- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094066302
作品紹介・あらすじ
不意を衝く殺人刀に付添い屋、危機一髪!
第一話 負の刻印
六平太は、行きつけの飯屋・吾作で、包丁鍛冶の政三と知り合った。吾作の主・菊次によれば、政三は三年前から雑司ヶ谷の鍛冶屋で働いているというが、詳しい身元は分からない。その政三に、殺意を向ける青年が現れた。六平太は音羽の顔役・甚五郎に呼び出され……。
第二話 夜盗斬り
ある夜、箱崎町で逃走中の盗賊一味と出くわし、一人を斬り伏せた六平太。襲われた鰹節問屋を調べた同心・新九郎によれば、数年前から関八州取締出役が行方を追っている、行田の蓮兵衛の手口と似ているらしい。数日後、謎の刺客に襲われた六平太は?
第三話 裏の顔
六平太は、根津に住む高名な絵師・仙谷透水に付添いを頼まれた。破門した男・相馬林太郎につけ狙われていたのだ。どうやら破門には、女弟子の川路露風が関わっていると見え――。そして透水には絵師のほかに、なんと、もうひとつの意外な顔があった!?
第四話 逢引き娘
日本橋に建つ箔屋の娘・お糸の付添いを請けた六平太は、千住へ足を向けた。お糸を幼馴染の幸七に会わせるためだった。翌朝早く、逃げ出そうとするふたりを止めた六平太が事情を聞くと、幸七が江戸払いになり、夫婦になれなくなったとお糸が訴え……。
【編集担当からのおすすめ情報】
ドラマ時代劇のレジェンド
北大路欣也さん、高橋英樹さん、里見浩太朗さん、
松平健さん、村上弘明さん、中村梅雀さん、
西郷輝彦さん、古谷一行さん、草刈正雄さん、
近藤正臣さん、若村麻由美さん
こぞって絶賛!(コメント到着順)
ドラマ時代劇「鬼平犯科帳」「剣客商売」の脚本家が贈る、
日本一の王道人情時代劇!
感想・レビュー・書評
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六平太の気遣いが、人柄が伝わって来て、
心がなごみ、ほんわかしてきます。
浅草元鳥越の市兵衛店に住まいして、立見流兵法の遣いてで、信濃国十河(そごう)藩加藤家を出て浪人となった秋月六平太(ろつぺいた)が、口入れ屋・もみじ庵からの紹介で裕福な商家の子女の芝居見物などの付添い屋を生業とする人情物語です。
六平太の義妹・佐和は、火消しの音吉と祝言を挙げ、授かった勝太郎も音吉の先妻の子である姉の"おきみちゃん"と一緒に外へ出て行くようになりました。六平太は、音羽町に戻って来た情婦の"おりき"と一緒に過ごす日々が多くなり音羽町と元鳥越の長屋を行き来しています。六平太の隠し子、穏蔵が香具師の毘沙門の親方の所で真面目に人のために働くのを聞いて喜びが湧いてきます。行田の幾右衛門一党の盗賊を捕縛しょうとして死なせてから、度々正体不明の賊に命を狙われます。
【負の刻印】
天保四年(1833)。将軍徳川家斉の治世。音羽の護国寺の西、雑司ヶ谷村は七面大明神脇の鍛冶師、善助のもとで働く職人の政三は、あやまって12年前に川越で師匠の包丁鍛冶の親方を殺して江戸へ逃げて来た。
その親方の息子、卯平を近くで見かけて、仇を討ちにきたと思い。卯平を人殺しにしたくないと音羽一帯を縄張りにする"毘沙門の甚五郎"に相談する。政三を越後に逃がす。
【夜盗斬り】
関八州で盗みを重ねてきた盗賊、行田の幾右衛門一党が、江戸へ出て来て盗み働きを始めた。昨年から今年にかけて江戸で三軒が襲われた。六平太と相良道場で同門の北町奉行所の同心、矢島新九郎が追っている。六平太は、材木問屋の飛騨屋でご馳走になり帰る途中に、盗賊と遭遇し1人を斬り動けなくしたが、舌を噛んで亡くなった。
【裏の顔】
六平太は、絵師、仙谷透水(とうすい)の付添いをする。仙谷の絵は、美しい風景画であった。弟子の露風は、先生の絵は、美しいだけで毒がないと言って出て行く。六平太が、たまたま両国西広小路で紫雲堂鬼谷(きこく)の手による渾身の生人形と称される細工物を見せる小屋(現代の妖怪屋敷)を見た。
