- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093887076
作品紹介・あらすじ
女の損は見えづらい
生き方が多様化し、女性としてのライフスタイルに「正解」や「ゴール」がない今、私たちはどのような道を選択すれば、心地よく生きられるのか。コラムニストのジェーン・スー氏と脳科学者の中野信子氏が、これからの女性の生き方を対談形式で語り合います。
【一章】「女らしさ」は誰のため?
-「女らしさ」とは自己決定権を手放すこと
-メイクや服は女ウケを狙ったほうがコスパがいい 他
【二章】敵と味方とルールを再検証する
-「女同士はわかり合える」という一枚岩幻想
-新自由主義の流れでカオス社会が爆誕 他
【三章】恋愛と結婚、私たちの戦略
-自分よりも能力が高い人を好きになるという通過儀礼
-パートナーはまっとうに生きるための漬物石 他
【四章】なぜ女は自信を持ちづらいのか?
-男は女よりも自信を持ちやすい
-依存相手は都合のいいスクリーン 他
【五章】いつか結婚も出産もレジャーになる
-妊娠・出産をアウトソーシングする未来
-私たちが本当に後世に残したほうがいいもの 他
【六章】ジャストフィットな生き方は自分で決める
-男社会で設定されたゴールがすべてじゃない
-今の選択が正しかったと思えるように 他
感想・レビュー・書評
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珍しくタイトルに惹かれて衝動買いした本。
ジェーン・スーさんの本はいつか読みたいと思っていた。
自分自身、幼少期は男に生まれたかったという強い思いがあったけど、最近は女性であることに楽しさも感じつつある。それでもやっぱり不当に扱われたり理不尽なことが多い毎日で(何も、すべての原因が「女だから」というわけではないけれど)、怒りが爆発しそうになっていた。
心の内でモヤっとしていたことをお二人が言語化してくれて気持ちが少し軽くなったり、逆にあまり共感できない話もあったり…。自分ならどうかな、と常に考えながら読めて面白かったです。
人生の選択に正解はなくて、自分で正解にしていく、というのは自分でもよく考えることだったけれど、やっちまったと思ったら自分ですぐに「アイロンをかける」というのは、すごく好きな言い回しだった。
心の隙間を他人で埋めても満たされることはない、結局自分で頑張るしか満足できないというのは、そうだよなーと共感し、過去を忘れる力が高い人が幸せを掴めるというのには、ドキリとした。
結局色んなことを考えた結果、却ってモヤモヤが増えたけど、それがいいのかな、と思ったり。モヤモヤしながらあれこれ考えて動かないと、配慮のできない人になってしまうし、搾取されてしまうような気がするから。
自戒を込めて、イヤなことに声を上げることと、恨み節になってしまうことは違うので、気をつけようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
結婚や出産を経て初めて、一人前の女性とみなされる世間の風潮。時代はめざましく変化しているにも関わらず、女性であるがゆえに、未だに押しつけられる、様々な価値観。
全ての女性が持っている無意識の囚われを言語化し、そこに女性の生きづらさの解があるとし、焦点を当て、女性性からの開放を押し進める本。
多くの男性からは反感を買う内容でしょう(笑)
逆に、これが一部の現代女性の意見だと、すんなり受け入れられる男性は、かなり懐が深いと感じます。
人生の節目に悩む10代後半〜30代の女性には是非読んで欲しいと思います。
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先月からジェーンスームーブメントが起きている私。以前に中野信子さんとの対談が面白く、これはまさに二人だけの共著!
中野さんは常に生存戦略としてどうかっていう目線での話が面白いのと、なんつーかナマケモノ戦略で今を生きてるのが痛快。そしてそれがなんか意外でもあった。彼女自身はナマコ戦略と名付けておられたが。でもこれも若い頃にものすごーく勉強されてたからできるのかなって思う。
一方ジェーンスーさんは若い頃は女っていうジェンダーで生きてくことにコンプレックスが沢山あってそれをいつか自覚し自分の力で凌駕してきたのかなって。
どっちにせよ、女に生まれたモヤりを超えて、誰にも依存せず、自分の好きな事を戦略的にやり抜くような生き方を勧められてると思う。ちこちゃんじゃないけどぼーっと生きてんじゃないよって言われた^^ -
自分は男だが、未婚独身な件について面倒くさい質問を受けることは多々ある。女性はさらに社会バイアスが乗っかると考えるだけでもう…女性は共感して男性は新たな気づきを得られる一冊、というこの雑な性別ひと括りもまた良くないのかもしれないな。色々と考えたくなるきっかけになった。読んで良かった。
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すーっと入ってくる部分とそうでない部分があった。でもそれはそれでよし。いろんな考えを知ることができて嬉しい。
20代の頃あんなにとんがってたのには脳内物質のせいだったのか。私も40代になって日々が少しずつ楽しくなってきたひとりです。
