- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093887748
作品紹介・あらすじ
イタリアの日常に潜む美しいものを描く
イタリア在住40余年の著者が描く、あまりにドラマチックな15話。ルネサンス時代から続く港町で、ペストの時代の感染との戦いに思いを馳せる『リヴォルノの幻』、サルディーニャ島でローマ時代から続く養蜂家一族の知られざる生を描く『香草』。代々本を行商してきた村人と、素朴で味わい深い食生活を描く『旨味』、極東で宣教する老牧師との対話を描く『聖痕』ほか深い人間模様を味わえる15編。
【編集担当からのおすすめ情報】
緊急非常事態宣言の出ているイタリアの若者の声を
著者が自ら取材してアップするweb「デカメロン2020」,
更新中です。
http://hojosha.co.jp/free/decameron2020
感想・レビュー・書評
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「本の窓」という雑誌に2018年から2019年にかけて連載されていたものを、まとめたもの。15のエッセイと言えば良いのか、短編小説と言えば良いのか、といったストーリーが収められている。
内田洋子の本は数多く読んでいる。最初の頃は、ストーリーの1つ1つの鮮やかさに惹かれていた。今でもそれは変らないのだけれども、それに加えて、ストーリーの「多様性」に驚き惹かれるようになった。
「多様な登場人物」。内田洋子は、どこでどうやって、このような多様な登場人物と知り合ったのだろう。
「多様なトピックス」。内田洋子は、どうやってこのような魅力的な場面に出くわすことが出来るのだろう。
「内田洋子自身の多様な生き方」。内田洋子は、イタリアに渡ってからも、多くの土地に暮らし、多くの職業に就いていたようだ。上記の多様な登場人物、多様なトピックスのベースとなっていることであるが、その多様な生き方自体も面白い。
ストーリーの多様性。
「壁の中の海」は、おそらく、別の本になっているモンテレッジォの村の話。
「辛い味」は、夏の浜辺で会うだけの70代の夫婦との交流。
「建築家のカーディガン」は、男たちのミラノファッション。
「迷える庭園美術館」は、超富裕層夫婦のライフスタイルと道楽の話。
「サルデーニャの蜜蜂」では、たまたま手に取った本から、昔親しんだ、サルデーニャでのことを思い出す。
ひとつひとつが楽しく、飽きが来ることがない。
軽く読めるエッセイ集・短編小説集として、これからも愛読することになるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どなたかが、内田洋子さんの文章は上質な映画を観るようと表現していたのがよくわかる。
この本も、柔らかく優しい風のよう。
イタリアというとパスタとピザと伊達男とシチリアレモンのように眩しい太陽を思い浮かべるのだけど、内田洋子さんの文章を読むともっとゆったりとした時間のなかで人々が暮らしている感じが伝わる。
それは時に寂寥感が漂うものであっても。
もっと人生や自然などに抗わずに生きてみたいなぁと思う。まずはゆったりたっぷり呼吸をするところから始めよう。 -
著者が大学で学んでいた時のカトリック教会とのふれあいのエピソードは微笑ましくもうらやましい。
内田洋子のエッセイはいつも気軽に手に取るのに、その残り香はいつまでも心に残っている。 -
日本語と表現が美しい。参考にしたい美文。
たまになんとも艶かしい女性たちやヒヤリとする話もでてきて、緩急も素晴らしいなとおもう。 -
ひとつひとつ短いけれど
ひとつひとつにぎゅっと
イタリアにまつわる物語
(主としてイタリア女性)
どれもショートムービー
のような味わい
都築書店にて購入 -
作者はイタリアの情報を得るために、その土地に住む。時には山の上で、時には船上で。
その各地で出会った人たちをテーマにしたエッセイ集。
マンションの前の空き地が駐車場になる…というのは何十年も前に市に申請した結果。そして地下駐車場にする工事が始まった途端に指が入るくらいの亀裂が住んでいるマンションに…という話で始まり、
サルディーニャの蜂蜜だなと思いながら読んだ表題作。
サルディーニャ島の養蜂家がとる蜂蜜は、花の咲く時にそこで鉢を放して蜜を取る。1番希少なのは高山植物の蜜。島から出ることはないほど希少。古代ローマ皇帝のお気に入りだったという蜂蜜。
あー味わってみたい -
ほぼ、全作を読んでいるため
内田さんの生活様式は把握しているつもり。
ヴェネツィアは変わるつつある。
知らなかったイタリアを届けてもらい
今回もおもしろく読了。
『建築家のカーディガン』
〈イタリアで評判の良い仕立て職人の型紙の原点は、英国にある〉
興味深い一文を発見。
内田さんから届けられるイタリア。
次回作が待ち遠しい。 -
なんだろ?
期待しすぎだったのかな〜
ちょっとつまらなかった...
イタリアの日常の小話...
わかっていたけど...
表現の一部が...ちょっと鼻につく感じも....個人的には苦手だったなぁ〜 -
観光地ではない、イタリア各地の一人一人の暮らしを遠慮なく覗き読める本。
同著者のエッセイをまとめて読むと、あのときのあの方ですよね、と登場人物が知り合いの知り合いくらいに思えてくる。
『リヴォルノの幻』を最後に持ってこられるところが、なんとも…。