憎しみの大地

著者 :
  • 小学館
3.29
  • (0)
  • (2)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093893022

作品紹介・あらすじ

中東3000年の怨念に世界と日本の命運は握られている。銃撃戦からの渾身のレポート。"憎悪渦巻く大地"に乗り込み、イスラエル軍情報部、モサド、PLO関係者を直撃取材。ポスト湾岸戦争の地政図を見通す『中東宗教・民族抗争地図』『武器輸出詳細図』つき。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ◯内容
    第1章 東エルサレム
    著者がエルサレムに取材に訪れた際、暴動(インティファーダ)に遭遇したときの出来事
    PLO(パレスチナ解放機構)スポークスマンからユダヤ人の祭スーコットで大規模な暴動が起きると聞いた著者らはエルサレム旧市街に向かう。そこで暴動に巻き込まれイスラエルの現状を知る

    ユダヤ人国家イスラエルではパレスチナ・アラブ人との対立が古くから続いている。ユダヤ人によるダビデ王国は遠くBC10世紀に遡るが、絶えず他国の侵略を受ける場所であった。
    BC70ローマの侵略により滅亡しユダヤ人は2000年流浪を続けることになる。テンプル・マウントにはソロモンが建立した第一神殿、第二神殿があった。現在の嘆きの壁は第二神殿のたった一つの遺構である。
    その壁の向こう側はイスラム教開祖モハメッドが昇天したとされるハラム・アッシャリフがあり、岩のドームとアル・アクサ・モスクがある。政府は宗教を対立に持ち込まないようにしてきた。しかしユダヤ原理主義者はそれを無視。

    今回のインティファーダには不自然発生な点がいくつかある。それはPLO側主導で、狂信的ユダヤ人デモが起こるこの日に計画的な暴動を起こし、イスラエル軍の介入でアラブ人の犠牲があったとしても、イスラエル非難を世界に訴えかけるプロバガンダとなる、ということである。

    PLOとイラク、サダム・フセインの繋がりも伺える。PLOは国際的にイスラエルの軍事行使を非難することで、アラブ人の反感を煽り、反フセインを掲げるアラブ諸国のその意志を弱め、反イスラエルに向けようとしているのではないであろうか。

    しかし著者はイスラエルは狙ってこの暴動に乗っかったと考える。それはいつでもPLOと決着をつける用意があることを示すためである。多くの国は国連の存在を軽視している。非同盟国、発展途上国、アラブイスラム国が多い国連ではイスラエルは非難の的になりやすく、国連の決定を無視する図太さがある。
    イスラエル、アラブ側諸国はお互いの存在を認めたくないという立場から相手を倒すしかないという精神である。
    様々な憎しみの構図から今回の暴動に至ったのであった。

    第2章 クウェート侵攻

全1件中 1 - 1件を表示

落合信彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×