逆説の日本史12 近世暁光編(小学館文庫) (小学館文庫 い 1-21)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082739

感想・レビュー・書評

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  • 12巻は徳川家康。
    家康がどのような深謀遠慮を以て幕府を築いたかがよく分かる。「敵は分断して統治」という原則に従って本願寺の牙を抜いた手法などは、筆者も指摘するように凄腕だと思う。
    宗教勢力を政治の支配下に置くという、現代の世界でも成し遂げられていない事を、信長、秀吉、家康は断固として実行した。日本に宗教戦争がないのはこの3人のおかげ。
    感謝しないと。

  • 天下泰平と家康の謎

  • ここまで読み進み確信したのは、井沢シリーズ歴史の見方だけでは、やはりいけないのではないか。

    氏の見解と客観的事実が、判然と区別できない時がある。私の歴史認識の甘さや、知識の少なさも当然あるのだろうが。
    ともかく、批判的な態度、多角的な見方だけは失わないでいたい。

  • ご本人とその政治的主張は非常にクセがあり(マイルドに言って)、好き嫌いが別れそうですが、彼の通史は本当に面白い。「怨霊信仰+コトダマ+ケガレ忌避+和の精神」という日本人の宗教観をベースに古代史から現代までを新たな視点で考察しています。粗い・甘い箇所もあるけど掛け値なしに面白く、目から鱗。考えさせられます。

  • 関ヶ原の合戦から、徳川幕府成立までを描く。

    関ヶ原で敵に回し、
    領主の毛利輝元をうまくハメて120万石を36万石に
    圧縮した一方で、
    正面突破で戦死者を膨大に出しながらも勇猛さを
    示して帰ってきた島津家。
    そして西軍に味方して取り潰された長曽我部盛親と、
    そこに論功行賞で入ってきた山内家
    (そこから、上士と下士の身分差がはじまる)。
    この人々が、260年後の倒幕の主軸となるのだから、
    歴史のおもしろさというか、
    すぐ忘れられてしまうカルチャーと、200年以上も
    受け継がれるカルチャーの違いを考えると大変興味深い。

    また大坂冬の陣・夏の陣に関しては
    「戦争が終わっては困る、俺は名を上げたいのだ」
    という浪人たちのすさまじい出世願望と、
    豊臣家の財力が結びついた結果、とてつもない大きな合戦に
    なったのだと知った。

    あとは、家康の巧みな統治の算段と自分の家が残るようにした
    策謀の数々には舌を巻くが、
    「もしものときの保険として、天皇家の味方をすること」を
    目的に作られた水戸徳川家というのは、
    もっともユニークなものかもしれないと思う。
    まぁ、そこで発展した水戸学が、幕末期の倒幕の思想指針に
    なってしまうことまでは、さすがの家康も読み切れなかったという
    ところだろうか。

    あとは、宗教勢力のコントロールということについては
    以前の巻から「信長→秀吉→家康という一連の流れで見よ」
    (なぜなら、後継者たちはその苦労の様を見ているから)
    ということを著者が書いているが、
    それがまさに家康の
    「東西の本願寺の分断」という一向宗の工作で見事に完遂するわけだが
    それも若かりし日の家康の絶望的経験に根本があったかと
    思うと、経験が人間を教育するのだなぁと改めて思う次第だ。

    以来、日本国内では宗教間の武装闘争はなくなったわけであり、
    三英傑のこの仕事については、
    別に誰が好きとか嫌いとかに関係なく、感謝していいと思う。

  • 天下泰平と家康の謎

    ・徳川幕府の成立Ⅰ
     序章としての関ヶ原編―「天下分け目の戦い」でいかにして勝利し たか
    ・徳川幕府の成立Ⅱ
     泰平への長い道編―保守主義者が好んだオーソドックスな手法
    ・徳川幕府の成立Ⅲ
     天下泰平の構築編―賢者のライバルつぶしの秘策「分断支配」

  • 2005年のハードカバー発行時に読んでいましたが、6年ぶりに再読。関ヶ原の駆け引きはいろいろな本で何度読んでも本当に興味深いですね。(例: 司馬遼太郎さんの「関ヶ原」等) その後の幕府の仕組み作りも含め、家康という人の凄さ… 当たり前ですが。

  • 鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス―遂に徳川家康の時代が始まった。
    彼が人生の大半で体験してきたこと、それは戦国時代を、いや、世の中そのものわどう切り抜けていくのかかということであった。

    信長、秀吉は言うに及ばず、源氏や足利氏などからもその生き方を学んでいる。だからこそ、その体制は260年の長きに渡って維持されたのであった。


    12巻まで読了し、やっと気づいたことがある。井沢史観はアンチテーゼであるということだ。対になる“一般史観(学校史観)”があってこそ、その価値に気づくのだ。もし先に井沢史観から入っていたら、見識もないのに世の中を批判するだけになっていたことであろう。
    結局、双方を知り自分で立体的に歴史を捉えることでしか、その実態は見えてこない。そんな気がする。

  • 信長・秀吉、2人の独創的な支配者の興亡を目の当たりにした家康が75年の人生を目一杯に使って築き上げた徳川幕府。
    その権力の簒奪から確立までの権謀とその真意。
    諸大名及び宗教勢力の統制政策、信長・秀吉からの流れで読み解く見方に納得。

  • 徳川家康の天下統一に至る思想や戦略が詳細に描かれており、自分なりに家康の「すごさ」を理解。関が原の戦いにおける各武将の策略も興味深く描かれており、現代の社会における政治的な動きと多々共通することもある意味で参考になった。
    この徳川の歴史も武将らの判断や行動ひとつで大きく変わっていたのだなぁということを感じつつも、家康の力を実感した一冊。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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