金子兜太 いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093884884

作品紹介・あらすじ

俳句の達人をうならせた平和のうた352句

東京新聞・中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井の朝刊1面に一日一句が掲載中の人気企画「平和の俳句」が一冊の本になりました。

連載が始まったのは、戦後70年にあたる2015年。その前年に、現代俳句の第一人者である金子兜太氏と、作家のいとうせいこうさんは語り合います。
戦争体験を、また体験していないけれど戦争体験をどう考えるかということ、平和を願う気持ちを、俳句にしてはどうか。
それを新聞で募集して載せたらいいのではないか--と。

言葉の力に期待したふたりの声かけにこたえ、2015年末の時点で5万7000通の「平和の俳句」が寄せられました。
下は3歳から上は106歳まで、日本だけでなく世界中から、ドキドキする俳句が集まったのです。

この本では、2015年に選ばれた352句を一挙掲載。

選者ふたりによる選評や対談記事もあわせて掲載!

いとうせいこうさんは、この投稿を「軽やかな平和運動」と呼んでいます。
“戦後”が71年、80年、100年、永遠へと続くよう、あらためてこの年に選ばれた「平和の俳句」を、ぜひまとめて、声に出して読んでみてください。


【編集担当からのおすすめ情報】
掲載した俳句は、すべて新聞に掲載された順番に並べました。
春に咲く花を見て平和のへの思いをうたう句があれば、憲法第九条、官邸前デモ、テロ、沖縄、被爆などの文字が多くの俳句の中に見つけられ、ハッとさせられます。
2015年に私たちが何を思い、考え、悩み、決意したかを、これらの俳句が思い出させてくれるのです。

感想・レビュー・書評

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  •  地元紙『北陸中日新聞』の第1面に紹介されていた「平和の俳句」の1年間分の作品をまとめた単行本です。このコーナーは,2017年いっぱいまで続きました。本書は,その中の2015年の1年間に紙上で紹介された俳句が集められています。
     川柳や狂句など風刺の効いたものが好きな私ですから,もともと俳句にはあまり興味がありませんでした。というのも,俳句というのは日本の四季を詠んでいるだけのものであって,自然とじっくりと向き合う時間のある人の高尚な趣味だと思っていたからです。俳句なんて,社会に対しても,あんまり力を表さないし…みたいに思っていました。
     しかし,「平和の俳句」は違っていました。限りなく川柳に近いような作品もありました。「平和の俳句」は,時代を捉え,しかも,社会に働きかける力まで感じるものでした。「俳句もなかなかやるな」と思った次第です。
     選者のいとうせいこう氏と金子兜太氏については,対談集も出ています。その本も,ユニークな二人の刺激的な本でした。
     本書でも,選んだ俳句についての両者の選評がちっちゃな字ですが載っていて,これを読むのもまたたのしいです。
     私のお気に入りを5つくらい紹介します(たくさんありましたが)。

    ○平和には主義などないと大根干す
     右派だとか左派だとか,すぐにレッテルを貼って差別をしようとするネットの人たち。これは日本だけではないのかな。でも,平和を求める気持ちは,みんな同じはず。

    ○戦争はすべての季語を破壊する
     これは,俳人しか読めない句でしょうね。そうか,季語ってやっぱり大切なんだな。日本の四季を楽しめるのは平和だからだなと思いました。かっこいい。俳句っていいな。でもこれって川柳っぽい。

    ○うたってよピースソングを忌野忌
     忌野清志郎,大ファンです。数年前の5月2日,ラジオから彼の死去を知ったのでした。「愛し合ってるかい~」という声が聞こえてきそう。個人的に趣味が同じなので記憶に残りました。

    ○若者よ銃など抱くな人を抱け
     自然な姿が一番。銃など抱かないで下さい。昔,銃を抱きながら「人」を抱いたこともあったようです。それがいまだに尾を引いている―慰安婦―のです。ここでいう〈人〉は〈愛しい人〉。人を抱けば新しい生命が生まれる。銃を抱けば,命を奪い奪われる。これも川柳に近い。

    ○戦争はしないと言ったではないか
     これほど直接的な言葉はない。
    「あんた,あのとき,軍隊は持たない,我々は戦わないと言ったでしょ。なんで気が変わったの。」
    「またバカなことをするの? 時代が変わったなんてこじつけでしょう。この嘘つき!」
    「私は,あなたの言葉を覚えていますよ。」
    「戦争をしないといったから,この国をもう一度好きになろうとしたのに…。なによ今さら」
    「〈本当は70年前から,また戦争したかったんだ〉〈戦争のできる国でいたかったんだ〉〈あのときはあいつが怖かったので,そう言っただけだ〉なんて,言い訳しないでね!!」

  • 平和を保っていくためにも、こんな活動にも参加していかなければと思う・・・。

  • 2015年に東京新聞などに掲載された「平和の俳句」をまとめたもの。何気ない日常生活に感じる平和、戦前に回帰しそうな時勢に対する不安、意識して平和を守ろうという自覚、など、一日一句が掲載されている。小さな声かもしれないが、あげ続けることは大切だと思う。

  • 東京新聞などの朝刊1面に掲載中の人気連載「平和の俳句」
    その1年分352句を収録

      平 和 と は 一 杯 の 飯 初 日 の 出

    2人が選んだ五句に共通していたのがこの句

    「安保法」が成立した2015年=戦後七十年を十七文字で表現する
    それぞれの句に金子、いとうの寸評つき

  • またいい1冊に出会えた。
    本当にこの本を読むことが出来て良かった。

  • 終戦の日に。好きな俳句、
    若者に武器より強い夢持たせよ(小倉亜希18)
    デモの誘い真面目に読む日が来るなんて(金井ゆきな21)
    父に来た赤紙書いたのは誰だ(秋松成喜79)

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著者プロフィール

金子 兜太(かねこ とうた)
1919年埼玉県生まれ。東京大学経済学部卒業。1943年日本銀行に入行。加藤楸邨に師事。1962年、同人誌「海程」を創刊、主宰。1978年埼玉県文化賞受賞、1983年、現代俳句協会会長、1987年より朝日俳壇選者、1988年、紫綬褒章受章、1996年、句集「両神」で詩歌文学館賞受賞。1997年、NHK放送文化賞。2005年日本芸術院会員、2008年、文化功労者。
主な著書「種田山頭火 漂泊の俳人」「小林一茶」「感性時代の俳句塾」「放浪行乞」「わが戦後俳句史」「一茶句集」ほか。句集「少年」「蜿蜿」「暗緑地誌」「遊牧集」「金子兜太全句集」「黄金子兜太句集」「皆之」「詩経国風」「金子兜太集」第1巻~第4巻ほか。

「2022年 『金子兜太 俳句の古典を読む ─芭蕉 蕪村 一茶 子規─ CD版 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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