西の魔女が死んだ

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092896109

作品紹介・あらすじ

「西の魔女」とは、中学生の少女まいの祖母のこと。学校へ行けないまいは、祖母のもとで「魔女修行」をすることに。祖母のいう「魔女修行」とは、何でも自分で決めるということだった。不登校の少女の癒されていく心を、清々しく描いた話題作。第44回小学館文学賞。

感想・レビュー・書評

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  • 『魔女が倒れた。もうダメみたい』
    というクセの強い言葉から始まるこの本。
    魔女と聞くとファンタジーのように聞こえるかもしれませんがそうではありません。
    始まりから倒れてるなんてどういうストーリー⁉︎と思うかも知れません。
    この本は学校での独特な女子関係が嫌になった
    『まい』が、おばあちゃんの家で過ごした1ヶ月あまりのお話。
    面白かったです。(本は基本何でも面白いけど)
    お母さんが読んでて読んだけど読んでよかったわ〜。
    最近あんまりのめり込めない本ばっかりだったから本の面白さを再認識できたわ〜。
    本って面白いわ〜。
                        END

  • 「西の魔女」とは中学生のまいの祖母のこと。学校へ行けないまいは祖母のもとで魔女修行をすることに…

    優しいおばあちゃんとの暮らしはいい意味で甘えさせすぎない、自立を促す生き方の練習のようで、正しく食べて働いて寝るという基本的な事を教えてくれる。

  • まいは小学校を卒業し1か月程たった頃、中学校にはもう通わないときっぱりと母親に宣言した。母はまいに不登校を続けていた理由をたずねることはせず、田舎の祖母の家でしばらく暮らしてみることを提案する。
    母親が単身赴任の父親と電話で話す内容から、自分は母親をがっかりさせてしまったと感じとる、まい。
    祖母にもそう思われてしまうのではないかと不安な気持ちを抱えつつ、大好きなおばあちゃんの家へと向かう。

    久しぶりに会った祖母は、まいと一緒に暮らせることをうれしいと話し、まいが生まれてきてくれたことを、心の底から感謝しているのだと教えてくれた。

    周りに民家のない田舎の暮らし。野菜を育て、家で飼っているにわとりが生んだ卵を朝食にいただく。昼には掃除や庭仕事をし、夜には縫い物をして過ごす。
    規則正しく、丁寧に毎日を繰り返していく祖母。年齢を重ね、経験による実感のこもった祖母の話は味わい深い。まいは特別な能力を持っているらしい祖母の話から自分も魔女を目指して修行することを決める。
    魔女にとって大切なことは、自分で決めることとそれを最後までやり通すことだと祖母はいう。
    そのために生活を見直し、周りの人に流されたり心を乱されることのないよう、自分と向き合っていこうとまいは努力する。

    とても情緒的で、美しい文を堪能できる喜びでいっぱいになる。情景の描写の鮮やかさも会話の中から滲んでくる温かみも梨木さんらしく、うれしくなってくる。
    まいの少女らしいまっすぐな気持ちや正義感、人を思う気持ち。祖母の丁寧な暮らしぶりと穏やかな言葉の中にある毅然とした力強さ。
    読みながら、時間にただ流されて思考停止している毎日を恥じたり、また自分の弱さを認められる強さもあるのだよと背中に手を当てられたような温もりを感じたりした。

    恐らく読んだ時の自分の状況によって感じ方がずいぶん変わってきそうな本だ。誰の立場で読むか。現在自分が対峙しているものは何なのか。その時々で、気づくことも見えてくる情景も大いに変化するだろう。再読が楽しみである。そのとき、私はどのような感想を持ち、その感想にどのような自分が映し出されるのか。

    1か月ほど祖母と暮らした家から、いよいよ自宅へ戻ることを決めた頃、ようやく、まいの口から不登校になった原因が語られる。

    うーん。ここまで待つのは相当難しいよね。
    人は時間の経過(もちろん、人それぞれの時間が必要ではあるが)とともに、自分が整理され、語る言葉を見つけ出す。それを周囲が急かすことなく、同情のような脅しによって追い詰めることなく、じっと待っていられるか。
    こちらがきっかけを与えたとしても、相手が自らそうしよう、そうしたいと決めるのを待つためには、相手を信じ、その人の力を信じ、必ず人は成長するのだと信じるほかはない。

