- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093801102
作品紹介・あらすじ
「アマゾン・エフェクト」の正体を見た!
〈「とてつもなく大きくなったなぁ……」と気圧されるような思いに陥った(中略)私がアマゾンの物流センター内部に足を踏み入れるのは15年ぶり〉(第1章より)
“世界最大の小売企業”アマゾンによって、いまや日本市場は制圧されつつある。果たして、その現場では何が起きているのか――「アマゾン・エフェクト」の実態に迫るべく、著者は『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』以来、15年ぶりにアマゾンの巨大物流センターに潜入する。さらに、即日配送、カスタマーレビュー、マーケットプレイス、AWSなど、アマゾンのさまざまな現場に忍び込んでは「巨大企業の光と影」を明らかにしていく。私たちはこのまま何も実態を知ることなく、「アマゾン帝国」に支配されていくのだろうか……日本人に大きな問いを投げかける力作ルポルタージュである。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の横田氏は、日々の生活用品をほとんどアマゾンで買いそろえています。さらに、アレクサに頼んでニュースを聞き、映画はアマゾンプライムで観て、漫画や小説はキンドルで読んでいる。どこにでもいるアマゾンユーザーに過ぎなかった著者が、たったひとりでこの巨大企業の実態に迫りゆく。「巨象に立ち向かうアリ」の奮闘をご覧ください。
感想・レビュー・書評
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この本が出版されてもう2年が経つので、内部事情はかなり変化しているであろう。
かなり大勢の人がamazonを利用しているし、プライム会員であろう。
内部事情を知れば知るほど中で働く人は、心休まる時が無いじゃないかと思ってしまうが…
ただここで何かしら購入している者としては、迅速丁寧な商品発送を望むので、仕事内容についてはどうしても他人事になってしまう。
経営者の人間像についてもそうだが、弱肉強食的な気質で上を目指す小賢しさ、と。多かれ少なかれそういう人が上に立つのかなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
企業が大きくなりすぎると、皺寄せを食うのは末端の作業員なのかもしれない。しかし過酷な労働環境とはいえ、選択肢のない強制労働ではないのだから、自分の価値観と合わなければ辞めればいいはず。派遣のバイトまでが「アマゾン様」と呼ぶのは滑稽だが、労働組合が会社を敵視し、「小規模のストを計画的に行うことで、アマゾンの経営に打撃を行うような戦略をとっている」と自慢気に話す組合員には疑問を抱く。経営に打撃を与えつつ自分の給料はしっかり主張するという矛盾。そうまでしてなぜアマゾンに居座り自分の時間を捧げお金を受け取るのか。アマゾンを恨みながらマーケットプレイスへ登録する企業も少し違うのではないかと思う。アマゾンも営利企業でボランティアではないため、アマゾン側に都合がいいようにルールを変えていくのは当然のことではないか。とはいえ本書は新しい視点からアマゾンを見ることが出来るので面白い一冊ではある。
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ネットショッピングと言えば…「amazon」
そう答える人が多いだろう。
私の友人の多くは、ショッピングをするのも、映画を観るのもTVを見るのも「amazon」にお世話になっている…という。
GAFAの一つである「amazon」
急成長の影に隠されたことを追求するためにライターの横田増生さんが倉庫への潜入、関係者へのインタビューなどを重ねて書き上げたノンフィクション
実際の倉庫での作業
関係者インタビュー
アマゾン急成長のヒストリー
アマゾンの儲けの仕組み
(マーケットプレイスという罠)
フェイクレビュー問題
など…
「amazon」という仕組みがよくわかる。
そしてうっかりハマってしまいそうになる
行動経済学的な販売方法や働き方の現場などの仕組みも…
