- Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094530223
作品紹介・あらすじ
私を見つけてくれて、ありがとう
すべては変わってしまった。
唐突に、劇的に。どうしようもないほど残酷に。
けれど、ひとりで塞ぎ込む時間を、彼女は与えてくれなかった。
「あの日のあなたがそうしてくれたように。今度は私が誰よりも朔くんの隣にいるの」
――1年前。まだ優空が内田さんで、俺が千歳くんで。
お互いの“心”に触れ合ったあの日。俺たちの関係がはじまったあの夜を思い出す。
優空は言う。
「大丈夫、だいじょうぶ」
月の見えない夜に無くした何かを、また手繰りよせられるというように。
……俺たちの夏は。まだ、終わらない。
感想・レビュー・書評
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不覚!!
ラノベで涙してもた… -
優空がメインの巻。母親がいなくなったことにより心に蓋をしていたけど、朔によって破られる。あまり比べるものではないかもしれないけれど、朔に救われた度合いの大きさは優空が一番なのかな。
夕湖を元気づける海人もかっこいい。自分の好きな人が好きな人の話をされるっていうのはかなり辛いはずなのに。
みんなそれぞれの思いを抱えていて、青春だなぁ。こんな学生時代を送ってみたかった 笑 -
青春だよなあ。青春だ。
前巻、夕湖の告白と朔の返答で決定的な亀裂が生じたあとのラストでの優空の登場が、なんだか最後にやってくるヒーローみたいだなあと思ったんだけど、いやあ、間違ってなかった。
この巻でのヒーローはまさしく彼女だ。
それはいつもなら朔の役回りなのだけど、さすがにへたれた朔にはそんなことは出来ず、朔と夕湖を救うことが出来たのは普段控え目に笑っているうっちーだけだったのだ。
彼女だけがみんなの前で告白した夕湖の本心も、それを断った朔の真実も最初から分かっていたんだ。
クライマックスの三人の告白場面が圧巻。
二人の隠していた本心を、それを分かっていた彼女だからこそ告白させることが出来た。
それも彼女が話すのではなく、ちゃんと本人に話させるとか、そのやり方が朔に似てるよなあ。
回想の中で岩波先生が優空と朔が似ていると話す場面があるけど、なるほど似ているなあと思った。
そんな二人に対して彼女は怒っていた。
誰かのために自分の気持ちを押さえつけることなんてする必要ないって。
それは彼女自身に対する叱咤でもあったのだろう。
だからこそ彼女だけが、ふたりをまた向き合わせることが出来た。つなぎ合わせることが出来たのだ。
読む前はこの亀裂の行き着く先はどこへ落ちていくのだろうかと危惧していたけれど、互いに本当の気持ちをさらけ出すことで再び結びついたのだ。
でもそれは前よりももっと強い絆だろう。いやあ、青春だよ。
朔がヘタれている間、それぞれの女の子がそれぞれのやり方で彼を勇気づけようとする様はなんかみんな意地らしくて温かで、でもちょっと朔にむかついた。
こんなにみんなに心配されているのに、さっさとしっかりしろよと。
それにしても朔のまだ誰も選べないからと言う理由のなんと贅沢なことか。いやもう、さっさと爆発しろ!
それに優空ちゃんの過去話を読んでて、ほんとに朔は誰彼かまわず救っちまうんだなと。
そして互いに欠けた穴を埋められるようなひとになろう、なんてそれはほんとプロポーズだから!
苦しくて哀しくてそれでも大切な大切な彼らの夏が終わった。
でも彼らの明日は続いていく。
その先もまた楽しみ。