はぐれ雀

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 31
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863797

作品紹介・あらすじ

苦しみを超え生きる女性二人の祈りの物語

江戸時代の初期、徳川家康によるキリスト教禁教令から島原の乱とそれに続く激動の時代を、「隠れキリシタン」という宿命に翻弄されながらも生きぬいていった、二人の女性を描いた書き下ろし長編です。
朝鮮人のナマリ千代は、秀吉の慶長の役により両親と弟を殺され日本に連れてこられた。千代は子どもを二人産んだが、キリシタン弾圧により娘夫婦や孫は殺され、島原の乱により夫も亡くなった。
小西行長の係累に当たる須美は、島原の乱で育ての親から雄太に引き取られ、生き延びた。雄太の息子である嘉助と婚姻するはずだったが、嘉助が弟の安兵衛を殺害してしまい、出奔。経済的に困窮した雄太に大坂の新町遊郭に売られてしまう。
隠れキリシタンである二人。千代は小西行長の所にいたときに、「おたあジュリア」から、人にはマリア様とのお約束が一つずつあると言われてきた。千代はそれが、須美を見守ることだと言われていた。そして、命じられるままに、大坂へ行き千代は須美に仕えた。
そこで幕府に命を狙われながらも、須美は周囲の人物に支えられ、まだ赤ん坊の息子と朝鮮半島へ渡ろうとするのだった。
果たして、その思いは通じるのか?


【編集担当からのおすすめ情報】
生きることの辛さと悲しさ、それを乗り越えて生き抜いていく女性たちのたくましさ。読み終わった後、静かな感動が広がる本格時代小説です。

感想・レビュー・書評

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  • 20150112途中返却

  • 構成がややこしく、分かりにくい。書評の絶賛ぶりにダマされた。おもろなかった。

  • 豊臣秀吉の文禄慶長の役で日本に拉致され日本に住む事を余儀なくされた朝鮮人。
    ほんの子供の時に拉致され差別と抑圧の中で生きる千代と、徳川家康から丁重に扱われ家康の死後も庇護されて生きるジュリア。
    千代が狂言廻しの如く、日本での40年間を語る。島原の乱を経て小西行長の血統を受け継ぐ須美の世話をすることとなる千代。
    朝鮮人であること、キリシタンであること、2重の差別を受けながら「お約束」を順守しようとする千代とジュリア。
    暗くて重くて悲惨な話が続く。救いは千代が明るく逆境にめげない飄々としたところか。
    最後は「お約束」を果たすため、須美を朝鮮に送り届けようとするジュリア、千代、甲賀忍者。小説の最初の方から出ていた甲賀忍者の扱いが捻りがあって面白い。
    須美は甲賀者の活躍もあって無事に朝鮮に辿り着き千代も風の便りでそれを知り涙する。
    文禄慶長の役に隠れた日本の暗部を描く。重たいけど読み応えあります。

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著者プロフィール

1952年、長野県生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。西鶴などの江戸時代文学を専門とする。主な研究書・注釈書に『西鶴と元禄メディア その戦略と展開』(NHKブックス、1994年/笠間書院、2011年新版)、『初期浮世草子の展開』(若草書房、1996年)、『西鶴と元禄文芸』(若草書房、2003年)、『都の錦集』(国書刊行会、1989年)、『世間子息気質・世間娘容気』(社会思想社、1990年)、『八文字屋本全集』(共編、汲古書院、1992〜2013年)、『浮世祝言揃』(太平書屋、2010年)など。小説に『廓の与右衛門 控え帳』(2007年、第8回小学館文庫小説賞受賞)、『はぐれ雀』(小学館、2014年)。

「2023年 『西鶴『誹諧独吟一日千句』研究と註解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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