バタフライエフェクトならぬ
「アマゾンエフェクト」
その影響は計り知れない
「購入するということは支持するということ」
私は購入する時にいつもこの言葉を思い出す。
さて、イマドキのネットショッピングで
そんなことを考えて買い物をする人はいるのかどうか…
いて欲しいけど安さに目がくらんでしまうと
なかなかそうではない人が多いのも事実。
そうそう、
以前、「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」を読んでたのだけど、辛すぎて途中でやめちゃったのだけど…この本読んでやっぱりもう一度読み直そうかな…。 -
今や世界に冠たる企業となったアマゾンを、倉庫への潜入調査はもとより、国内外の関係者、著者と同じく倉庫へ潜入調査した海外のジャーナリスト、ウエブサイトや本から得られる創業者ジェフ・ベゾスへのインタビュー記録等々多方面から、その巨大でかつ、どう猛な実態を明らかにした渾身のルポ。
まずは、自身による15年ぶり2度目の物流倉庫潜入ルポからは、死亡事故も発生するような業務の過酷さと非情な労働者管理の実態を明らかにし、その後はアマゾンの荷物を運ぶドライバーに密着取材、並行して配送業者が変わった経緯も解説。
そして日本だけではなく、ヨーロッパで著者と同様に物流倉庫に作業員として潜入調査をした複数のジャーナリストへのインタビューを行い、ヨーロッパでも倉庫作業員は日本と同様な悲惨な境遇に置かれていることを確認している。
また、ジェフ・ベゾスの生い立ちと創業までのヒストリーの概要を記すことで、アマゾンの企業姿勢のルーツを明らかにしたり、巧妙な租税回避についてや、日本における取次を排除した直販等の書籍流通への介入等々、多方面からアマゾンを見れるようになっている。
私も今まで通販のほとんどはアマゾンを利用してきたが、便利さと安さは本書で明らかにされたゾッとするような内容に支えられているものだったとわかり、全面的には難しいにせよ、一部だけでもアマゾン以外のルートでの購入に切り替えることにしようと決意した次第。
アマゾンを一度でも利用したことのある人には、ぜひ読んでもらいたい本である。 -
潜入記こそジェームズ・ブラッドワース『Hired』とほぼ同じだったが、それ以降の記述は圧巻の出来(ちなみにブラッドワース氏のインタビューもあり)。アマゾンというか、ベゾス氏の新自由主義およびリバタリアニズムまるだしの無慈悲かつ苛烈な商売の全容(たぶん)が網羅されており戦慄した。
搾取、タックスヘイブン、情報商材、マウント取ったら問答無用でギリギリ締める。すべての手段を使ってボロ儲け。そもそも、書籍販売を選んだ理由もすごい。本が好きだったからとか、尊敬するお爺さんが本屋さんだったから、などという可愛らしい物ではない。腐らないし管理しやすいから。それだけ。そんなドライな視点で本を見たことないから正直たまげた。あくまでも、これから来るであろうネット社会の大波に乗って稼ぐための手段だったそうだ。そして、その姿勢は今も変わらず、株主様へ配当金を還元するかわりに、ボロ儲けした金を日々果敢に新規事業開拓につっこんでいる。良くも悪くも突き抜けている。
ブラッドワース氏の本を読んでから気になっていた件、すでに一部の倉庫ではロボットが走り回って労働者を機械の一部にしてる上、ドローン配送も始まってたらしい。すごい。あとアマゾンの収益の半分以上を締めるAWS。何年もアマゾン利用していたのに知りもしなかった。顧客の錚々たるメンツにも腰抜かした。NASAにCIAって。マケプレの仕組みやKindle Unlimitedのラインナップが常に微妙な理由も分かってスッとした。
しかしベゾスがスタートレックの、しかもMr.スポックのファンだったのは驚いた。アマゾンがやたらとブルーを使うのも、Mr.スポックでおなじみの科学士官サイエンス・ブルーか?さすがにそれはないか。ただスポックと同じコンピュータサイエンス専攻だ。
でも、スポックのファンでこれはないと思う。あまりにも無責任かつ独善的すぎる。確かに消費者からしたらめちゃくちゃ便利でありがたいネットショップではある。それに、確かにベゾスはフロンティア精神の鬼だし、アマゾンドットコムはグローバル・ビジネスという深宇宙を突き進むエンタープライズ号そのものかもしれない。「エンタープライズ」という単語は企業も意味するし。
