とまり木

著者 :
  • 小学館
3.73
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本棚登録 : 44
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865289

作品紹介・あらすじ

「生きてて、よかった」心が潤う感動の名作

幼い頃に両親を亡くし、親戚に引き取られた青山伊津子。自分の居場所を必死で見つけて生きる伊津子だったが、行く先々で不幸な出来事に見舞われてしまう。一方、死んだ姉と常に比べられ母親に否定されつづける少女・小林美羽は、ひどいアトピー性皮膚炎のせいで学校でいじめられていた。たび重なる不幸に耐えきれなくなった二人は、それぞれの場所で自らの命を絶つことを思い立つ。交わってはいけないはずの二人の人生は、この世でもあの世でもない、〈ある場所〉で交差する。
一度は諦めた「生きる」ということ。不思議な場所との出会いを通じて、もう一度「生きる」ことにした二人の人生は……。
壮絶な人生を生きる人が、自らの人生を終えようとするとき、彼らに聞こえた天からのメッセージとは。心が潤う感動の長編小説。

【編集担当からのおすすめ情報】
いじめ、虐待、セクハラ、報われない恋、傷つけられたプライド、気が遠くなるほどの孤独、かなわない夢――。誰しも一度は「死にたい」と思うほど、寂しくて辛い気持ちになったことがあるのではないでしょうか。この本は、そんなあなたに届けたい一冊です。現代の日本の自殺未遂者の数は、自殺者の数を何倍も上回るといいます。鳥が羽を休める「とまり木」のような場所が、この世界には本当にあるかもしれません。
与えられた命を生きる、ということがどういうことかを考えさせられるこの物語。最後には登場人物それぞれの人生が走馬灯のように思い出され、涙が出ます。心落ち着くときに、ぜひ読んでいただきたいです。

感想・レビュー・書評

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  • 屋上は忘却の楽園だ。
    心やすらかに暮らすためにはなんでもほどほどがいいのだろう。なによりもだいじなのは忘れることである。

    ビルの屋上にある遊園地。そこで働く人は全員屋上で暮らしている。身につけている銀色のプレートのペンダントには、アルファベットと数字が刻印されている。
    この屋上では過去を思い出せず新しく経験したことも忘れてしまう。


    最初は、どうして屋上に連れてこられたんだろうと不思議に思って読んでいました。でもこの小説の中で登場人物の過去が明らかにされていき、忘れないと生きていけない事情がある人達なんだと思いました。

    なぜ屋上に連れてこられたか、それはそこにいる人たちと関わる事で自分と向き合って、忘れてしまいたいことと向き合って、生きることを選択するためなんだろうと思いました。



    この物語を読みながら最初は、辛いことを忘れるのは楽だし、それで幸せでいられるなら私もこの遊園地に行きたいなぁって思っていました。でも、よくよく考えてみたら「つらい」と思ったことが自分を成長させてたり、自分の人格を豊かにしてきていることに気づかされました。

    いろいろ考えてたら、結構ゆっくり読んでしまっていた。
    明日が返却美が来るだから図書館に返しに行かなきゃ(笑)

  • つらい…。

  • 不思議な話。どんなに嫌なことがあっても、いつかは良いことが起こると思わせてくれる話。

  • その遊園地では誰もが過去を忘れて暮らしている。
    そこで出会った伊津子と美羽。
    ふたりはそれぞれつらい経験を背負っていた。自分の命を絶とうとするほどに。

  • 若くして成功した女流画家・青山伊津子と病弱な少女・小林美羽の不思議な話。
    幼い頃に両親を亡くし、辛い幼少期を過ごした伊津子。ただ、岩手の祖母と共に過ごした日々だけが心の支えだ。美大に進学し、そこで小林という美術評論家に認められ、公私ともに支えられる存在と運命的に出逢った。もう一人の主人公・美羽は小林の娘。姉を病気で亡くし、自身もアトピー、喘息などの病気が有るせいで、何事にも過剰になってしまった母に振り回され脅える日々。作中、I・Mとイニシャルで呼ばれ、遊園地で働く二人の描写、そこが不思議な世界。のちに伊津子が描く彼岸の遊園地、あの世とこの世の境目という不思議な世界で暮らす二人。現世で孤独な二人がどんな選択をするか、銀河鉄道の夜をモチーフに描かれた描写、ラスト前向きな二人に会えてよかった。

  • IやMたちは天国でも地獄でもない「ある場所」で過ごしていた。
    辛い経験、体験からこの場所で生活してる人々。
    この場所の実態を知った者は「生きるか」「残るか」の選択をせまられる…。

    とまり木の意味を知ったら話の内容がしっくりきた。

    正直苦手な内容だと思ったけど読まず嫌いでした。

    もし自分が「ある場所」にいたらどうするのか、考えたい一冊。

    死にたいくらい辛いことがあっても
    生きるの嫌になるくらい辛い出来事があっても
    生きていれば必ずいいことがある。

    うんうん。今ならすっごくわかる

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著者プロフィール

1964年生まれ。作家。早稲田大学第一文学部卒業。編集者・ライターを経て、『八月の青い蝶』で第26回小説すばる新人賞、第5回広島本大賞を受賞。『身もこがれつつ』で第28回中山義秀文学賞を受賞。日本史を扱った他の小説に『高天原』『蘇我の娘の古事記』『逢坂の六人』『うきよの恋花』などがある。

「2023年 『小説で読みとく古代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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