    最後の最後に守られた祖母の約束。亡くなった後に残るその人のぬくもり。
    別れを経験したすべての人に、失った人を愛情に満ちた気持ちで思い出させる余韻を残している。

    追記
    お仲間さんに、「文庫には、その後のストーリーがあるそうだけど、知ってる?」とたずねたところ、「どうだったかなあ・・。うちにあるから、貸しましょうか?」ということで、それを、読むことができました。
    また、あとがきも素敵で、おまけの楽しみを手に入れることができました。

  • 大好きな作品。
    今回で三読目。

    初めて声に出して読んでみた。
    母が洗い物をしている時に、その時自分が面白いと思っている本を読み聞かせたりしていて、先々月くらいから時々この本を読んでいた。

    まいのまっすぐで、けなげな言葉も、おばあちゃんの優しくてクリアな言葉も、とても好きだ。
    所々、涙でつまって読めなくなりながらもラストまでたどり着いたのに、最後の2ページは全然読めなかった。
    おばあちゃんがまいに残したメッセージの優しさに涙が止まらない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「映画では小説とは違うところで」
      映像と文章では伝わり方が違うからでしょうね。

      観る(読む)時に、悲しそう?だと身構えてしまうかも。。。先...
      「映画では小説とは違うところで」
      映像と文章では伝わり方が違うからでしょうね。

      観る(読む)時に、悲しそう?だと身構えてしまうかも。。。先入観無くさなきゃ。
      2012/08/01
    • takanatsuさん
      「先入観無くさなきゃ。」
      泣くって書きすぎました。すみません…。

      「先入観無くさなきゃ。」
      泣くって書きすぎました。すみません…。

      2012/08/02
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「泣くって書きすぎました」
      いえいえ、それだけのコトがあるのでしょう。。。
      「泣くって書きすぎました」
      いえいえ、それだけのコトがあるのでしょう。。。
      2012/08/04
  • なかなか面白く読めました。
    たしか映画化してたはず…
    映画館が見たくなりました。

  • 読みやすく確かに読後は泣いた。でもなぜ祖母がイギリス人?ハーブやキッシュが野沢菜やおやきではダメかやっぱり?。私の祖母も亡くなった時、不思議なことが起こりました。女は年取ると皆魔女になるのかも。

  • 魔女というのでファンタジーかと思っていましたが、少女の成長物語がメイン。

  • 魔女って特別な存在のようだけど、おばあちゃんの言う魔女には、誰にでもなれる可能性があるんじゃないかな。

    毎日を丁寧に生きること。
    周りに流されすぎないこと。
    固くなりすぎないこと。

    シンプルに丁寧に。
    それはきっととても難しいことだけれど。

    私もいつか、おばあちゃんみたいな魔女になりたい。

  • 以前読んだ「ハッピーバースデー」では、
    おじいちゃんとの交流が心温かかったけど、
    この本は、おばあちゃんとの交流。
    心の拠り所としての場所。
    おばあちゃんってそういう存在。
    私もそうだったな~~~
    凄く読みやすい本でした。

  • わぁ、なんて素敵なおばあちゃんなんでしょうヽ(◎´∀`)。

    日本のおばあちゃんって、
    ただただ孫を甘やかして、可愛がるイメージしかないけれど、

    外国の人はちゃんと一人の人間として接している人が
    多いような気がしますねぇ。

    こういう自給自足みたいな生活は、私のおばあちゃんもやってたので
    懐かしく思い出しました(人´エ`*)。

    畑とか、保存食作りとか、今そんな古いの流行んないじゃんっていう
    意見もあるとは思いますけど、知ってて損はないかと。。。
    あと戦争中の話も貴重です

  • 心が弱っていた時に読んだ本です。

    * 望まない声が聞こえた時は直ちに無視するのです。反応してしまうと次々と悩まされることになりますよ。

    * 鍛錬。鍛錬。

    * まずは基礎力を身につけましょう(生活を整える)

    おばあさんの言葉が優しくスーッと入ってきて、自分はあまり再読しない派なのですがこれはたまに読み返します。常にそばに置いておきたくなります。

  • こんなおばあちゃんがいたらなって思った

    暖かくてまいは本当に救われただろうな。
    自然ってやっぱり癒されるよなあと改めて思った。

    アイノウ。が、体の芯まで伝わってくるというか聞こえてきました

    ほっこり

  • こんなおばあちゃんになりたいです。

    魔女と呼ばれたおばあちゃんと魔女修行をする不登校になった孫の話。
    修行といっても、自分で決める事とか、決めた事を実行する事。
    生きる為の基本の修行みたいですね。

