がいなもん 松浦武四郎一代 (小学館文庫 か 4-9)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072754

作品紹介・あらすじ

「北海道の名付け親」の生涯を描く傑作小説 明治十六年、絵師の河鍋暁斎を訪ねた松浦武四郎は、その娘・豊の問いに応じて自らを語り始める…。 武四郎は文化十五年、伊勢国に生まれた。竹川竹齋から〈神足歩行術〉を学び、地図や道中記を見て各地を旅したいという夢を抱く。十六歳で家出して江戸に行ったことを手始めに、全国を旅するようになった。その後、蝦夷地で頻繁にロシア船が出没していることを知り、都合六回に亘る蝦夷地の探検を行った。アイヌの人々と親しく交わり、大自然に寄り添った生き方に敬意を感じていた。なかでも、ソンという子どものアイヌを可愛がり、別れた後もその消息を確かめ合うことになる。江戸に戻った武四郎は様々な記録や報告書を作成し、和人によるアイヌへの搾取の実態と救済を訴え、九千八百ものアイヌの地名を記した地図を作成した。蝦夷地通としても、吉田松陰や坂本龍馬にも助言をした。そして、北海道の名前の制定に関わる。 幼い頃から好きだった古物蒐集家としても知られるようになった。晩年には、率先してユニークな墓や棺を用意するという終活の達人でもあった。 並外れた行動力と収集癖、膨大な執筆物で多くの人を魅了した人物を描いた伝記小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は、「第3回北海道ゆかりの本大賞」「第25回中山義秀文学賞」「第13回舟橋聖一文学賞」を受賞しました。今回、WBCの栗山英樹監督が推薦コメントを寄せてくださっています。解説は、札幌大学の本田優子教授です。

感想・レビュー・書評

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  • 河鍋暁斎の娘、豊(暁翠)を通して知る松浦武四郎の生涯。
    さすが河治さんは偉人にも近寄り難い威厳を纏わせるのではなく、極めて人間臭い愛すべき人物として生き生きと伝えてくれる。数々のエピソードが面白いかつ強烈すぎ、人脈が豪華過ぎて「盛り込むなぁ」と思っていたら、調べるといちいち事実だからさらに驚愕する。こんな人がいたなんて…
    ソンもまたきっと実在したのだと思えるほどの存在感だが、こちらはおそらく創作だろう。悲しいばかりだった彼女が幸せになって少し救われた思いがする。


    あとがきにあるように文字として残ったものは「史実」になるけれど、歴史は残らなかったものの方が多い。殆ど残らなかったと言っていいくらい。だけどそれは絶対に存在していたはずなのだ。実情を書き遺し、消されないように封印した武四郎の千里眼のような先見性には驚かされる。
    最近はゴールデンカムイの影響からかアイヌブームで関連作品や展示がたくさんあり、その文化は大変興味深いのだが、自分はアイヌを虐げ滅ぼさんとしたした側の民族だという事実に心が痛む。

    アイヌ文化の記録に尽力したイザベラ・バードの『日本奥地紀行』少し時代がくだった小説『熱源』をもう一度読み直したくなった。

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