サド復活 (P+D BOOKS)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 42
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093522021

作品紹介・あらすじ

澁澤龍彦 渾身の処女エッセイ集

マルキ・ド・サドの思想を縦横に紹介しつつ、フーリエ、マルクス、トロツキー、ブルトン、バタイユなどの精読を通して、テロル、暴力、自由、美、ユートピアなどについて独自の考察を開示し、自らの文学的位相を確然と宣言した記念碑的なエッセイ8篇。
「ソドムの120日」を始めとするサド文学論や、サドの生涯を簡潔かつドラマチックに密度濃くまとめた小論等、筆者の冴え渡る筆遣いで、20世紀のサドが生き生きと甦る。
サド的明晰性につらぬかれた筆者の過激な想念が、いま再び思想の〈現在性〉を問う、澁澤龍彦31歳時の“渾身”の処女エッセイ集である。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログ献本企画当選でいただいた本。
    ぱらぱら読むうちに、まてよと。先に『悪徳の栄え』を読まないとわからないのでは? と思い当り、『悪徳の栄え』をざっくり目を通してから読み始めた次第。
    これは、サド侯爵を教材とした、人生哲学を考察する評論集です。
    著者の澁澤龍彦氏は、マルキ・ド・サド著『悪徳の栄え』の翻訳者なわけで。それはもう悪徳の限りを尽くた内容だったわけで。悪の張本人は、罰せられることも殺されることもなく、ますます富を増やし新たな地位へのぼりつめていくわけで。まあ、地獄へ落ちたとしても、笑って逝くと思うわけで。
    彼は、サドの哲学に興味をもって、その精神、思想の背景や生い立ち、行動などを徹底的に研究したくなったと見受けられる。
    ある意味、サド愛があふれてる。
    文学のフィクションだからこそ描けた世界が、「人間の虚無に対する救い」とまで語る。サドの小説より、澁澤龍彦氏の考察の方が興味深い。(サドの方は残酷すぎて辟易)
    社会に縛られない自由と、それが許されない重荷からの解放の手段が、想像力であり、文学であり、映画だったり。
    想像のなかで自由を得る快楽。澁澤氏が、サドに傾倒する理由がやっとわかった気がした。
    諸刃の刃のように危険なことには間違いないが。

  • P+D BOOKSの他の澁澤作品と比べると、他の2冊が力の抜けた感じのエッセイに近かったのに対し、これは論文に近い印象を受けた。要するに、随分と難解だった。サドについて全く予備知識がなかったのもあるだろうけれど、最初の方の論考は正直あまり理解できたとは言い難い…。
    一番興味深く読んだのは、サドの評伝として書かれた表題作「サド復活」だった。前述の通りサドのことをほとんど知らなかったので、その波瀾に富んだ人生を興味深く読んだ。また、他の論考でサドの文学的意義などの熱弁にも感じ入るものがあったが、『ソドム百二十日』のあらすじを聞いただけでげんなりしてしまい読むのはもっと元気なときにしようと思いました…。

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  • ▼電子立ち読みあります▼
    http://shogakukan.tameshiyo.me/9784093522021

    澁澤龍彦 渾身の処女エッセイ集。  

    マルキ・ド・サドの思想を縦横に紹介しつつ、フーリエ、マルクス、トロツキー、ブルトン、バタイユなどの精読を通して、テロル、暴力、自由、美、ユートピアなどについて独自の考察を開示し、自らの文学的位相を確然と宣言した記念碑的なエッセイ8篇。  

    「ソドムの120日」を始めとするサド文学論や、サドの生涯を簡潔かつドラマチックに密度濃くまとめた小論等、筆者の冴え渡る筆遣いで、20世紀のサドが生き生きと甦る。  

    サド的明晰性につらぬかれた筆者の過激な想念が、いま再び思想の〈現在性〉を問う、澁澤龍彦31歳時の“渾身”の処女エッセイ集である。

  • 「私たちの生きている時代を牢獄の時間でないと見るひとにとっては、サドの文学は無縁である」と著者はいう。まさに自分はサドと無縁だ。しかし、この本は面白かった。

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。東京大学フランス文学科を卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介。また「石の夢」「A・キルヒャーと遊戯機械の発明」「姉の力」などのエッセイで、キルヒャーの不可思議な世界にいち早く注目。その数多くの著作は『澁澤龍彦集成』『澁澤龍彦コレクション』(河出文庫)を中心にまとめられている。1987年没。

「2023年 『キルヒャーの世界図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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