とある飛空士への誓約 (9) (ガガガ文庫 い 2-21)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094515824

作品紹介・あらすじ

飛空士シリーズ、ついに感動のフィナーレ!

ついに二千年来の悲願であった「天地領有」のために動き出すウラノス。一千隻を越えるウラノス飛空艦隊が西進を開始したなら多島海は滅亡するしかない。世界の命運をかけ、多島海連合軍首席参謀バルタザールは史上最大の奇襲作戦「オペレーション・オーディンズ・スピア」を立案する。片道切符の作戦に参加した清顕とイリアは、仲間たちと共に王都プレアデスを目指すが……。

「神さまの造ったこの星が太陽に呑まれ爆発して文明も人類も永劫に消滅してもなおきみと共にいたい」。

空にあこがれた少年少女が織りなす恋と空戦の物語――『とある飛空士への追憶』から始まった七年以上にわたる壮大な飛空士シリーズが、これにて完結……!

感想・レビュー・書評

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  • 飛空士シリーズの大団円。
    第一作の追憶から追いかけてきた身には、ああ、これで終わったんだなあ、というなんとも言えない感慨が湧いてくる。
    もちろん、この巻は誓約の最終巻なので、物語の中心はあくまで誓約の立場からなのだけど。

    本巻はプレアデス奇襲作戦の全貌。
    最後を飾る空戦場面はさすがに気合が入っていた。
    すべての飛空士シリーズの主人公揃い踏みで(一部憑依してたけど笑)、いやが上にもワクワクする。
    ただ、それだけに話が少し散漫になってしまったかもしれないけれど、でもまあそれも、シリーズファンへのちょっとしたサービスのようなものだよね!
    あと、これだけエースがいるんだから、ジェット戦闘機とカーナシオン、その全てを清顕に任せたのは、ちょっとやりすぎかも。
    ジェット機のひとつぐらい海猫さんに任しても良かったかな。

    シリーズのテーマである「恋と空戦」の恋の方はというと、清顕が選んだのはイリアだった。
    いや、なんというか、幼馴染みが結ばれないのはこのシリーズのお約束みたいなものなので、そうだろうなあと思ってた。
    でも、ファナやアリエルよりは寂しさを感じなかったのは、ライナがいたからかな。

    カルエルとクレアの再会場面も良かったなあ。
    もっと長く描かれても良かったな。
    空戦場面以外のカルが能天気すぎて笑うけど。
    笑うといえば、やっぱりバルタとセシルのやり取りはサイコー。
    おもわず吹き出してしまう。

    そしてバルタさんとかぐらさん。
    やっぱりそう来なくちゃね。
    二人の再会場面直前のバルタさんの言葉がいい。
    でもそのあとのバルタは、いやそこは黙って抱きしめるところだろうに。
    何かたまってるんですか(笑)
    でも良かった。
    本当に良かった。

    そしてラスト。
    そう、こんな場面を見たかったのだ。
    これでこそ大団円。
    飛空士シリーズとしては珍しく(?)心置きなく読み終われる。
    ただもしひとつだけ望めるならば、もう一度、ファナに会いたい。
    あの気高い始まりのヒロインに。
    そんな短編をいつか書いてくれないだろうか。

    最後まで楽しませてもらいました。
    ありがとうございました。

  • 『追憶』から考えればあまりに長い物語になったせいか読み終わった瞬間の読後感はなかなかのものがあった。全17巻で毎回それなりの暑さが有ったことを考えるとはライトノベルとしては本当に重厚な物語になった。特に主人公陣が勢揃いした挿絵を見たときは心が震えたよ
    十倍近い相手、次世代戦闘機を相手にすると聞いたときは一体どれだけの飛空士が生き残れるか、もしや主人公人の誰かが撃墜されてしまうのではと危惧していたのだけど、そんな心配要らなかったというか圧倒的過ぎない!?海猫と魔犬なんて300機近い相手に囲まれながら何事もなかったかのように生還するなんて人間業じゃない……
    これを超える戦闘シーンってもう出会うことはないんじゃないかと思うほどの壮絶な展開だったよ

    そしてこれまで散々好き勝手やってきたゼノンが酷い目に遭うラストにはスカッとしたよ。四肢破壊に近い状態で豚攻めされるゼノンの絵面は気持ち悪いだろうけど、思いっきり笑ってやりたいね
    ウラノスの黒幕ポジションが軒並み捕まっていく流れや空戦で圧倒してしまう展開はある意味ご都合主義的なんだろうけど、あれだけ苦しい思いをたくさんした面々なんだから最後くらい規格外のハッピーエンドが有ったっていいじゃない

    ある程度ミオとイリアから好かれていることを自覚して、自身も二人を好いていた清顕だけど、きっぱり結論を出して告白したのは潔いな。『恋歌』のカルエルも三角関係だったけど、アリーの想いには気付かずに終わっていたからな~。でも、決死の出撃前に結婚の約束は死亡フラグド真ん中じゃないですか!

