ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫 い 38-1)
- 小学館 (2012年12月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094087826
感想・レビュー・書評
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原罪とは。アダム、リリス、エヴァ。アダムの前に人はいたか。キリスト教と資本主義。個人名ユダと民族名ユダヤは無関係でキリスト教徒は、わざと混同し罪をユダヤ人にかぶせた…等々知の好奇心を刺激する。
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やはりその道のプロはいいですなあ。池澤さんのツッコミに響くような秋吉さんの返し。聖書が違うものに見えてきました。
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◇朗誦と表、スクロールとコデックス、線と表、二種類のテクスト。後者の果てがウィキペディア。断片。
◇ヘブライ語には母音がない。
◇ヘブライ・ユダヤ→ヘレニズム→キリスト・ギリシャ。
◇ヘブライ語には過去形がない。「神は言った」ではなく「言っている」。ユダヤはむしろイスラムに近い。
◇「汝の隣人を愛せ」ではなく「汝のような隣人を愛せ」。まずは身内を。
◇多くある聖書の聖典化。
◇原罪=生きるべく造られていたにもかかわらず、死を選んでしまった。
◇ユダヤ人は徹頭徹尾現実的な考え方。
◇ダビデ。
◇多くの異説を並列して、仮に全部受け取る。融通性。
◇ユダヤ人=知的システムに乗っているかどうか。
◇兄弟の盃を交わす。
などなど。勉強になった。特に第1部の聖書の成り立ちが。 -
主としてキリスト教の基礎的な知識がないと、話されている内容の理解は難しいかもしれない。どちらかというと、初心者向けではない。
ヘブライ語には過去形がなく、それゆえに「中近東を考えるときには、ギリシャ・ヨーロッパ流の縦の歴史を横にして考えるといい」(p.34)という考えは目からウロコであった。なるほど、そう考えれば、現代のイスラエルとパレスチナやアラブ諸国との紛争も別の見方ができる。
そういった意味では、本書はキリスト教やユダヤ教といった宗教学だけの対談集ではない。非常に(難しいけど)勉強になる一冊である。 -
まずは聖書といっても旧約聖書と新約聖書があるが、主に旧約聖書についてのお話である。そして、それゆえキリスト教というよりもユダヤ教の話が多いようにも思うが、ユダヤ教の話として、とても面白い。そもそも旧約聖書自体が、その年代に比してあまりにも記録が残りすぎている、ちょっと異常なものだと言えるし、そこに残る思想が我々のような日本人から見て意外・想定外なものが多い。ヘブライ語には時制がないというのはその代表的なものだろう。
そのわかりにくいユダヤ教を、対談形式でわかりやすく伝えてくれるありがたい本だと思う。