でも、kindleにしても購買履歴と合わせて読む速度まで常時データ収集されて(ジャロン・ラニアー『今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由』亜紀書房より)、金儲けの手段にされてると思うと、どう考えても平和主義のヴァルカン人スポックではなく、無駄に頭良すぎるフェレンギ人のサイコパスという感じしかしない。
地域社会や業界や従業員を踏み潰してまで己の金儲け優先だなんて、フェレンギの聖書『金儲けの秘訣(Rules of Acquisition) 』にならあっても不思議はないが、明らかにIDICには反するし、長期的に見ればまったく論理的ではない。まだグランド・ネーガスのほうが頭悪そうなぶん可愛い。
ちょうどアマプラ動画にも飽きてきたことだし、真剣に利用を見直そうと思った。電子書籍の購入はすでに完全にkindleに依存して即日辞められない状態になっていることに気づいてちょっとゾッとした。これから本はせめて地元の本屋か日本の書店が運営するサイトで買おう。焼け石に水であろうとも、何もしないよりはましだろう。
あと本書で再三引用されていた『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』読もう。面白そう。 -
「アマゾン・エフェクト」「デス・バイ・アマゾン」の実態が非常によくわかるノンフィクション。AWS以外にアマゾンの存在価値が全くないことがよくわかる。嬉々としてアマゾンでポチっと買い物を続けるどれだけの消費者が、脱税状態の実態・労働力の搾取・流通業者やメーカへの非道徳的不当行為の数々を知っているのか、それでもアマゾンから購入するのか。消費者至上主義を掲げながら「アマゾンの利益に反することがない限り」の但し書きがつくことにより、どれだけ公共の不利益になっているのか。便利であることの不利益をもっと考えてよいと感じた。勿論私はアマゾンで買い物はしないことにしている。
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今ではGAFAと並び称せられるようになった巨大企業のAmazonが、社内ではブラックな体制が敷かれてるのをルポとして描いた一冊。
後半は一般的なAmazon帝国による経済支配の話だが、それも含めて勉強になった。 -
著者はこれまでユニクロやヤマト運輸の覆面取材を敢行したノンフィクション作家。今回は2度目のアマゾンだという。
アマゾンの倉庫で働く人、マーケットプレイスに出店する個人、直接取引を迫られる出版社など、アマゾンに依存しながら、食い尽くされていく人々を描く。
本書は、体験取材や直接の取材だけではなく、アマゾンの生い立ちを追ったり、AWSの章を設けたりと巨大なアマゾンの全体像を描こうとするため少し散漫なところもあるが、それでも巨大IT企業に飲み込まれるような恐ろしさをヒシヒシと感じることができる。
一人の消費者として便利で良かっただけでは済みそうにない。 -
ユニクロの実店舗への潜入取材により、店舗のブラックさを明らかにした一連の著作で一躍有名になった著者が今回選んだのはAmazonである。既に2005年に著者は
「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」において、倉庫への潜入取材を行っているが、大きく時代状況が変わった2018年に、再び潜入取材を行う。
本書ではプラットフォーマーとして強大な権力を有するAmazonという会社の実態を明らかにするため、倉庫への潜入取材に留まらず、マーケットプレイスにおける違法レビュー、法人税の迂回による租税回避の仕組みなども含めて、何が問題になっているのかを非常によく理解できる。
これを読むと、Amazonの倉庫で働く派遣社員を守るためにも、適切な労働組合・ユニオンの存在が欠かせないという思いを新たにした。大企業での労組が最早意味をなしていない状況下で、労組が取り組むべきはこうした問題であるのは間違いがない。 -
アマゾン怖い・・送料無料の裏側に透けるこの会社の思惑が理解できた。