    もう揃うことがないと思われたエリアドールの7人が勢揃いした場面は感無量。清顕とミオの子供が知らず知らずのうちに親と同じことをシーンはちょっとニンマリしてしまう……。個人的には他の面々の後日談が少ないような気がしてしまう。カルとクレアなんて『恋歌』の主役であとは再会するだけだったが殆どの読者はその再会を長い間待ち望んでいたのだからもっとページ数を割いてほしかったような……。

  • まずは8年間にわたり、クオリティを落とさずコンスタントに物語を紡ぎ、広げた大風呂敷をキレイにたたんで、シリーズ完結を成し遂げたことに敬意を表して、★5つ。

    個人的にはもう少し切なさの残るラストを期待していたのだけど、これはこれでいい締めでした。
    カルとクレアとアルバス一家のその後については、ちょっとスピンオフで読んでみたいような。
    「あの人」と彼のその後については、あえて描かなかったんでしょうね。ちょっと寂しいけど。

    前巻から強烈にねじまがったスーパー横恋慕男が出てきたせいか、
    カーナシオン→イリア、ゼノン→アメリアあたりの妄執は決着しないまま放置(笑)

    4人のエースの戦いっぷりの描写が圧巻。
    リアル描写で空戦技術の凄さを強調するより、
    比喩と叙情的な表現を駆使して、読み手の想像力を働かせたのは正解だと思う。
    そして、ジェットエンジンを登場させたのは、
    作者自身が、この世界と決別する意志の表明だったのではないかと。

    めでたくシリーズ完結ですが、
    空の果てとか、大瀑布とか、世界観に絡む話はもっと読んでみたかったなあ。
    平和な時代に生きる次世代たちが空飛ぶ探検家になって、とかスピンオフにならないかな。無理か。

    「追憶」の劇場版といい、「恋歌」のテレビ版といい、
    このシリーズはアニメ化のクオリティに恵まれていないので、今作をアニメ化する場合は、できるだけ原作の良さを生かしていただきたいものです。テレビや映画より、Netflix等の配信サービス向きかも。

  • 「とある飛空士への」シリーズ最終巻。おもいっきり堪能させてもらいました。
    この作者の素晴らしいところの1つに、主要キャラであっても容赦なく作中で死亡させてしまう容赦の無さと、ストーリーにおけるハッピーエンドを両立させることがあると思う。特に前者によって、いわゆるお約束展開に凝り固まること無く、いつも読者の予想の上を行く展開が可能になるのだと思う。(このシリーズの読者なら、8巻でそれを感じたのではないだろうか。)
    ただ、この巻に限って言えばやや展開が読めてしまった感は否めないが、シリーズ集大成の最終巻だから仕方のない面もあるだろう。

    ストーリーとしては、今までのシリーズの主人公たちが勢揃いする、シリーズのファンにとってはたまらない空戦描写と、「誓約」としてのラストを飾る終章が何よりのみどころだろう。
    どちらも、初めて「とある飛空士への追憶」を読んだ時の衝撃と、「とある飛空士への誓約」を読んだ時に感じた物語世界の壮大さや、誓約の言葉に秘められた感情の大きさを思い起こさせるに足る文章であったと思う。

    このシリーズの感想ではもう幾度も書いてきたが、風景描写や心象描写における言葉の美しさは、最終巻になってますますその洗練さを増している。
    小説の中でこのシリーズが最も好きであるという私の個人的感情も多分に含まれるだろうが、それでも敢えて書き残しておきたい。
    登場人物ひとりひとりの心のありようを美しい文章で追体験しながら読み進める後半部分、そしてラストシーンは、もうこのシリーズの続きを待てないのだという倒錯した感傷とともに、私の心の中の風景として永く残り続けることだろう。

