世界からボクが消えたなら 映画「世界から猫が消えたなら」キャベツの物語 (小学館文庫 わ 9-13)
- 小学館 (2016年5月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094062878
作品紹介・あらすじ
今年いちばん泣ける映画、もうひとつの物語
余命わずかと宣告されたご主人さまは、自分と同じ姿をした悪魔と取引をした。「この世界からモノを一つ消す。そのかわりに、キミの命を一日ぶんだけ延ばす」と。電話、映画、時計……。モノが消えていくたびに、ご主人さまと
結びついていた人の記憶までが失われていくようだ。そして悪魔は、世界から猫を消すと提案する。ボクのことなんて消してしまっていいんだよ、ご主人さま……。最後に、飼い主が選択した決断とは!?
百万部突破! 感涙のベストセラー原作の映画『世界から猫が消えたなら』を、主人公の飼い猫であるキャベツの視点で描いた、感動の物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
原作ファンも映画ファンにも楽しめる、ひと味違った物語です。
感想・レビュー・書評
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2024.2.19 読了 ⭐︎9.0/10.0
『世界から猫が消えたなら』の主人公の飼い猫・キャベツ視点のアナザーストーリー。
前作を読んでいるから、その軸を別の軸から客観的に読めるので、また違った味わいがあります。
本作も、心に響く言葉がたくさんありました。
"いつも不思議に思うんだ。どうして人間は、自分で勝手に決めたきまりに縛られて、それを「苦しい」とか「辛い」とか言ってるんだろうって。朝は何時に起きなきゃいけない。一週間のうち五日間は決まった場所にお勤めに行かなきゃいけない。自分の都合で勝手に休んだりしちゃいけない。
食べたいものを好きに食べちゃいけないっていうのも妙な話だと思う。お腹が空いてもそれが決められた食事の時間じゃないと行儀が悪いと言う。肉ばっかり食べちゃいけないバランスよく野菜も食べなきゃいけない。過食はいけない。小食すぎるのもダメ。運動もしなきゃたくさん歩かなきゃ。太りすぎはダメ。痩せすぎもダメ。毎日決まった時間に眠らなきゃいけない。健全でつつがない人生を送るためには、これらたくさんの「自分で勝手につくったきまり」を守らなきゃいけない。挙げ句それを「ストレスだ」とか言ってる。
だったら守らなきゃいいじゃないかと思う。会社に行くのなんてやめて、好きなものを好きなときに食べて、好きなときに好きな人に会いに行けばいい。人間はなぜか「そんなことできない」と思い込んでいる。すぐ身近に猫という実践者がいるというのに"
確かになぁ。。社会で生きていく上で守らなきゃいけない最低限のルールは確かにあるけど、勝手に自分で作って自分に課してる無意識のルールもあるんだろうなぁ、無自覚なだけで。
もっと自由に、心の赴くままに、楽しい予感のする方へ、動いても良いんだよなぁって感じます。
"僕はね、母さんにかける一本の電話よりも、目の前の着信履歴にかけなおすことに目一杯になってた。いつでもできるって思い込んで、本当に大切なことを後回しにして、目の前にあるさほど重要ではないことを優先して毎日を生きてきたんだ。ほんのちょっと考えればわかるのにね。どっちの電話の方が重要か。どっちの電話の方が大切かなんて、わかりきっていることなのにさ。
何だってきっと同じなんだよ。映画を観られる残りの数。好物を食べられる残りの数。大切な人に会える残りの数……
きっと数えてみると、それは想像しているよりずっとずっと少ないんだと思う。いつでもできると思い込んで、大切な、本当に大切な人や物を、僕はずっとほったらかしにしてきたんじゃないかなって怖くなった"
「どうせまた会える、またできる、また行ける」
その"また"には何の保証もないこと。
分かってるのになぁ、それが出来ないのが人の性なのかもしれない。。。
両親にありがとうを言うこと、友達に会いにいくこと、恋人に想いを伝えること
