脱出老人: フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち (小学館文庫 み 17-1)
- 小学館 (2019年5月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094066050
作品紹介・あらすじ
高齢化社会の将来を占う渾身ルポルタージュ
一年中温暖、物価は日本の3~5分の1、やさしく明るい国民性、原発ゼロ、年の差婚当たり前。日本で寂しく貧しく苦しい老後を過ごすなら、いっそのことフィリピンで幸せな老後を送りたいと、日本脱出の道を選んだ高齢者たちは少なくない。はたして、老後の楽園はフィリピンにあるのだろうか。
果たして、現実は……。
恋人候補200人のナンパおじさん、19歳の妻と1歳の息子と、スラムで芋の葉を食べて暮らす元大手企業サラリーマン、東日本大震災を機に、東北から原発ゼロのフィリピンに移住した夫婦。ゴミ屋敷暮らしだった母親をセブ島に住まわせる娘、24歳年下妻とゴルフ三昧の元警察官。90歳の認知症の母親をフィリピン人メイドと介護する夫婦、「美しい島」で孤独死を選んだ元高校英語女性教師……。さまざまな「脱出老人」のジェットコースター人生を、開高健ノンフィクション賞受賞作家が、フィリピン&日本で3年間にわたり徹底取材した衝撃のノンフィクション。
「老後の幸せ」「人間の幸福感」とは何かを浮き彫りにする、話題作。
解説は、映画監督の崔洋一。
感想・レビュー・書評
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老後にフィリピンへ移住する人のルポ。いろいろな動機がある。
借金払えず物価の安い国へ、北国(特に雪下ろし)から夫婦で逃避、老親の介護疲れで親とともに移住または親のみ移住、フィリピンの若い奥さんを求めて移住。
なぜフィリピンか?若くて貧乏な娘が、日本人に(金目当てで?)つくしてくれるから独身のおじさんが結婚目当てで行くのは有名だが、家族で移住する人にとっては、気候が温暖で生活費が安く、メイドを雇う文化があり、情に厚い(年寄を大切にして見捨てないのが当たり前)というのが理由というのが判った。
移住が上手くいく人も行かない人も自己責任でがんばっているようです。
日本で年老いていくことに我慢できない人はチャレンジする価値はある?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これがジェネレーションギャップかと思わずにはいられない違和感を終始感じる内容でした。全部で6つのケースについてルポ形式で、フィリピン移住した高齢者の「顛末」を描いていますが、いずれもそのドライバーになっている価値観や「欲」のあり方が、なんというか俗物的・即物的で、気持ちが悪いというのが正直な感覚です。(売れる本にするために、あえてそうした極端なケースを選んでいるとはわかりつつ…)
ただ、これは生きてきた、あるいは生きている時代が異なるので包摂して捉えなくてはなりません。逆に自分の世代も違和感を覚えられながら見られるのでしょうから。
むしろ昨今(2022年現在)、FIREブームなども後押しして、安直な東南アジア移住のモメンタムも一部の層では起こっています。これも良く良く本書で書かれた現実を参考に、自ら考え抜いて行動しないと、同じような「顛末」に行き着くのだろうな、と思うところがありました。 -
老後に海外移住する高齢者の実態を取材した本。当然良い面悪い面があり、フィリピンに移住した人々のその後が描かれている。
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老老介護が誌面で当たり前になった超高齢化社会である日本。楽園を夢見て、借金から逃げて、介護疲れから楽になりなくて、海外移住を臨むリタイア後の高齢者を描くドキュメンタリー。幸せの形は人それぞれだが生きていくためにはお金を工面しないといけない、強く生きていかなければならないとこの書籍を通じて学びました。2020最初の読書でよかった。
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国毎に違いはありそう。
違う文化との差を楽しめれば良いと思うけど。 -
親の介護がチラつく世代として、興味深く読みました。老後の幸せとは? 医療だけでは幸せになれない。人との繋がりが幸せの鍵となるのは確かだ。自分も親も老後をどう過ごすのか、真剣に向き合ってみたい。まずは、疎遠になっていた実家への連絡を増やしていこう。