落花流水

著者 :
  • 小学館
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866347

作品紹介・あらすじ

現役受験生作家がリアルに紡ぐ受験生の青春 舞台は、とある地方都市。高校3年生となり、受験生の水咲。 ある朝、町中の尊敬を集める「先生一家」の門前にパトカーが何台も集まり大ニュースに。そこは昔から憧れの的だった、現在通う高校の生物教師の家でもある。水咲といつも一緒の幼なじみ・聖二と愛海も心配で駆けつけるが、手錠をかけられ警察に連行されて出てきたのはなんと憧れの生物教師だった! その先生は幼い頃から水咲にとって特別な存在。先生をひたすら信じたい一心から水咲はまた別の事件にも巻き込まれてしまい……。 著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。読後爽快、リアルな青春を鮮やかに描く。 【編集担当からのおすすめ情報】 「さすがに、受験生の高3は執筆は無理ですよね」と、2,3年前から話をしていました。お互い、すっかりそのつもりでした。でも、著者が実際に高校3年生となったある日、「やっぱり小説を書きたい」との連絡が。「え?本当に?」最初は半信半疑でしたが、それなら、と『現役受験生が描く受験生の青春小説』を書いてほしい、と提案をしました。現役受験生のナマの感情が詰まった小説を読める機会なんて、ないですから。そして秋に上がってきたのが、この小説です。大人の私が読んだ最初の感想は目からウロコ、でした。令和の受験生は新しい! とてもかわいい初恋小説であり、思わず笑顔になる青春小説。そしてご報告ですが、その後、自身の受験では、無事、志望校に合格し、はれて来春からは大学生になります。

感想・レビュー・書評

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  • 近所のお兄ちゃん、落合先生が下着泥棒で捕まった。文武両道、品行方正で両親と同じ教師の道に進んだ彼にずっと憧れ続け、同じく教師になる進路を決めたばかりの高校生、水咲の心は大混乱。全国ニュースで盗んだパンツ800枚と逮捕される瞬間まで流れたのに信じられない水咲の一途な暴走恋心が深刻にではなくコミカルに描かれているのが瑞々しい。幼馴染みの二人、愛海と聖二のギリギリを攻めた茶化しっぷりが重くなりそうな内容を軽やかにしている。そのネタが三人が文藝部(藝の漢字にこだわりあり)だけあって様々な文学要因から持ってきてテンポ良く進むのが楽しい。落合家の事情が描かれないのが逆にリアルだ。高校生から見た事件ってこんなもんだと思う。最後の水咲の願い、届くといいな。

  • <訪問>「落花流水」を書いた 鈴木(すずき)るりかさん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/661989?rct=s_books

    【鈴木るりか、大学生になります!】初の書き下ろし長編『落花流水』が刊行! 現役受験生作家が描く、同世代主人公のリアルな孤独や希望、友情や恋――等身大の青春がここに! | P+D MAGAZINE
    https://pdmagazine.jp/works/suzuki-rurika-rakka/

    鈴木るりか/著「落花流水」 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/pr/rurika/

    落花流水 | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09386634

  • 「さよなら、田中さん」以来楽しみに読んでいる、鈴木るりかさんの新作。「現役受験生が書く受験生のリアル」とかいう紹介文を見たけど、その言葉から受ける印象と中味はちょっと違うんじゃないかな。受験生なんて狭い枠ではなくて、誰もが持つ「ままならなさ」を重くならずに描いた、著者らしい作だと思う。

    いきなり下着泥棒の話から始まって(しかも犯人は主人公水咲にとっての王子様)、あれま、このお話はどう進むのかと思ったが、その件の着地点が焦点ではないのだった。憧れの人がおこした衝撃的な事件に、水咲の心は揺れ動く。でもそこに危うい感じがほとんどないのは、農村地帯に住み(水咲の家は農家)、通学時にはヘルメット着用という田舎の中学に通う水咲の周囲が、なんというか「地に足がついてる」からだ。あんまり小説に書かれたりしないこういう子って、実際にはたくさんいるんだよね。

    なんといっても良いのが、水咲と友人たちとの会話だ。これはもう著者の真骨頂。花実ちゃんシリーズもそうだけど、この生き生きした会話だけで一冊分の値打ちがあると思う。本作では、水咲と友人たちが高校で文芸部に入るので、文学作品にまつわるボケとツッコミが楽しい。鈴木るりかさん、本当に本が好きなんだな。この春大学生になるという鈴木さん、どんどん書いて読ませてほしいです。花実ちゃんのその後、待ってます!

  • 2年ぶりの新刊
    毎年お誕生日に新刊を発表
    でも今回は受験生ということで2年ぶりとなったのか?

    私としては、「さよなら田中さん」から始まった田中花実ちゃんシリーズの「私を月へ連れてって」のその後の親子がとても気になっていたので、その続きが読みたかったが、全く別の話だった

    相変わらずのテンポの良い会話、今のネタもポンポン盛り込まれている
    文学少女であることが伺われる文学ネタも盛りだくさん

    おもしろいことはおもしろいのだが、ちょっと軽すぎかな?