気づいた時に行動すること。当たり前の存在に想いを馳せ気づく、感謝する癖をつけよう
"あなたのおかげで、この世界がかけがえのないモノでできているのを知ることができた。そして、それらかけがえのないモノたちが、僕という人間を形作っているんだってことも知ることができた。
確かに、死ぬのは怖いです。だけど……僕は自分の寿命を知らされ、それをちゃんと受け入れて死ねる。これって、ちょっぴり幸せなことじゃないかと思うんです"
素晴らしいと思います。
最後に『ありがとう』で終わる人生を送りたいと、そう思いました。
"もし、この世界から猫が消えたなら、世界はどう変わるのでしょうか。
そして、世界から僕が消えたなら。
叶えられなかった夢や想い、生きている間にできなかったこと、やり残したこと、後悔がきっとたくさん残るのでしょう。
けれど、僕がいた世界と、僕がいなくなった世界は、きっとちがうはずだと僕は信じたいのです。本当に小さな、小さなちがいかもしれないけど、でも、それこそが僕が生きた証だと思うのです。もがいて、苦しんで、時々喜びながら、途切れずに生きてきた証。
それを知っていてくれる人がどこかにいるというだけでいい。ここではないどこか自分ではない人生じゃなく、今生きているこの世界で、僕という人間として、生きてきたことを良かったと思えるのです"
最後のこの言葉と場面には、涙が止まりませんでした。
よく、「自分やあの人がいなくなったって世界は何も変わらず今日も回ってる」なんて悲観的な言葉を目にしますが、それは世界を「たった一つの客観的なもの」と見た時の感想なんだと思います。
でも厳密には、この世に生きる一人ひとりに、いや人間だけじゃなく全てのあらゆる生き物に、一つひとつの世界があって、その世界が変わるんだと思います。
あの人にとってはこの人の喪失は無関係なのは仕方がないこと。それを嘆くのではなく、自分の世界の中で全て捉えて良いんだと思います。だって人それぞれにそれぞれの世界があって、それぞれの日常が、感情があるのだから。
だからこそ、もし自分がいなくなった時に誰かが悲しんでくれること、誰かのその世界の中で何かが動くこと、揺さぶられること、『ありがとう』を伝えられる人がいること、逆に『ありがとう』を伝えてくれる人がいること
そんな人生を送りたいなぁと、心からそう思わせてくれる本でした。
最後に。
「世界から本が消えたなら」
想像もできないなあ。
でも一つ言えることがある。
「僕の人生と出逢ってくれて、心からありがとう」
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世界から猫が消えたならのキャベツバージョン!
ご主人様の苦しみを客観的に見た本。
自分自身のこととして捉えるのとは違う悲しさがあって涙 -
余命わずかと宣告されたご主人さまは、自分と同じ姿をした悪魔と取引をした。「この世界からモノを一つ消す。そのかわりに、キミの命を一日ぶんだけ延ばす」と。電話、映画、時計…。モノが消えていくたびに、ご主人さまと結びついていた人の記憶までが失われていくようだ。そして悪魔は、世界から猫を消すと提案する。ボクのことなんて消してしまってもいいんだよ、ご主人さま…。最後に、飼い主が選択した決断とは!?
百万部突破!感涙のベストセラー原作の映画『世界から猫が消えたなら』を、主人公の飼い猫であるキャベツの視点で描いた、感動の物語。 -
原作と続けて読みました。
猫目線のお話。
わたしも犬を飼っているからこんな風に思ってくれてるのかなって考えながら読んだらクスッと笑えるシーンがあったり、ジーンと感動するシーンがあったりと、原作と同じくらい好きになりました。
ご主人様が大好きで、ご主人様のために生きてくれるキャベツ君がとっても愛おしいです。 -
本編より好きかもしれない。
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当時中学生、学校で泣きそうになったのを覚えています( ˊᵕˋ ;)
帰って涙ダラダラで改めて読み返しました。