国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖 (小学館文庫 か 4-4 国芳一門浮世絵草紙 3)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 79
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083965

作品紹介・あらすじ

<鬼振袖(おにふりそで)>とは薹(とう)の立った娘の振袖姿のこと。浮世絵師国芳を父に持つ侠風(きゃんふう)な美少女登鯉にも、いつの間にか甘やかな娘時代は過ぎてゆく。初恋の男の凄惨な自死、遠島になった最愛の男との思いがけない再会とその恋の行方、しがらみに縛られて素直になれない若親分への淡い想い……。
一方、相変わらずの即席頓智(そくせきとんち)で発禁覚悟の諷刺画を描きまくって世間の喝采を浴びていた国芳は、遠山が奉行を勤める南町奉行所隠密廻りによって、要注意人物として行状を密かに探索されることに……。昔なじみの金さんがなぜ? 『侠風むすめ』『あだ惚れ』が絶賛された、シリーズ第3弾!

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズは本当に面白い!大きな声では言えないけど、私も国芳の狸の絵が好き。でもこれが本の表紙に使われるなんて、国芳もびっくりだろうな。

  • 国芳の長女登鯉(とり)が主人公。
    シリーズ第3巻目。

    北斎の娘、お栄と登鯉(とり)は火事の見物でたびたび出くわす。密かにお栄に憧れを抱いている。
    お栄はあまりに名前の大きな存在である父を持つ絵師としての自分と同じ境遇の主人公を好ましく思っている。
    そんななか、北斎がついに亡くなる。
    嫌われている国芳は葬式に娘を代わりにおくる。

    鳥居耀蔵がお役御免となった後、江戸市中も楽しみが復活。虎の親戚、豹の見物をすると疫病にかからないという噂が出て国芳たちは繰り出す。そこで、迷子に出会う。
    尾張藩の藩主の跡目争いの最中にまだわずか10歳で田安家から尾張藩の藩主となった少年だった。
    当時の尾張藩は幕府に睨まれ、直径の藩主を立てられない時代が続き常に跡目争いが起こっていた。
    国芳の家に連れてきた迷子の様子、その様を一つの物語にしていて秀逸。

    などなど、どのエピソードも傑作の回。

  •  「まったくどいつもこいつも、どうしてこの頃の奴らは嫁に行こうともせず、もらおうともしねぇんだ?」

     鬼振袖とは、生き遅れの女が着る振袖のこと。
     
     三宅島に島流しになっていた彫師、乃げんが江戸に帰ってきていたが、登鯉の顔を見るなり顔を伏せて逃げてしまった。
     未だ乃げんのことを好いている登鯉は探そうとするも、乃げんが島で女を作って子どももできたという話を耳にする。
     
     ここは天下の江戸の街。
     尾張の殿様が祭見物に来ていたり、奉行の隠密が国芳に弟子入りしたりと何でもござれ。
     今日も紋紋を背中に背負った連中が喧嘩に明け暮れ、街の火事は江戸の華。

  • 登鯉ちゃんが段々大人になって(それでも19歳なんだけど)、じれったい、心許ない感じ。
    「市芳」は泣けたなあ。
    他の時代小説だったら、国芳一門の知恵と荒業でお殿様を助けちゃうところだけど、あっさり死んじゃうのが本当の江戸っぽい。

  • 連作短編5編
    それぞれの人が成長し味わいも深みも増してくるが,変わらぬ国芳の懐の深さと人情に安心できる.江戸っ子の独特のキレのいい言葉と絶妙な言い回しに思わずニヤリとしてしまう.少年藩主と登鯉たちの交流と悲哀を描いた「市芳」が良かった.

  • 歌川国芳の娘・登鯉を主人公としたこのシリーズは1巻から面白いのですが、この3巻はたまらなく良かった!3話目、尾張藩13代の少年藩主の話『市芳』なんか泣けて泣けて…。そして絵師の話だけあって衣装や彫り物に施す柄の懲りようも想像するととても楽しい。『狸汁』に登場した老中・阿部様、また出ないかな~。老中というと登鯉と同じ様に中年以上を想像しちゃうよww。

  • 国芳一門浮世絵草子シリーズの第3作。
     
    今までの伏線や、キャラ立てがあるからこそだとは思いますが、
    一気に今巻から厚い話になったな!という印象です。
     
    1作目あたりはちょっと辛かったのですが、
    キャラも覚え、話も一気に回り始める今巻は睡眠時間を削って一気読みしてしまいました。
     
    僕は収録されている中では
    「市芳」が切ないやらいじらしいやらで大変好きです。

  • 去跡(かえりあと):遠島になった乃げんとの恋
    狸汁:南町奉行所の隠密廻りによって要注意人物にされる国芳
    以上2作品が特にお気に入り

    去跡は実にいいね!登鯉の心情が胸にせまる

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