    この本に出会えてよかった。


  • シリーズ完結編。

    完結編だけあって各シリーズの主人公がそれぞれ、特に直接の前日譚にあたる「恋歌」の主人公がようやくラストを迎える。

    追憶から7年。本当に長い間読ませてもらった。
    お疲れさまでした。

  • あの時は確かにあったんだよね。絶望的な状況は何度もあったけど、あの時の誓いが支えてくれたんだよ。みんな色んな理由立場があるから、そしてその立場は変わり続けるものだけど、憎しみは無いと信じられたから、戦えたんだ。守ることができたんだ、大切なものを。大切なものは、不得手いくけど、すべてはあの時に始まっていたんだ。

  • 完結巻。
    終わってしまった。
    追憶から始まった飛空士シリーズとしても完結。

    誓約では主要メンバー誰も死亡しなかったので、過去作品と比較して「ぬるい!」と感じた。

    シリーズの特徴だと個人的に思ってた、切ない終わり方じゃなかった。ハッピーエンド好きなので、それはそれで嬉しい。

  • ガガガ文庫創刊年度からやってきた飛空士シリーズが完結ということで、本当にお疲れ様でしたー!
    このシリーズに出会えたことにまずは感謝しよう。多少ご都合主義なところはあったけど、映画を観ているような感覚で堪能させて頂きました。
    気になるキャラのその後やその他諸々はスピンオフで読みたいガガガ!

  • 言葉にでけへん

  • エリアドールの7人の最終章。
    最後はハッピーエンド?に近く、とても感動する。

  • 終わってしまった!!!!( ༎ຶŎ༎ຶ )
    もう本当、最後は大盤振る舞いの大団円!という感じで
    もう確実にそうなるだろうってのはわかっていたけれど
    それでも胸躍り
    ハラハラし
    ひとつひとつの感情を分け合ったような
    そんな感覚で読み終えた

    いつか見た遠い夏の日の鮮やかな青と白に
    焦がれるように思いを馳せて
    一緒にどこまでも飛んでいきたい

  • すっきり完結。クライマックスは劇場版オールスターズな感じで楽しめました。これで一連のシリーズが終了なのか今までのエピソードもしっかりまとめて大団円。1巻読了時には最後には泣かされるんだろうな…みんな死んじゃうのかな…と思ってましたが、作者さんにしては意外なラストでした。まぁそれでも1ページ毎にハンカチが必要ではありましたけども。
    次の世代へと受け継ぎこのシリーズを続けて欲しいところです。もっと読みたい。

  • 最後まで書いてくれた作者に感謝。

  • 最終巻「プレアデスの奇蹟」の顛末、本筋では大団円は読めていたので戦闘シーンはそこそこの盛り上がり。でもでもあれだけの主人公恪が登場してしまうと、やや中途半端感は否めないと感じてしまった。海猫さんの活躍がもっと見たかったし、失われていた歳月のことも知りたかったな…

    カルエル&クレアもハッピーエンドだけど、やはり本筋からずれていたので詳細が省かれてしまったような?

    エリアドールの7人はそれぞれ世界を変える大活躍したわけだけど、彼らの行く末については…以下ネタバレ




































































    やはりライトノベルなんだ~ってやや落胆してしまった。ミオとライナがあぁいうカタチで逃げ落ちるとはね!かぐらもやっぱり存命だったし死人が出ないというのは、ホッとできるけど、物語的にはちょっとつまらない、と感じてしまう自分もいる。

    もしアニメになるなら脚本はきっちり原作準拠でお願いしたいところです。なにはともあれ「飛空士シリーズ」はこれで完結、「犬村先生おつかれさまでした、ありがとう!」と言いたい。

  • シリーズ最後を飾るいい話だった... あの人やあの人の活躍、そして気になる3人の結末... とても気になる誓約の最終巻でした!

  • 初代主人公、生ける伝説、海猫。 
    二代目、風に愛された王子、カル。 
    三代目、本物の「空の王」、の血を継ぐ魔犬。 
    四代目、最後の「空の王」、清顕。 
    この四人が共演する空。感無量とはこのこと。 
    飛空士シリーズに出会えたことに感謝。 
      
    そして、エリアドールの「七人」。一人でも欠けていたら起こせなかった奇蹟。これぞ天命。まさに奇蹟。 
    カルエルもクレアとの約束を果たした。  
    シャルルはファナと再び会えたかな。会えたといいな。  

      

    『友情は永遠だ』  

                        HAPPY END      





    全員集合してる絵、ポスターで欲しいなぁ。

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著者プロフィール

1971年生まれ。小説家。代表作に、「とある飛空士」シリーズ、『レヴィアタンの恋人』(ともにガガガ文庫)などがある。

「2014年 『サクラコ・アトミカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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