他の小屋で見たものは、ただ奇怪というだけの作りだったが。紫雲堂鬼谷の作という生き人形は、どれも死に顔や生死の境に喘ぐ顔ばかりなのだか、その表情には、人の抱える業のようなものが窺えた。紫雲堂鬼谷は、仙谷透水の裏の顔であった。
【逢引き娘】
箔(はく)屋町の箔屋「松雅堂」の主で新左衛門の娘、お糸の許嫁で日本橋、通一丁目の小間物屋「上総屋」の次男、幸七が咎人となり江戸所払いとなる。新左衛門は、お糸が日光街道、千住掃部宿(江戸の御府内に含まれない)に居を定めた幸七に会いに行くのに、付添い屋を六平太に頼む。
会った二人が、駆け落ちをするのを停めた六平太は、お糸が幸七に会いに行くのを勧めるが。それを知った幸七の母が、罪人がお糸と会うことが、松雅堂に迷惑がかかることを意見して幸七は、お糸と会うのを諦める。
【読後】
テンポがよく、読んでいると江戸情緒が目に浮かぶようです。そしてお金を使う場面では10文と書くと括弧して200円と書き添えて。なお、1両を10万円で換算。時刻も同じく「四つ」と書くと括弧して十時頃と書いています。こまやかな書き方で読みやすいです。
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鵺(ぬえ)の巻 逢引き娘 ― 付添い屋・六平太シリーズの12作目
2019.05発行。字の大きさは…中。2022.08.31~09.02読了。★★★☆☆
負の刻印、夜盗斬り、裏の顔、逢引き娘、の連載短編4話。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本シリーズ、ブクログ登録は2冊目になります。
本作の刊行は2019年なので、1949年生まれの著者が70歳位の時に書かれたものと思われます。
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
不意を衝く殺人刀に付添い屋、危機一髪!
第一話 負の刻印
六平太は、行きつけの飯屋・吾作で、包丁鍛冶の政三と知り合った。吾作の主・菊次によれば、政三は三年前から雑司ヶ谷の鍛冶屋で働いているというが、詳しい身元は分からない。その政三に、殺意を向ける青年が現れた。六平太は音羽の顔役・甚五郎に呼び出され……。
第二話 夜盗斬り
ある夜、箱崎町で逃走中の盗賊一味と出くわし、一人を斬り伏せた六平太。襲われた鰹節問屋を調べた同心・新九郎によれば、数年前から関八州取締出役が行方を追っている、行田の蓮兵衛の手口と似ているらしい。数日後、謎の刺客に襲われた六平太は?
第三話 裏の顔
六平太は、根津に住む高名な絵師・仙谷透水に付添いを頼まれた。破門した男・相馬林太郎につけ狙われていたのだ。どうやら破門には、女弟子の川路露風が関わっていると見え――。そして透水には絵師のほかに、なんと、もうひとつの意外な顔があった!?
第四話 逢引き娘
日本橋に建つ箔屋の娘・お糸の付添いを請けた六平太は、千住へ足を向けた。お糸を幼馴染の幸七に会わせるためだった。翌朝早く、逃げ出そうとするふたりを止めた六平太が事情を聞くと、幸七が江戸払いになり、夫婦になれなくなったとお糸が訴え……。
---引用終了
以下、備忘録です。
・矢島新九郎---北町奉行所の同心。道場の後輩。
・孫七(まごしち)---大家。
・藤蔵(とうぞう)親分---神田上白壁町の目明かし。
・『もみじ庵』---神田岩本町の口入れ屋。
・『市兵衛店』---秋月六平太が住んでいる所。
・『吾作』---六平太、行き付けの居酒屋。 -
全く上手な作家だ!
今回も4つのエピソードを中心にしつらえ、放蕩を重ねた頃にできた息子(名乗りはあげていない)の成長ぶりを、隠蔵の友人を絡めた仇討ち騒ぎにし、はたまた隣に越してきた隠居とも仲良く酒盛りする間柄になったものの、小さな疑問がだんだんと膨らみ。。。。
絵師の師匠と弟子の話やら、、、盛りだくさん!あっという間の時間だった。 -
まだ弥左衛門さんは正体を表さないのね。
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