武漢コンフィデンシャル

著者 :
  • 小学館
3.66
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本棚登録 : 146
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866354

作品紹介・あらすじ

21世紀最大の謎にインテリジェンスで挑む 新型コロナウイルスの「発生源」として世界を震え上がらせた武漢は、中国革命の地にして、国共内戦の要衝でもあった。十歳でこの地に流れ着いた李志傑は、己の才覚を頼りに動乱の時代を駆け抜けたが、文革の嵐に見舞われ、家族は国を追われてしまう――。それから五十年後、李一族の「業」は、MI6の異端児スティーブン・ブラッドレーと相棒マイケル・コリンズを巻きこみ、“謀略の香港”に沸き立った。感染爆発は、なぜ武漢から始まったのか? インテリジェンス小説の巨匠が満を持して放つ衝撃作にして、シリーズ最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 間違いなく今年のベスト本の一冊。フィクションとノンフィクションの境界線が良く分からなくなる巧妙かつ精緻なインテリジェンスに裏打ちされた超一級品の国際インテリジェンス小説。新型コロナの震源地の武漢を革命の聖地から紐解き、紅幇の血を引くマダム・クレアの壮大な遠謀を縦軸に、お馴染みマイケル・コリンズとスティーブン・ブラッドレーの諜報と友情を横軸に、コロナウィルスの遠因に挑む。機智とウィットに富んだ会話と、著者の博学ぶりが垣間見える教養に溢れた挿話の数々に時間を忘れて物語に没入できる。残ページ数が減るにつれ、この壮大な物語が終わってしまう悲しみを感じつつ、読後の満足感に浸っている。

  • まさにタイムリーな、圧巻の物語。時代は1920年代から現代まで、諜報員やそれ以上に謎の人物が、世界を股にかけて暗躍する。冒頭、コロナ感染の描写から始まると、次はアメリカの少年野球チーム、さらに香港の競馬場へと舞台は移る。一見バラバラな場所と人物がどこでつながっていくのだろう、そしてコロナとの関連は?という好奇心から、読むペースもあがっていく。

    内容が「諜報戦」だからか、暗喩やたとえ話が多く、理解するために読み返す必要が何度もあった。それは著者の狙いかもしれない。そして個人的にとても嬉しかったのは、著者が私の好きな香港映画の一部を書いてくれたことだ。「花様年華」のマギー・チャンよりも妖艶な「マダム・クレア」って、一体何者よ?と、まだ事情を知らない段階で思った。その後マダム・クレアの顔は完全に美しいマギー・チャンになっていた。ぜひ映像化をお願いします!内容からいって無理な注文かもしれないが、それほどまでに登場人物の面々は魅力的だった。

  • 作者のこのシリーズの確かに最高傑作。面白かった。「コウモリ由来のコロナウイルス研究を高度なレベルで進めている専門の機関は、世界にたった3つしかない。」それをめぐる国際政治の思惑、混乱、など背景にした大胆な物語。リアルな世界では、米国などのインテリジェンスは何を掴んでいたのか、中国の神経質すぎるともとれるゼロコロナ対策の背景は、などいろいろと想像を掻き立てられる作品です。

    • 川野隆昭さん
      はじめまして。
      手嶋龍一は、『ウルトラダラー』を読み、面白さに夢中になった記憶があります。
      ほぼ確実に存在しているであろう、世界のコンフィデ...
      はじめまして。
      手嶋龍一は、『ウルトラダラー』を読み、面白さに夢中になった記憶があります。
      ほぼ確実に存在しているであろう、世界のコンフィデンシャルな世界を、今後もリアリティーを持って、証し続けていただきたいですね。
      2022/09/19
  • 手嶋さんお得意の世界を股にかけたインテリジェンス小説。スケールは大きくタイムリーだけど、なんだかチグハグ。蘊蓄がこぼれすぎて、ストーリーが散漫に…。残念。「長生きする者より、旅をした者こそが人生の真理を知る」「いかなる権力も永くは続かない。時と共に移ろう権力に阿ってはならない。柳のようにしなやかに、竹のようにまっすぐに、自らの信念を貫いて生きるんだ」心します。

  • 知り合いから頂戴したことで初めて手にした作者の作品。

    日本ではほぼその組織や機能がない、情報組織、インテリジェンスをテーマにした本作品は、ノンフィクションかと思うほどのリアルな情報に裏打ちされた巧妙なノンフィクション。

    武漢から世界中に広まったコロナウィルスの発端ももしかしてこうなのでは?と思わせる内容。

    これ以上はネタバレになってしまうが、久々に読み応えのある小説であった。

  • コロナウイルスをテーマにしたインテリジェンスのストーリー。
    スティーブ、マイケル、キール、マダム・クレア
    魅力的な登場人物に心奪われる。
    最後の1ページに感涙。

  • ラジオニッケイの「読む本棚」で今放送されている本。手嶋龍一はインテリジェンス(スパイ)小説が多いが、今回は新型コロナ発生源の武漢が舞台でアメリカ、香港(イギリス)のインテリジェンスがその謎を負う。しかし最後は尻切れトンボ感を禁じ得ない。

  • 2023.6 コロナ本かと思ったらもっと前の話でしたが、なかなか興味深い小説でした。中国はなんでも食べるな。

  • 58武漢ウイルスって言い始めたのがあの方で無かったら、世界はどうなっていたのか。彼の国寄りのWHOさんでは解明できなかった、いや公にできなかったことでしょう。麗人がご無事でなにより。

  • やっと読み終わった。

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著者プロフィール

手嶋龍一  Teshima Ryuichi 外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2023年 『ウクライナ戦争の嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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