    おばあちゃんとのスローライフがとても素敵で、
    バタバタ過ぎていく日常をもっと大切にしたくなりました。



  • 児童文学でもあるし、一気に読めた。思春期の少女の心の動きがよく描写されていた。おばあちゃんの暮らしのような生活は私のばあちゃんとよく似ていた。ラベンダーの花の上に干したシーツはきっと爽やかだろうなぁ。でも私はそんな生活では体力が持たない気がするし、到底魔女にはなれそうにはない。

  • 思っていたよりも柔らかな物語だった。
    だけど全てが上手く行くようになった話でもなかった。
    ひとにはそれぞれの生き方がある。
    でもそれはそう簡単には見えないし、日々自分自身も必死に生きているから、人の生き方まで考えている余裕がない。
    あの場所の、あの時間は、彼女にとってそれを考える時間になったのかもしれない。
    おばあちゃん、おじいちゃん、おかあさん、おとうさん、ゲンジさん。
    それぞれの生き方、考え方。
    それぞれが自分と違う人間で、血分と違う考え方を持っている。
    どれが正しい訳でも、どれが良い訳でもない。
    そういうものをゆっくり見て、考える時間。
    それぞれの生き方が違っても、それぞれを愛することができる。
    その事実。

  • 中学生の頃に読んで
    涙が止まらなかった本。

    映画も素敵だけど
    やはり原作がすごくすき。

  • どうなるんだろう…どうするんだろう…と思いながら読み進めてラスト、感動します。誰にでも訪れる、あんな気持ち、こんな思い、に自分を重ねて軽くカタルシス。誰にでも大切な人はいてその人との永遠の別れもやがて訪れる。そのあとも自分の命は続いていて陽はまた登り繰り返す。強くなるってこういうことかと勇気をもらえます。何より西の魔女からのサプライズに胸をうたれます。

  • 高校のとき学校が楽しくなかったときに図書館で出会った本。すごく楽になったのをよく覚えてる。買おうと思って本屋に行ったら装丁が素敵になっていてうれしかった。社会人になってからだから10年後?映画化はびっくりした。彼女の世界観や空気感は万人受けしないから難しいよね。と思いつつ観に行きました。

  • 不登校になった中学生のまいは、一時的に田舎のおばあちゃんに預けられることに。おばあちゃんは日本に帰化したもと英国人で、「魔女」の血を引くと言う。魔女になるには意志の力を鍛えること、生活習慣を良くすること、偏見にとらわれない、憎しみに負けないこと。おばあちゃんのもとで魔女修業に励むまいのこころの成長を描く。

    世代間交流を通してのひと夏の疎開みたいな物語は、映画にもよくあるけれど、読みやすく、かつそれでいて哲学的示唆のあるこんな物語は珍しい。学校での孤立はいつの時代もあるが、それをいまどきの友ダチ論で薄めてもいない。

    おばあちゃんは存命中に人生を生きていく中での大切なことに気づかせてくれる。しかし、ひとは死んだ時こそ偉大な教材になるのではないだろうか。ラストでひさしぶりに泣いてしまった。子どもにはぜひとも読ませたい名作。

  • 話の筋だけを言えば、不登校になった中学生がおばあちゃんちでしばらく過ごしてみる、という話。
    庭に生える木いちごだとか、あらったシーツはラベンダーの茂みの上に広げて乾かすだとか、素敵なことが沢山描かれていた。

    現実は現実だし人間は完全ではないし、戦うんじゃなしに時にはいなして生きていく…しかない。みたいな、そういう生々しい現実を生きる話だった。

    描かれる魔女の超能力も、なんだろう、「気のせい」とか偶然とか、冷静になればそんな風に説明できる奇跡しか一貫して行われないのに、それでも魔法にかけられたみたいになってしまう。
    清濁併せ呑んで大人しく大人になっていくしかない、そういう「ピュアな子供じゃいられない」という変化や成長が、きらきら輝くものに感じられる。そんな素敵な物語だった。
    読んでよかった。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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