八丁堀強妻物語 (小学館文庫 J お 2-1 小学館時代小説文庫)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094071191

作品紹介・あらすじ

育ちがいいお嬢様には、秘密があったのです 日本橋にある将軍家御用達の扇店・善喜堂の娘である千秋は、方々の大店から「是非うちの嫁に……」と声がかかるほどの人気者。ただ、どんな良縁が持ち込まれても、どこか物足りさを感じ、首を縦には振らなかった。そんなある日、千秋は常磐津の師匠の家に向かう道中で、八丁堀同心である芦川柳之助と出会い、その凛々しさに一目惚れをしてしまう。こうして心の底から恋うる相手にようやく出会えたのだったが、千秋には柳之助に絶対に言えない、ある秘密があり――。「取次屋栄三」「居酒屋お夏」の大人気作家が描く、涙あり笑いありの新たな夫婦捕物帳、開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 岡本さとるの面白い物語が始まりました。

    将軍家影武芸指南役として武術に強い千秋夫婦の活躍の物語です。

    善喜堂は、公儀隠密である御庭番などを訓練するために設けられた将軍家影武芸指南役の家として、剣術の流儀として名高い一刀流の祖である伊藤一刀斎の弟子・善鬼によって創設された。現在の当主・善右衛門には、妻・信乃、跡取りの喜一郎25才と娘の千秋19才がいる。そして善喜堂の主人一家と番頭、手代、女中などはすべて武術に秀でています。

    十九才になる千秋は、二十歳になるまでに結婚するように親から言われています。何度か見合いしたのですが、千秋の心に響きません、そんな時に、町で破落戸浪人に絡まれている所を南町奉行所の定廻り同心・芦川柳之助に助けられます。千秋は、柳之助に一目惚れします。

    柳之助に嫁いだ千秋は、将軍家影武芸指南役の善喜堂から町方が多く住む八丁堀に移って来ました。千秋に付いてきたのは、武術に優れた善喜堂の千秋付き女中をしていた16才のお花です。柳之助は、隠密廻り須川佐兵衛が襲われて重傷を負ったので、代わって凶悪な盗賊竜巻一味の探索をはじめました。

    それを知った千秋は、お花と一緒に柳之助を助けます。千秋のあまりの強さに驚いた柳之助は、千秋が将軍家影武芸指南役の家の者であることを知ります。凶悪な盗賊竜巻一味を捕まえた柳之助は、定廻り方から隠密廻り方同心に移っていきます。

    【読後】
    展開が早く、テンポがよく、読みやすいですが、読むのに時間がかかってしまいました。ちょっと荒唐無稽の感があります。公儀隠密の訓練所の教官である善喜堂の娘で、千秋も武芸に秀でていて、夫である定廻り同心・柳之助よりも強くて、柳之助を助けて動くという設定は、いままでにない面白い設定です。そのために柳之助をやさしく描いているために「うちの旦那が甘ちゃんで」の紅藤月也を連想してしまいます。次作が楽しみです。
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    八丁堀強妻物語シリーズ1作目《文庫本》
    2022.02発行。字の大きさは…中。2023.02.26~03.01読了。★★★☆☆
    図書館から借りてくる2023.02.12
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    《八丁堀強妻物語シリーズ一覧》
    02.銀の玉簪
    01.八丁堀強妻物語 2023.03.01読了

  • 本の名前と帯の「育ちがいいお嬢様には誰にも言えない秘密があった」のインパクトで本屋でちょっと秘密を確認して、すぐ購入。
    将軍家御用達の扇屋の娘はポッチャリ美人。20才までに結婚すると決めていたら運命の人が現れる。当初は父親に、先方も上司に反対されるが、母親と兄の応援で父親を説得。父親から老中にあげたら老中も大賛成し、先方の責任者の奉行にも了承を得る。秘密を隠しながら結婚するが、実は秘密を知る老中と奉行は旦那の同心に新たな任務を与える。
    ポッチャリで過去に失敗したお嬢様はダイエットに励み、旦那に隠れてお手伝いをするが、秘密は旦那にすぐバレるものの、何とか任務を果たす。
    簡単に秘密がバレてしまったので、シリーズ化はあるのかな・・?
    明るい内容で楽しく読めた。

