へー、面白い企画をするもんだ、とかつての落合信彦愛読者として思わず手に取ってしまった。
もっとも、落合本(父のほう)も、1990年をすぎて、ゴルバチョフのことを書き始めたあたりから、ありもしない情報を元に適当に書いているのが透けて見えてきて手を出さなくなった(それまでの著作は、ほぼ全部というくらい読んでいたのに)。
一方、息子落合のほうには、ちょっと興味を持っていたので、この機会に彼の文章にも触れることが出来て良かったかな。父親よりはよほどまともだと思ったし、冒頭で、父から聞いた言葉として「戦争はいつだって老人が始め、若者が犠牲になる」を語るにあたり、
「研究者の自分としては、引用元を明記していただきたいところだ」
と、父親の怪しげなところをしょっぱなから端的に突いていて痛快だった(とにかく父落合の本は、あとから思えばマユツバだらけだったからね・笑)。
メモしておこうと付箋をはった文章も、圧倒的に息子落合のほうが多かった。父の方は、昔から言ってた繰り言の焼き直しばかりだし。
買う前に、ざっと見て、親子座談会の章があったので、これは楽しみと思ったのだが、それも2016年に行ったもの。分量も少なく、もう少しこのパートが多くて、しかも昨今の米中問題、ロシア・ウクライナ戦争を踏まえてか、少なくともコロナ禍を経ての対談となっていれば、価値があったのに。
楽しみに読んだが、かなり肩透かし。
まぁ、懐かしい思いも味わいながら気楽に読めた。
息子落合の本は、もう少し読んでみようかなとは思ったよ。