- Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093621229
作品紹介・あらすじ
女三の宮、宇治の大君・中の君、浮舟など、主だった女性たちの登場で、物語はいよいよ佳境へ。複雑に絡みあう恋人たちの愛のもつれを丹念に解きほぐし、物語の女君たちに、一人称で心の内を語らせた新しい恋愛小説。千年を隔てた恋愛小説の競作。
感想・レビュー・書評
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華々しい上巻とは対照的な、晩年の光源氏の苦悩を描く下巻。筆者が尼という事もあり、光源氏に愛された女性達が出家していく場面の描写には何か鬼気迫る物がある。特に紫の上が死の間際、出家する瞬間の女性達の心境を悟り、光源氏への深い憐れみを覚える場面は息をするのも忘れるほどだ。「光源氏に愛された女性は一人として幸福になっていない」とまえがきにも書かれていたが、全てを読み終えた今、源氏物語の原文の随所に散りばめられていた光源氏の「不吉なほどの美しさ」という表現を思い出し、鳥肌が立った。
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【鈴木琴子先生のオススメ : 今も昔も変わらない人の心がわかる本】
「源氏物語」を、物語に登場する女性たちの“語り”という形式を取り、物語の進行に沿って現代文で訳した本です。瀬戸内さんの生き生きとしてすばらしい文章により、1000年も前の女性たち情感に引き込まれていきます。“愛情”“嫉妬”“尊敬”“受容”など人の心は、1000年前も現代も変わらないのだということがわかります。本編のストーリーをまだ知らない人は、マンガ「あさきゆめみし」をざっと読んでから、こちらの本を読むともっと実感がわくでしょう。
【配架場所】図書館1F開架 913.6/SET