    ぜひ花実ちゃんの続きを読ませてほしいものだ

  • 鈴木るりかの落花流水を読みました。
    落花流水の意味は
    落ちた花が水に従って流れる意で、ゆく春の景色。転じて、物事の衰えゆくことのたとえ。
    時がむなしく過ぎ去るたとえ。
    別離のたとえ。
    また、男女の気持ちが互いに通じ合い、相思相愛の状態にあること。
    散る花は流水に乗って流れ去りたいと思い、流れ去る水は落花を乗せて流れたいと思う心情を、それぞれ男と女に移し変えて生まれた語。
    転じて、水の流れに身をまかせたい落花を男に、落花を浮かべたい水の流れを女になぞらえて、男に女を思う情があれば、女もその男を慕う情が生ずるということです。

    主人公は小さい時よりお兄ちゃんと慕っている男性が居ました。
    常に思っていて、お兄ちゃんを思いながら成長していきます。
    そのお兄ちゃんが、先生になり先生を目指しますが、とんでもないことが起こります。
    今までの鈴木るりかの物語の中ではいまいちでした。^^;

  • 朝ドラみたいに真っ直ぐで、読んでよかったと思わせて裏切らないのが好き。読むのが遅い私でも2時間程度で読める分量なのも、気軽で良い。
    しかし、なぜか著者と同世代の娘には受けが悪い。母親から「高校生でこんな本がかけるなんてすごいよね」と勧められるときに「だからあなたも頑張りなさい」という発してもいない裏メッセージを勝手に読み取り、うんざりしているのか。面白いのに読まないなんてもったいないな、と思ってきた。
    今回ふと思いついたのだが、もしかして本を買って読むという行為が、推し活のような心理になっているのでないか。デビュー作からずっと読み、作品の進化が我が子の成長のように誇らしく、著者を育てた気になってないか。これは新しいマーケティング戦略にはまっているんじゃないか、と。
    しかし、例えそうだとしても、著者の本は掛け値なしに面白いと思っている。次の新作も、やっぱり読むだろう。なんと言われても構わない。間違いなく、私はファンだ。

  • 藪椿が川上から流れてきた様子を見て、小6だった祐太お兄さんは、小学校に上がる前の私に「落花流水」と言った。
    散った花が水面に落ちて流されていく。春が過ぎていく、歳月が流れていくということだよ。と教えてくれた。
    憧れのお兄さん。
    落合祐太。
    警察に連れて行かれる姿を見て、夢だと思った。
    小さい頃からずっと好きだった人が犯罪者になってしまったら、、、。
    その、ぐるぐるする様子がとても共感できる。
    冷凍庫の中の聖一の話は、すごいなぁと思う。
    よくこんな印象的なアイディアを思いつくと、感心する。
    石田衣良の本名の苗字が石平。石平庄一。
    ラストのてんとう虫が中指から飛んでいく場面は涙が出そうになった。
    るりかさん高校生になったので、主人公も高校生に。
    来年の作品は、主人公が大学生になり、恋をしたりするのかな?
    鈴木るりかさんは、現在、都内の高校3年生。現役受験生。
    春から大学に進学予定。
    これからの作品もとても楽しみ。

  • 中2で作家デビューし5冊目のこの本。田中さんシリーズでなく、また新しい物語。何もかも完璧な初恋の相手、隣の家のお兄ちゃんと慕った相手が、ある日、下着泥棒で捕まってしまう。信じられない気持ちの水咲。もう、水咲の真っ直ぐな素直な感情や、愛海や聖二、山田ァの掛け合いに何度も笑わされた。この方の作品は元気をくれる。この先、どんな作品を書くようになるのか、本当に楽しみ。とても良かった、素敵な作品。

  • 幼稚園のとき書道教室に連れてってくれる、六歳年上のお兄さんに恋をした
    文武両道で優しくてかっこいいお兄さん
    その花嫁さんになるために人生を計画してた

    お兄さんが警察に逮捕された
    パンツを800枚盗んだらしい

    〇高校生たちの生活がほのかにのぞけて楽しい
    〇水咲は夢だと思って寝る。その後もなかなか正面から向き合えないのだけど、親切だった近所のお家の様子に心を痛めている様子が伝わってくる
    〇いま、つぐなっている人に。それぞれに祈ってくれる人がいたらよいなと思う

  • 鈴木るりかさん、パワーアップしていた!
    頭もさらにハイ回転で執筆しているのでしょうね。

    主人公を含む幼馴染たちとの高校3年生3人の会話が、るりかさん、昭和から生きていた人かと思う。

    ふいに「明るい農村」「加山雄三が言うならわかるけど」「もう頰づえはつかない」頁が進むにつれ、古典文学・俳句・海外ドラマ・社会的事件・芸能、もうさまざまフレーズとダジャレが飛び交う。
    本来のストーリーがわからなくなりそうになる。
    これは、小説漫才と言わせていただこう。
    (本当は女子高生恋愛小説?)

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著者プロフィール

鈴木 るりか(すずき るりか)
2003年東京都生まれ。史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。あさのあつこさん石田衣良さん、西原理恵子さんらが、その才能を手放しで絶賛した「スーパー中学生」。2017年、14歳の誕生日に大賞受賞作を含めた連作短編集『さよなら、田中さん』発表。近年では珍しいローティーンの文壇デビューで、各メディアの注目を集めベストセラーに。

鈴木るりかの作品

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