  • 痛快時代捕物帳

    将軍家御用達の扇屋「善喜屋」は、影武芸指南役を裏の顔に持っていた。
    娘の千秋も、幼い頃から、隠密の手助けをし、事情を知る幕臣に高い評価を受けていた。
    その千秋が、夫と望んだ相手は、南町奉行所の廻り方同心、芦川柳之助であった。
    身分違いの二人が、想いを遂げるのは、至難の業。

    しかし、千秋の力を役立てたいとの思いから、奉行他の後押しで、晴れて夫婦となった。

    千秋の、裏の顔を知らない、柳之助であったが、
    盗人、竜巻の嵩兵衛を捕まえる為、潜入した時に、陰で助ける千秋に気付き、力を合わせ、事件を解決する。

    強い女性というところは、居酒屋お夏と似た内容。
    勧善懲悪で、嫌味がない。
    シリーズが進むうちに、もっと、面白くなるかも。

  • 表向きは大店の扇屋、実は将軍家影武芸指南家として暗躍している家の娘で女武芸者でもある千秋が恋をした。相手は南町奉行所の廻り同心柳之助。この恋を実らせ晴れて夫婦となれるのか。  
    隠密に活躍する武芸一家の娘という設定が面白い。片思いしてから恋が実るまでがあっさりとしか描かれてなくて少し物足りないかな。

  • Tさんのお勧め。

    幕府の”将軍家影武芸指南役”である扇屋の善喜堂。
    そもそもこの設定が無茶だが、
    その主人の娘である千秋が兄をもしのぐ武芸の達人、
    だが隠密の仕事で路地の板塀の間に挟まれてしまった、
    というのも無理やりな話。

    その千秋が(本当は全く危うくない)危ういところを
    町同心に助けられ一目ぼれ、と奇想天外な、いや、ありがちな話に転がっていく。
    老中の「下心」もあって、無事夫婦となれた千秋と柳之助だが、
    もちろんそれだけで済むわけはなく、
    千秋は潜入捜査を行う柳之助を助けることに。

    面白かった。
    無茶苦茶な設定だが、主人公千秋の一途な思いが核となって、
    うまくまとまっている感じ。
    千秋付きの女中お花が、柳之助のことをいらいらすると言っていたのに、
    千秋が思いを寄せていると判ったとたん、
    思いの外お似合いかもしれない、と思うところや、
    柳之助が潜入捜査の途中、
    千秋の登場で「おれの妻はいったい何者なのだ」と驚くところとか。

    強妻というタイトルから勝手に想像していた、
    たぶん、必殺シリーズのような話ではなくてよかった。

  • そんなね~

  • 2023.02.24

  • だが、御老中はずるい。

  •  岡本さとるさん、夫婦捕物帳シリーズのスタートです。「八丁堀強妻物語」、2022.2発行。八丁堀の同心、芦川柳之助24歳に嫁いだのは、千秋19歳。表向きは扇店、善喜堂(大店)の娘、実体は将軍家影武芸指南役の娘。千秋は付き添いのお花16歳をそのまま連れて芦川家に。船宿を営む叔父の勘兵衛40手前がいい味を。千秋、お花、勘兵衛の強いこと、強いことw。次巻が待ちどおしいです!

  • 「お勝手のあん」の作家の新しいシリーズの開幕!

    一刀流の祖、伊藤一刀斎の弟子、小野次郎右衛門忠明という剣客がいてやがて小野派一刀流の祖となるのだが、やがて柳生家と共に徳川将軍家の剣術指南役を代々務めることになる。その後継者を選ぶ時に、敗者となった物ではあるがその実力をかわれ「影武芸指南役」となった一派が善鬼。その子孫が将軍家御用達の扇屋「善喜堂」。その主人をはじめ家族や従業員全て武芸を極めた影の姿があった。

    その娘、千秋の初恋から話が始まる。
    将軍家からの依頼で幕府の安寧を妨げる輩の排除に動くのが善喜堂のものたち。

    主人は娘には危ない仕事をしてほしくはない。
    大きな商家に嫁がせたいと思っているが千秋は八丁堀の定町周り同心の「芦川柳之助」に一目惚れをして嫁いでしまう。かねてから千秋の腕を高くかっていた老中青山もこの婚姻を応援。

    千秋とその女中お花と、二人を応援する叔父の勘兵衛も力になり、芦川家一丸となって奮闘!

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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