- Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093897624
作品紹介・あらすじ
武士たちの「最期」をしかと見届けよ!
西洋化の一途をたどる明治政府と対立し、反乱を起こして敗れ去った者たち。佐賀の乱、萩の乱、福岡の乱、西南戦争・・・勝者の歴史によって「反逆者」の烙印を押されたが、彼らは失われゆく日本を守るべく戦ったのだ。
「大東亜論第二部」は、彼ら”愛国志士”たちの決起の真実を掘り起こし、その武士の魂がいかに政治結社「玄洋社」と頭山満に継承されたのかを描く試みである。
今こそ我々は、戦勝国の封印を解き放ち、明治以降失われてきた本来の日本の姿を取り戻さなければならない――そのためには、国家のために散った武士たちの最期を、しかと見届けなければならない。
【目次】
序章 不平士族が守った価値
第一章 高場乱との出会い
第二章 人参畑塾の頭山
第三章 女が男になる覚悟
第四章 勤王倒幕の先駆者・平野国臣
第五章 明治6年の政変
第六章 頭山満vs.来島恒喜
第七章 武部小四郎と越知彦四郎
第八章 西欧覇道の江華島事件
第九章 前原一誠の妻と妾
第十章 維新のやり直しとしての乱
第十一章 投獄と拷問の試練
第十二章 獄の中に悲報
第十三章 萩の獄の色事
第十四章 決起、福岡の変
第十五章 越知、武部、悲壮なる戦い
第十六章 越知彦四郎の咆哮
第十八章 大久保暗殺の真相
第十九章 頭山、板垣退助に会う
特別描き下ろし 妻妾同居の時代
あとがき
【編集担当からのおすすめ情報】
【第一部『大東亜論 巨傑誕生篇』のあらすじ】
時代は明治草創期。大久保利通、西郷隆盛らは明治維新を成し遂げたものの、新政府は一枚岩とはいえなかった。
藩閥政治の堕落や日本文化を貶める欧化政策。これに異を唱えた西郷隆盛は、西南戦争を起こすも敗れる。西郷が抱いていたのは、日本が維新を成し遂げたように、アジア各国で維新を起こし、欧米の帝国主義支配からアジアを解放しようという理想である。
その遺志を継いだのが頭山満と政治結社「玄洋社」だった。第一部のハイライトは、明治22年(1889年)、玄洋社の来島恒喜が行ったテロ事件だ。
来島は欧米との“妥協的”な条約改正を進めていた外相・大隈重信が乗る馬車に爆弾を投擲した。来島はその場で自刃。大隈は右足切断の重傷を負い、大隈が進めようとしていた条約改正は中止となった。
感想・レビュー・書評
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素晴らしかった。西洋の覇道を突き進んだ大久保に対して東洋の道義を大事にして王道を進もうとした西郷。まさに日本の分岐点であり、今日にも通じる話だった。教科書の「不平士族の乱」という記述に騙されてはいけない。
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【108/10000】
『愛国志士、決起ス 大東亜論2』小林よしのり
国家主義者にして民権運動やアジア独立運動への支援でも名高い活動家、頭山満を主人公としての、論、というよりは情動に訴えかける物語の第二段。
西洋に傾倒しすぎ、維新の本義を忘れた明治藩閥政府に対抗する、頭山をとりまく士族たちの群像劇となっている。
男装の女傑、高場乱など、教科書がとり上げない、靖国に祀られざる英雄たちを掘り起こしていて新しい。
現在の日本の政治にまで一直線に続く明治政府からの「近代化」に疑問を呈し、反乱分子としてひとくくりにされた者たちの声を拾い上げることが、今後の日本のあるべき姿を模索することに繋がっていく。
歴史とは復古や懐古ではなく、今を見つめなおす批評的な鏡であるとすれば、本書は映りが強すぎるにしても、優れた歴史書であると言える。 -
不平士族の乱は、単純に血気盛んな若者が、新時代に着いて行けず起こした乱だと思っていたが、そうではないという事がよく分かった。
元来の日本人の大切な精神を守ろうとしていたのだと。
日本人の原点ともいうべき箇所を見つけられたように思う。 -
不平士族の乱を全く違う視点から描いているところが新しいと思った。明治から現代日本を批評するという試みがすばらしい。