から孤立してゆく私のような負け犬には聖書に違いない。

  • 自身の精神状態を深く自己分析して、漫画として分かりやすく表現されていたと思う。
    精神障害について学びたい人はもちろん、いろんな人に読んでもらいたい。

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著者プロフィール

大阪府在住の漫画家。著作に「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」「現実逃避してたらボロボロになった話」(イースト・プレス)、「一人交換日記1、2」(小学館)、「迷走戦士・永田カビ」(双葉社)がある。

「2022年 『膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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