千歳くんはラムネ瓶のなか (6) (ガガガ文庫 ひ 5-6)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094530223

作品紹介・あらすじ

私を見つけてくれて、ありがとう

すべては変わってしまった。
唐突に、劇的に。どうしようもないほど残酷に。

けれど、ひとりで塞ぎ込む時間を、彼女は与えてくれなかった。
「あの日のあなたがそうしてくれたように。今度は私が誰よりも朔くんの隣にいるの」

――1年前。まだ優空が内田さんで、俺が千歳くんで。
お互いの“心”に触れ合ったあの日。俺たちの関係がはじまったあの夜を思い出す。

優空は言う。

「大丈夫、だいじょうぶ」
月の見えない夜に無くした何かを、また手繰りよせられるというように。

……俺たちの夏は。まだ、終わらない。

感想・レビュー・書評

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  • 乗り越えた。
    あの衝撃的な出来事を全員で乗り越えた。
    朔、優空、夕湖が中心ではあるけれど、チーム千歳の面々も感情をあらわにして思いをぶつけ合う。最後はちゃんと話し合うことの重要性が説かれていて、健太の1巻からの成長も飛び出し、大団円へと結びつく。
    恋愛においてこんなにも思考して、言語化して、そしてそれを3者が理解するなんていう奇跡を目の当たりにして呆然とした。
    本当に乗り越えてきたとは…。
    二度と来ない17歳の夏を越え、皆の二学期が楽しみだ。

  • 【電子】チープだけど一言で言って神回。チーム千歳の全メンバーの本心を、やっと知ることが出来た今回です。それぞれの心情が深く描かれていて、そのいずれにも鳥肌が立つような思いがしました。特に夕湖がどういう決意であの場面で告白したのかが吐露されるシーンは涙なしでは読めません。また、健太の一言にはしびれました。しっかり「非リア成り上がり」を行っていて嬉しい。「雨降って地固まる」とは良く言ったもので、本章は『千歳朔』を中心とした関係が新たな方向へ向かう一つの分岐点だったのだろう思いました。続きを楽しみにしています。

  • 不覚!!
    ラノベで涙してもた…

  • 優空がメインの巻。母親がいなくなったことにより心に蓋をしていたけど、朔によって破られる。あまり比べるものではないかもしれないけれど、朔に救われた度合いの大きさは優空が一番なのかな。

    夕湖を元気づける海人もかっこいい。自分の好きな人が好きな人の話をされるっていうのはかなり辛いはずなのに。

    みんなそれぞれの思いを抱えていて、青春だなぁ。こんな学生時代を送ってみたかった 笑

  • 人を好きになるってどういうことなのだろう?
    その好きに名前をつけなければいけないのか
    友達としたり
    恋人としたり
    特別としたり
    今の関係で良いと思っていたのに
    今の名前で良いと思っていたのに
    このままでは終わらないと思って
    少しだけ変えたいと思って
    そのためには
    伝えないわけにはいかなくて
    二人っきりの時ではなく、
    変えたい関係は二人だけでなく
    この仲間の関係を改めて行きたいのだから
    この場で自分の思いを
    この場所だからこの年だからこの時だから
    伝えないわけにはいかなかった
    伝わるとは思ってなかったし
    だから何がしたいのではなく
    私が私であるために
    私が私になるために
    思っていた形になったのに
    思っていた以上に傷ついている
    このままでもよかったと思うけどこのままではいけない

    自分の気持ちには自分で責任を持つ
    人の気持ちを奪わない
    人の気持ちは人のもの
    できないことはできないから
    できることはできる
    それすらわからなくなる時に
    しっかり食べて
    しっかりと休める
    そんな時間を作ってくれる
    今までの物語が
    ここに集まってくる

  • 青春だよなあ。青春だ。
    前巻、夕湖の告白と朔の返答で決定的な亀裂が生じたあとのラストでの優空の登場が、なんだか最後にやってくるヒーローみたいだなあと思ったんだけど、いやあ、間違ってなかった。
    この巻でのヒーローはまさしく彼女だ。
    それはいつもなら朔の役回りなのだけど、さすがにへたれた朔にはそんなことは出来ず、朔と夕湖を救うことが出来たのは普段控え目に笑っているうっちーだけだったのだ。
    彼女だけがみんなの前で告白した夕湖の本心も、それを断った朔の真実も最初から分かっていたんだ。

    クライマックスの三人の告白場面が圧巻。
    二人の隠していた本心を、それを分かっていた彼女だからこそ告白させることが出来た。
    それも彼女が話すのではなく、ちゃんと本人に話させるとか、そのやり方が朔に似てるよなあ。
    回想の中で岩波先生が優空と朔が似ていると話す場面があるけど、なるほど似ているなあと思った。

    そんな二人に対して彼女は怒っていた。
    誰かのために自分の気持ちを押さえつけることなんてする必要ないって。
    それは彼女自身に対する叱咤でもあったのだろう。
    だからこそ彼女だけが、ふたりをまた向き合わせることが出来た。つなぎ合わせることが出来たのだ。

    読む前はこの亀裂の行き着く先はどこへ落ちていくのだろうかと危惧していたけれど、互いに本当の気持ちをさらけ出すことで再び結びついたのだ。
    でもそれは前よりももっと強い絆だろう。いやあ、青春だよ。

    朔がヘタれている間、それぞれの女の子がそれぞれのやり方で彼を勇気づけようとする様はなんかみんな意地らしくて温かで、でもちょっと朔にむかついた。
    こんなにみんなに心配されているのに、さっさとしっかりしろよと。
    それにしても朔のまだ誰も選べないからと言う理由のなんと贅沢なことか。いやもう、さっさと爆発しろ!
    それに優空ちゃんの過去話を読んでて、ほんとに朔は誰彼かまわず救っちまうんだなと。
    そして互いに欠けた穴を埋められるようなひとになろう、なんてそれはほんとプロポーズだから!

    苦しくて哀しくてそれでも大切な大切な彼らの夏が終わった。
    でも彼らの明日は続いていく。
    その先もまた楽しみ。

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著者プロフィール

裕夢(ひろむ)
福井県出身の作家。『ラムネの瓶に沈んだビー玉の月』で第13回小学館ライトノベル大賞優秀賞を受賞。受賞作を改題したデビュー作、『千歳くんはラムネ瓶のなか』を2019年6月18日に刊行。

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