若葉荘の暮らし

著者 :
  • 小学館
3.66
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本棚登録 : 1842
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866552

作品紹介・あらすじ

40歳以上独身女性限定のシェアハウス 畑野智美作家デビュー10周年記念作品。感染症の影響を受け、望月ミチルのアルバイト先の飲食店の売上が激減。バイト代が減ってしまったミチルは家賃の安い家に移ることを余儀なくされる。そんな彼女に友人が紹介してくれたのが、40歳以上独身女性限定のシェアハウス「若葉荘」だった。不安を抱えながら若葉荘の門を叩いたミチルだったが、温かく迎えてくれた管理人・トキ子さんに出会い、ここに住むことを決める。同世代の千波さんと幸子さん、50代の美佐子さんと真弓さん、何かに傷つけられ、それぞれに重荷を背負いながらも、逞しく生きる住人達との交流の中で、ミチルは自分の幸せを自分軸で探す術を身につけていく。生きづらい世を懸命に生きる全女性へ送る人生賛歌。 【編集担当からのおすすめ情報】 就職氷河期を生きた40代、雇用機会均等法に翻弄された50代、理想の「女性像」という価値観に縛られ生きざるを得なかった60代以上、それぞれの年代にそれぞれの闘いがあった。懸命に生きてきた女性達の羽をそっと休められる場所「若葉荘」がリアルにあって欲しいと思わずにいられなくなる物語。何度も大きくうなずき、何度も胸が締め付けられ、それでも最後に明るい光が差し込む1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 素直な感想と、ひねくれた感想の両方がある。
    素直な方だと、女性の貧困や多様性に向き合う主人公に感銘を受けて勇気をもらえる。健康で動けるけれど金銭的に余裕がない、真面目に一生懸命生きているのに報われない女性達がきちんと報われる社会になって欲しいけれど、その過渡期にある女性達が取り残される事なく幸せに生きていけるための一つの希望の形を見せてもらえたと思う。金銭的な事だけじゃなく、助け合いだったり、精神的な支えだったり、現代社会では皺寄せをまともに受けてしまう彼女達の、理想形の一つなのかな。この通りである必要はないけれど、受け入れてもらえる場があれば、若い子に理不尽にサンドバッグにされても自虐の沼にズブズブ溺れずに受け流せるのかもしれないって感じました。

    ひねくれた方だと、そんなきれいごと、ってやっぱり思っちゃう。そんなに理性的に対処出来る?私には無理、って。そこで自棄にならず平凡さを貫けるのがミチルさんの強みであり魅力であり、この物語の核なのだろうけど。

  • 表紙が漫画みたいで軽く読める本だと思った。
    けど違った。
    主人公の望月ミチルはアルバイトしているアネモネ、という洋食屋がコロナ禍で売上が減り収入が減ってしまう。金銭的な不安から家賃の安い
    40歳以上独身女性限定のシェアハウス「若葉荘」に引っ越す。
    管理人のトキ子さん、同世代の千波さん、後から来た幸子さん、50代の美佐子さんと真弓さん。
    外からはわからない何かを誰もが抱えている。
    ラスト近くミチルが
    「自分の人生を人に預けていた、仕事をする先の経営状態や付き合っていた彼氏にプロポーズされる、など他力だった」
    と言うあたり、その通りだと感じた。
    それでも提案するのは真弓の買い取った若葉荘の管理、それをビジネスとして増やしたい、というやっぱり他力。
    それでも、そういう縁を掴むのも生きていく上での大切なことだと思う。
    いくつも引っかかるところがあり、読み終えても心がささくれてる。
    私の心も弱りぎみかも。

  • 静かに読みたい時
    ほんわかしたい時

  • ほっこり系のお話かと思いきや、意外とシビアな内容でした。

    生きていくためのお金がないっていうのは、確かに現実的に厳しい問題だけど、それ以外にも女性が生涯独りで生きていくという事がまだまだ難しい社会。

    若葉荘のような場所が増えるといいな。

  • 世に蔓延する感染症。アルバイト店員ミチルの収入は激減し転居を余儀なくされ、ミチルが住むことになったのは40歳以上独身女性限定のシェアハウス「若葉荘」だった。
    共同で使うキッチン、バス、トイレそして鍵のかからない個室。
    それぞれ事情を抱えた女性たちが適度な距離で暮らす。
    干渉しあう事はなく、けれども寂しい時は一人ではないと思える。
    若葉荘は救いのある場所だ。

  • とっても心に突き刺さる内容だった。将来に不安があるなら、ちょっとしたことからでも行動しなくてはならない。コロナ禍は経済も衰退させたけど、人の心も蝕んだ。コロナ後の景気回復を期待したいし、困っている人をほっとかない社会になって欲しい。

  • 帯の”40歳以上のシェアハウス”に惹かれて借りた。
    世の40歳以上の女性の、ここ数年の不安、痛みを主人公を通して語っている感じ。バブル、就職氷河期、”当たり前”の変化。身につまされる。

    トキ子さんのように準備しておきたい。

  • コロナ禍の飲食店でバイトする40才女性が主人公。生活が立ち行かなく、古いシェアハウスに転居する。これがタイトルの若葉荘。そこに住まう40以上独身女性達の暮らしがメイン。ただ主人公の思いが長々と繰り返されたり、しかもこの歳でバイト生活で先行き不安、私は何も出来ないとかとてもマイナーな言葉が並び、お茶の場面がやたら多くて、確かに不安さをお茶する事で飲み込もうとする意図はわかるが、閉塞感が増してきた。各女性達が生き生き書かれてないのも気になる。

  • わたしの話し

  • タイトルや表紙イラストから爽やかな物語かと思っていたので…
    コロナ禍真っ只中に加え、主人公の長々とした語り口調や間延びした返事、千波の少し傍若無人にも見える振る舞いに、逆の意味で期待を裏切られてしまったかな…

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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