- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094072303
作品紹介・あらすじ
子をはぐくむのは血ではなく愛のつながり 1970年代に起きた「赤ちゃんあっせん事件」の真実。命を守るため不屈の闘志を燃やした産婦人科医・菊田昇の信念の物語。1926年石巻に生を受けた昇は、母が営む遊郭で育ち、女達のおかれた厳しい現実を目の当たりにする。医学部へ進み産婦人科医となった昇は、子供の命を救うため、望まぬ妊娠をした女性と、子供を望む夫婦の橋渡しを始める。それは法を犯す行為でもあった。マスコミによって明るみになり、世間を揺るがす事件へと発展。それでも命を守るという信念を曲げることなく国を相手に闘い続け、悲願の「特別養子縁組」の法律を勝ち取った。 ノンフィクションの旗手・石井光太氏が取材を重ね、「赤ちゃんあっせん事件」の裏にある真実を描いた評伝小説。解説はTBS・久保田智子さん。
感想・レビュー・書評
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石井光太『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』小学館文庫。
数々のノンフィクションで有名な石井光太が綿密な取材により『赤ちゃんあっせん事件』の裏にある真実を描いた評伝小説。
自らの立場が危うくなることも辞さずに新聞に『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』と広告を出した菊田昇医師の勇気たるや。
世の中には誤った法律やルールが多数ある。こうした間違った壁を壊すために費やすエネルギーは並大抵ではないだろう。
1926年、石巻に産まれた菊田昇は、母親が営む遊郭で育ち、遊女たちが味わう厳しい現実を目の当たりにする。母親の強い勧めで医学部に進学した昇は産婦人科医となり、望まれぬ妊娠で命を失う子供たちを救うために法を犯して、養子縁組の橋渡しをする。
その行為がマスコミに知れると、世間を揺るがす事件へと発展する。それでも昇は尊い命を守るという信念を曲げず、国を相手に闘い続け、悲願の『特別養子縁組』の法律を勝ち取るのだが……
本体価格800円
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第一章からぐいぐいと引き込まれ、一気に読んだ。「実話を元に紡いだ評伝小説」とのことだが、読み終わってから菊田昇氏についてざっと調べたところ、小説的な味付けはされているにせよ、概ね事実なんだろう。
特別養子縁組制度というのが、自分が生まれる前から問題提起されていて、成立したのはずっと後だということに衝撃を受けたし、
ものすごい信念を持った医師が尽力したということに感銘を受けた。
そしていまだに、乳児置き去りや虐待など日々のニュースを見てもやもやすることがあるのも現実だ。
皆が問題意識を持つことはなかなか難しいが、私はこの評伝小説を通じて、ひとつの現実を知ることができてよかった。
ぜひ、映像化してほしい!! -
涙なくしては読めない、
命の重さ、尊さについて考えさせられる。
正しさとはなにか?
正義の反対はもう一つの正義
という言葉を思い出した。
正しいことをするという
主人公の医師の想い。
いろいろな立場の人がいる中で
何が正しいと言い切れるのだろうか。
望まぬ妊娠をした女性、
生まれてくる子ども、
生を受けても生きることができなかった子ども、
周りの大人たちのきもち
宿った命。
人が決められることではないけれど
誰かがどこかで決めなくてはいけない、
不条理、やるせなさ、葛藤、
考えて結論を出すことではないけれど
いたしかたなく、誰かが決める。
なんとも言えない思いで読んだ。
結局は自分が信じる道を進むしかないのだろうな。
自分自身の過去の経験もよぎった。
また医師が知らなかった母の想いにも感涙。
気丈で冷たく非人情だと思っていたが
母なりにやさしさ、思い遣りをもっていたことに
気づく。
実は自分の知らないことがたくさんあって
見えていないだけなんだと思った。
法が改正されるという裏には
こんなにも多くの人の想いがあることに
気がつかされた。
意志を貫く、という言葉では軽すぎるくらい
重くて尊いものがそこにはある。
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事実を元にしたフィクション作品。
全く知識がなく色々と衝撃的な作品でした。
7ヶ月まで堕胎が認められていたとは。
堕胎手術で産声をあげる子と、その子に手をかけなくてはならない医師。
まさに法律の狭間に落ち込んだ問題。
作中に出てきた『生まれてくる子の命より法律が優先される社会』というのが心に残った。
それに徹底的に抗った素晴らしい医師の話でした。
堕胎手術で産声をあげる子がいる、そしてその子を殺めなくてはならない医師のために7ヶ月堕胎禁止を。
そして堕胎期間を過ぎても堕胎を望む親に、望まれず生まれてきた子のために特別養子縁組を。
いつだって歩みを止めようとするのは、こうなってしまったら?ああなってしまったら?の声だなぁ。
@手持ち本-
こんばんは!
田宮さんのレビュー、いつも楽しみにしています
(๑>◡<๑)
今回も勉強になりました。
救える命と向き合える社会になると良い...こんばんは!
田宮さんのレビュー、いつも楽しみにしています
(๑>◡<๑)
今回も勉強になりました。
救える命と向き合える社会になると良いですね。
ありがとうございました!2023/02/23 -
(S&U)様
こんばんは~!コメントありがとうございます!
相変わらず言いたいことがよく分からない脳内ダダ漏れの感想ですが、読んでいただけて...(S&U)様
こんばんは~!コメントありがとうございます!
相変わらず言いたいことがよく分からない脳内ダダ漏れの感想ですが、読んでいただけてコメントくださってとても嬉しいです(◍•ᴗ•◍)
読書にあまり意味を求めていないのでノンフィクションに近いものはめったに読まないのですが、今回は唸らされました〜。
よかったらぜひ!2023/02/24
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重苦しくて、途中でやめた。