逆説の日本史17 江戸成熟編

著者 :
  • 小学館
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093796873

作品紹介・あらすじ

幕末前夜の「闇の歴史」を暴く!

シリーズ累計430万部突破の歴史ノンフィクションの第17巻。
第1章では、東北地方から北海道、さらには千島列島まで、独自の文化を育んできたアイヌの歴史を照射する。和人が蝦夷地に進出する契機となった北東北の争いから和人の過酷な仕打ちに端を発した「アイヌ三大蜂起」。さらには、老中・松平定信が蝦夷地調査報告書を黙殺した理由にも迫る。第2章では、幕末に燎原の火の如く盛り上がった尊皇攘夷思想の源流ともいえる国学思想の成り立ちを荷田春満、本居宣長、賀茂真淵、平田篤胤ら「国学四大人」の軌跡を通じて解読する。第3章では、天保の改革に挑んだ徳川幕府が「祖法大事」と変革の波に乗り遅れる様を詳述。優秀な官吏が国の行く末を見誤っていく歴史をあますところなく活写する。第4章では「なぜ日本の道路舗装率が中国・韓国などより低いのか?」という命題からいたずらに開発に走らず、身の丈にあった暮らし、完全リサイクル社会を実現した江戸の暮らしに陽をあてている。

感想・レビュー・書評

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  • 2019年3月7日、津BF

  • 2017/1/17 小デジ2016年売り上げランキングベスト300にて¥767を¥536にてDL購入。

  • 20161005

  • 結局、江戸時代に馬車が使われなかった理由は明らかになっていない
    最後まで説明してほしいものですな

  • 江戸時代が分かれば、同じ過ちを繰り返してきた現代政治への処方が見つかるはずだ。

  • 第1章では、東北地方から北海道、さらには千島列島まで、独自の文化を育んできたアイヌの歴史を照射する。和人が蝦夷地に進出する契機となった北東北の争いから和人の過酷な仕打ちに端を発した「アイヌ三大蜂起」。さらには、老中・松平定信が蝦夷地調査報告書を黙殺した理由にも迫る。
    第2章では、幕末に燎原の火の如く盛り上がった尊皇攘夷思想の源流ともいえる国学思想の成り立ちを荷田春満、本居宣長、賀茂真淵、平田篤胤ら「国学四大人」の軌跡を通じて解読する。
    第3章では、天保の改革に挑んだ徳川幕府が「祖法大事」と変革の波に乗り遅れる様を詳述。優秀な官吏が国の行く末を見誤っていく歴史をあますところなく活写する。
    第4章では「なぜ日本の道路舗装率が中国・韓国などより低いのか?」という命題からいたずらに開発に走らず、身の丈にあった暮らし、完全リサイクル社会を実現した江戸の暮らしに陽をあてている。
    アマゾンの商品説明より

    とにかく面白いです。歴史好きなら必読ですね。逆説の日本史もシリーズ17作目です。毎回、一人の人が通史を書く必要性を、強く感じます。通史だからこそできる解説と指摘。幕末が蝦夷地から始まったこと、幕末の思想史に欠かせない平田篤胤のこと、黒船外交の失敗など、興味尽きません。幕末ファンなら、この巻だけ読んでも十分楽しめます。お勧めします。

  • アイヌ史、幕末の巻。相変わらず石原慎太郎並の再軍備論には辟易しますが、基本的には面白い。

  • 17巻。

    アイヌ民族の成立と展開、
    国学の成立と展開、
    幕府外交と天保の改革、
    ユートピアとしての江戸、
    というテーマで読み解く。

    これまでの巻から一貫して続いてきた、
    吉宗や松平定信らの朱子学信者批判が
    この巻でピークに達している感じがする。
    もっとも、「排他性・独善性」という朱子学の
    問題点を厳しく指摘する一方で、
    物事にはすべて両面あって、プラスの効果も
    なかったではない、としているのがさすがにフェアである。
    それは何かというと、
    「明治維新を通じても外国と通じた国内勢力」が皆無
    であったこと。
    確かにほかの国の歴史を見れば、外国と通じて時の権力を
    倒そうとして、結局外国に飲み込まれる事例があるのに比べると、
    それがなかったのは、朱子学的排他性のおかげは大きいのかも
    しれない。
    とはいえ、開国と近代化をいたずらに遅らせたのはやっぱり
    朱子学の影響なんだろうなぁと思うと、害の大きさには
    唖然とするところも多い。