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対談形式で進んでいくため、テンポ良く読めた。
(共感ポイント)
・中野:「女は優遇されている」と思っている人が大勢いるようですが、それは「下に見られている」のと同じことですからね。(p.22)
→自身の経験上、女は得をしているのでは?と感じた時期もあったが、実際は若さ(外面)を搾取されていたと認識したから早く歳をとりたい。(中身は今くらいの勢いをキープ)
・中野: 置かれた場所で咲きなさい、という言葉を見ると、何だか苛立ちを感じてしまう。(p.214)
この本から何を学んだかというよりは自分が女であることの立ち位置を再認識させられた。 -
私自身は「女に生まれてモヤってる」ことが特にありません。
だから「「女らしさ」は誰のため?」「敵と味方とルールを再検証する」の章は「ああ、そうですか」。
ジェーン・スーさんも中野信子さんも優秀な方だから、いろいろ思うのだと思いました。それは素晴らしいことだと素直に思う。どんどん語ってください。
その一方で「恋愛と結婚、私たちの戦略」「なぜ女は自信を持ちづらいのか?」「いつか結婚も出産もレジャーになる」は面白かった。
中野信子さんがリケジョだからではないでしょうか。
その中でとくに面白かったのは「地質年代の視点から地球を見るとどうなる」とか「Y遺伝子は消滅するんじゃないかという説がある」あたり。
落ちこぼれの私の中でも特に理科の偏差値は酷いのですが、中野信子さんのようなかたの話はこれからも聴きたいと思っています。 -
『大事なことなのでもう一度言いますが、誰かに「私にふさわしい相手」として選ばれなくてもいいんです』
この本を読んで、救われる思いがした。
この本は背中を押してくれている。女性でも男性でも、性による役割や社会通念に、自分の生き方までもを搾取される必要はないのだ、と。
(部分的に男性ヘイトに感じられる文章もあったが、個人的にはその部分には共感できなかった。そして筆者たちが本当に伝えたい部分もそこではないと感じた。)
女に生まれたというだけで嫌な思いをすることが多々あったように思う。損をしていると、よく感じていた。女らしい女の子をうらやみ、妬んでもいた。そして女らしくいられない自分を責めていた。
でも私だけではなかったのだ。
自分の意見を言う、場を引っ張る、そういった行為は「女らしくない」と言われ、「選ばれない」「お嫁に行けない」などと言われる。
そうしていつしか自分を抑え、周囲の期待を優先し、まわりの機嫌を損ねないように振る舞う。
無意識に、誰かを支える存在として「選ばれる」ために。
これまでの社会規範から、男性の中には女性を「モノ」としか捉えられない人、おしなべて女性のほうが勉強や仕事ができないと本気で思っている人、慎ましやかで自分の意見を言わず、出産し育児をし、男性を支える女性以外は無能だと考える人が残念ながらかなり多いのが現実である。
私自身、肌身で感じている。
人間として、何らかの社会貢献をしても、「結婚は」「子供は」などと仕事や学問、功績とは関係のないことばかりに焦点が当てられる。
女性も社会進出を、と毎日のようにニュースやメディアで言われる一方、(日本の)人口減少・少子高齢化を憂い、子供を産め、それもたくさん産めなどと言う。そう唱える社会の上層にいる男性たちは、既存の「女性らしい女性」「男性より能力が低い女性」感を本気で根底に抱いているというのに。
けれど今、単純に「男女平等」を声高に叫ぶのではなく、人間一人ひとりがもっと「考える」時代が来ているのだと思う。
その上で、「知」は圧倒的な力を持つ。
変わっていく社会の在り方に、魚類の繁殖戦略や46億年の地球史を用いてくるあたりはとても面白かった。
(私自身、シロアリの真社会性の話で知人に励まされた事を思い出した)
置かれた場所で咲きなさい、に苛立ちを感じるという話も共感できてかつ、理由が明確に言語化されていて気持ちがよかった。
もっとマクロな視点をもって、多様化する社会と向き合っていかなくては。
ジェーン・スーさん、中野信子さんは本当に賢くて、この人たちのようにはなれないよ、と思う部分もあるけれど、別になれなくていいのだ。
自分で考えて、迷って、間違えて。それでも選んだ答えを正解にしていけるのだ。誰しもが。
私自身も自分の生き方に迷いや、自責や、劣等感がいつもあるけれど、それでも進んでいこうと思う。自分で選んで、自分の今を正解にしていくために。 -
女だから何かを我慢したり、諦めたりした経験のある人に読んでほしい。
そして男性にも読んでほしい。
女性が「損している」ということを解消することは、男性が損するということではない。 -
題名から、
「女性はこんなに生きにくいんだ!」ということをぐちぐち言っていくのかなあ、と思われるかもしれない。女性が「そうだそうだー!男なんていらない!」と同調する為の本と思うかもしれない。
まず、それを否定したいです。
いつの間にか「女」であることに固定観念を植え付けられている私たちが、「自分」らしく生きていこう、という内容が柱。
なので特に後半の方は、男性が読んでも、勇気を貰えると思います。
(ちなみに、このようなテーマに何ら興味のなさそうな男性が 勝手に私の本棚から借りて読んでてギョッとしたのですが、完読しておもしろいと言ってました笑)
最後の締めの文章が特に良かった。