後悔病棟 (小学館文庫 か 46-1)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064094

作品紹介・あらすじ

「過去に戻れる聴診器」を使ってみたら…

33歳の医師・早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、「患者の気持ちがわからない女医」というレッテルを貼られ、悩んでいる。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の心の”後悔”が聞こえてくるのだ。

「過去に戻って、もう一度、人生をやり直したい」

聴診器の力を借りて、”もうひとつの人生”の扉を開けた患者たちが見たものは――!?

●dream――千木良小都子(33歳)
母は大女優。「芸能界デビュー」の夢を諦めきれなくて…

●family――日向慶一(37歳)
俺はもうすぐ死ぬというのに、なぜ妻は金の話ばかりするのか。

●marriage――雪村千登勢(76歳)
娘の幸せを奪ったのは私だ。結婚に反対したから、46歳の今も独り身で…

●friend――八重樫光司(45歳)
中三の時の、爽子をめぐるあの”事件”。俺が罪をかぶるべきだった。

この世の中の誰もが、「長生き」することを前提に生きている。
もしも、この歳で死ぬことを知っていたら…

家族、結婚、夢、友情。
女性から圧倒的な支持を受ける著者が描くヒューマン・ドラマ!!








【編集担当からのおすすめ情報】
読むと必ず、自分の人生を振り返ってみたくなる一冊です。人生に後悔がある人も、後悔がない人も、生き方がちょっと変わるはず!

感想・レビュー・書評

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  • 患者の気持ちが分からない医師 早坂ルミ子
    彼女はある日、病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を患者の胸に当てると、患者の心の声が聞こえて来る。垣谷美雨さんには珍しくファンタジー要素があり、とても新鮮だった。

    本作は、ルミ子が担当する4人の末期癌患者に焦点を当てた以下4つの短編集

    「dream」
    「family」
    「marriage」
    「friend」

    どれも趣が異なっていて、それぞれに面白い作品だった。
    ファンタジー要素にあたる不思議な聴診器や、心の声を通じて過去に遡る体験といった設定が、リアルの方にある現実とどう関わり、どう影響するのかといった細部には、拘らない方が楽しめる。
    イメージは単純に夢体験といったところか・・・
    実は、この曖昧な設定と、医療従事者にあるまじき対応に、途中まで気持ちがついて行かなかったので気になる方は一定数いると思う。

    どうせ若くして亡くなるんだったら、あの時こうしていれば、あの時こうしなければ・・・
    主人公達は、皆が大きな後悔を抱えている。そして、ルミ子の聴診器で過去をやり直す体験をするのだが・・・

    本作の面白味は、やり直した過去が必ずしも主人公の思い通りに行く訳ではない所だ。
    ふふふっ、そりゃそうだ。
    別の道が正解だとは限らないから、誰しも悩みながら生きているのが人生だ。この匙加減が絶妙で、私たちの現実問題でもきっとそうなのだろうと思わされる。
    だから、過去を悔やんで後悔ばかりしていないで、未来を向き、今日という1日を大切に生きようという作者からの強いメッセージを感じる。

    読後にふと考えてみれば、私には戻りたい“あの日”が特に思い当たらない。
    現実を変えられないなら、後悔しても仕方ないと楽観的に考えたり、嫌なことは忘れるという最強の術を、年々磨いてきたおかげかもしれないが笑

    けれど、それと同時に、辛い経験や悲しい過去はあっても、そんな生き方が少しずつ出来始めたのだと、本作を通じて気付かせてもらえた。

    エピローグでは、聴診器のバトンが新しく赴任した女医、その名も黒田摩周湖(くろだましゅうこ〜!)に渡る。
    垣谷さん、お名前で遊び過ぎでしょう。笑
    続編も読んでみようとおもう。

  • 医療者として思うのは、こんな医者絶対嫌だし、一緒に働きたくない。
    内容薄いし、共感出来るとこ全然無かったです。

  • 今まで自分が取ってきた選択や、今の自分の人生を信じてみよう。

    後悔することはたくさんあるけど、
    その経験を学びに変えて、今を一生懸命生きよう。

  • 面白かった。二人目のサラリーマンは報われない感じがしたけど…

  • 私が看護師なので医療系は興味があるので購入。
    フィクションだけど聴診器云々の話以外はリアリティがあって違和感を感じなかった。
    日々患者と接しているが、みんな色んな背景や思いを抱えながら闘病してるんだろうな。そこまで話が聞けたら最高の看護師になれるだろうなと思わされた。

  • よくあるストーリーかも知れませんが、一つ一つの話がよく出来ていると思いました。僕的には刺さりました!心が癒しを求めているのかも...次も読もう!

  • ファンタジー、お医者さんの話は面白い。

  • 04月-10、3.0点。
    30歳代の女医、空気が読めず患者家族からクレームが来ることも。ある日、ふしぎな聴診器を拾うと、患者の心の声が。。。

    面白い。ラストのエピソードが特に良かった。

  • もしあの時こうしていれば、過去に戻れるならどうしますか?

    最期の時、後悔を持つ患者さん達のお話。末期の癌患者を当している早坂ルミ子医師。彼女はある日、不思議な聴診器を拾いました。患者の心の声を聴き、患者達は過去を旅する事ができるのです。ファンタジー的要素がありながらも、主軸はあくまでも現在。もし、あの時別の道を選んだらどうなってたんだろう?別の世界を見た後、現実に戻った患者達は、、、。様々な人生に寄り添う事でルミ子は人間的にも成長していきます。患者の気持ちがわからなかった彼女はもういません。

    単行本「if サヨナラが言えない理由」を文庫化にあたり改題。加筆、改稿有。後悔病棟の方がしっくりくる題名だと思いました。

  • 患者の気持ちがわからない事に悩む医師の早坂ルミ子。ある日拾った聴診器は「心の声」が聞こえ、「もうひとつの人生」へ通じる扉が現れる。

    末期のがん患者達が「あの日」に戻って迎えた結末は心に刺さるものばかり。選ばなかった方を想像する時、ついキラキラさせがちで、後悔ループに陥る事がある。
    人生は選択の連続、一度きりだと改めて教わる。思い込みはやめ、対話する事、自分の目で見る事大事にしたいし、人の裏側に振り回されても、生きる強さ持ちたいなと思う。
    不器用なルミ子を応援したくなるし、同僚や先輩とのやり取りも面白い。
    次のシリーズも読む!

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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