    見事なまでに、現実論者たちを策謀の限りを尽くして
    要職から追いやり、あるいは死に至らしめる朱子学的独善性は
    すさまじい。
    そして、今の学校の日本史では水野忠邦は「改革者」であり、
    次の老中の阿部正弘はほとんど触れてもらえないが、
    実際には守旧派・重農主義者が水野であり、阿部がその異常路線を
    修正していたのだから、
    なんというかマルクス主義の残存がいまだにあるんだろうかという
    感じがする。

    ユートピアとしての江戸という話は、
    とりわけ道路舗装率と、上水道があっても下水道がない話が
    なるほどなぁと思った。
    馬車というテクノロジーを朱子学的姿勢で拒み続けたゆえに、
    道路は未舗装のままだった。
    定信の「そんなもんが広まったら飛脚や駕籠かきの仕事がなくなる」
    というのは、庶民思いの美談のようにも聞こえるが、
    実際は朱子学的な「変化への恐れ」でしかないのだろう。

    だが、今日の日本政府や大企業のいくつかを見るに、
    この朱子学的な変化への恐れは実に病巣的な現実としてあるよなぁと
    思う。
    たとえば神門善久氏が著書で指摘するような
    「地方零細農家の土地利権保護」によって、農産物の競争力を
    上げさせないようにしている状態は、まさに同じではないか。
    しかし、口では「自給率向上」とか「農業を守る」とか言っているんだから
    無茶苦茶である。

    家電メーカーなどは、海外の低コスト戦略や、ローカライズ徹底戦略くらい
    この情報化のご時世、よくわかってはいただろうに、
    改革して失敗するのが嫌で、実際放置したら今再起不能を思わせるような
    ひどい状況を招いていたりとか。
    対して、90年代終わりの時点で赤字体質が限界にきていて、
    そこで思い切って外国人経営者を招き、短期間で劇的に体質改善を行い、
    強い組織を作ってきた日産のような会社は対照的だ。
    薩摩、長州藩の行財政立て直しに通じるものがある。

    たぶん、日本人は、一回変化のベクトルが確定的になれば、
    そこからの付和雷同的な一丸行動は得意なのかもしれないと思うんだが、
    その「変化トレンドを決定づける」までに至るのが遅くて、言い訳ばかりで
    ちっとも進まないのだろう。
    まぁ、それは著者が指摘するように、聖徳太子が十七条の憲法のあたりで
    見抜いていたことは、今なお変わっていないということかもしれないが。
    言霊にしても同じく。
    たとえば受験生に対して「縁起が悪いから落ちるという言葉は使わない」
    などというおもしろ言霊イズムをなんら疑いなく皆で合意している国は、
    ほとんどないように思える。

    通史的視点によって、気づかされることは本当に多い。

  • 「逆説の日本史」という標題が誤解を与えた。
    無理に「逆説」を作ろうとして無理があるかもしれない。

    歴史が勝者の歴史であるかぎり、その他の歴史はいろんな説を提示できるはずだ。
    「アイヌの歴史」という本に、狩猟採集だけがアイヌじゃないという、一面的な歴史観に対する批判もある。
    逆説という必要はないかも。

    シャクシャインの戦いを中心に江戸後期について詳しい。
    同化政策が差別以上に悪であることを述べている。

  • この巻は、個人的には見どころ なし。目新しい情報はなかった。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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