- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093523448
作品紹介・あらすじ
永遠の野球少年の胸に染み入る直木賞短篇集
思春期の頃、年齢の近い叔母に密かに寄せた熱い恋心。亡くして初めて知った父の意外な一面。トレードに出されたベテラン・プロ野球選手とリストラ進行中の会社に勤める中堅社員という、岐路に立たされた男2人の友情。輝かしい成績を残しながらも突如プロ球界を去った名投手の秘密……。
野球をモチーフに、野球少年なら誰しもが通過するホロ苦い挫折、郷愁などをさわやかに描いた短篇集(野球描写がない作品を1編収録)。胸に染み入る第113回直木賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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1995年の113回直木賞受賞作。
P+D BOOKで図書館からお借りする。
初めてなのだけど、ペーパーバックとデジタルの略称なんですね。小学館で過去の名作を取り上げているようです。知らなかったですが、B6版で読みやすいなと思います。
赤瀬川さんは、野球をテーマにしたり絡めたりした作品を多く書いています。
こちらは5編の短編からなり、それぞれ独立した小説となっています。
うち4編に野球が関わっています。
「ほとほと…」
主人公は、中学生。万葉集の
かへりける人きたれりと云ひしかば
ほとほと死にき君かと思ひて
の “ほとほと”から。
父親を失い貧しい家計を助けるため、アルバイトに勤しむ心優しき少年。母の再婚を前に好きだった若い叔母へ恋心を告白する。少年乃恋心は、大人の都合の中で消えていく。
「夜行列車」
高校卒業した18歳。
父親の失職から大学進学を諦め、東京で銀行に勤める青年。密かに翌年の東大受験を目指す。友人達の大学生としての今を見る。自分はどこへ向かうのか。受験は失敗して、好きな女性は東大卒のエリート社員に持っていかれる。
当時ならよくある話なのだろうけど、なりたい自分を探す姿が懐かしく。
「陽炎球場」
ここから、成年時代となる。
会社に見切りをつけようとしていた男性が、同世代のプロ野球選手の友人が、新しいチームで再び活躍するのを見る。彼の勇姿を見て自分もと。
「春の挽歌」
国鉄を理不尽に追われた父親。その父親の葬式に集まった野球選手達から、父親が彼らを支えていた事を知る。
「消えたエース」
壮年の男達。
絶頂期に理由を言わずにプロ引退したピッチャー。30年ぶりに再開した元新聞記者。
彼は、妻亡き後、息子を育てるため板前となっていた。父親の背中を見ながら育った息子。
息子が選んだ道は、思いがけず、プロ野球選手だった。
この親子と元新聞記者がキャッチボールする場所が、今回の地震の能登羽咋の千里浜でした。
それぞれに、当時の小説家や野球選手の名前が挙げられていて、主人公の年代を徐々に変えていく。ストーリーに繋がりはなくても、5作がまとまっていく感じが好きでした。 -
後半の物語ほどすごくなる。直木賞はダテじゃない。後ろの2編は驚きと感動。
初めて聞いた。P+D BOOKS
昭和の文芸名作を……と、書いてある中で栗本薫さんの「魔界水滸伝」なんかも入っててちょっと笑...
初めて聞いた。P+D BOOKS
昭和の文芸名作を……と、書いてある中で栗本薫さんの「魔界水滸伝」なんかも入っててちょっと笑った。場違い感が強い。
でも良い作品揃えてあって、びっくりした。
でも良い作品揃えてあって、びっくりした。