- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094530452
作品紹介・あらすじ
友崎くん、新章始動! 3月。日南の誕生日が近づいていた。泉の発案で、USJでの思い出旅行とサプライズパーティが企画される。チーム分けしてプレゼントを用意し、“一番日南を喜ばせたチームが勝ち”という主旨だ。俺は菊池さんと水沢の3人で、日南の好きなレトロゲームを再現することを考えるが――。あの日、突きつけた真実。終わりを迎えた共闘関係。たとえ、日南の操るキャラクターじゃなくなったとしても。それでも、俺は……あいつを、日南葵をあきらめたくなかったから。人生攻略ラブコメ、第10巻。待望の新章開幕!!!
感想・レビュー・書評
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真相を言い当てられた為に友崎から逃げ出した日南。彼女が抱える闇に手を突っ込むにしろ他の方法を探すにせよ、かなり重たい展開になるのだろうなと想像していただけに今巻の展開は良い意味で予想外だったかな
友崎も日南もゲーマーだからか整然とした論理を求めてしまう。物事を難しく捉えてしまう。でも、この巻で優鈴達がしたように難しく考えるよりも自分のやりたい事をポジティブに突き詰める方がより良い結果を導くんだよね。そういった点を思い知らされる内容だった
前巻のあれで友崎と日南の交流は壊れてしまった。それを引き摺る二人の関係は友崎と風香の恋人関係が温かく描かれるだけに冷たく感じてしまう
友崎は日南に教えられた事、自分のやりたい事を下地に風香との仲を深めていく。友崎としては今の風香との関係に満足しつつゆっくりと先に進めたいと思っている。それが日南の主義に反する点を考慮すれば、このまま日南との人生攻略が終わってしまっても今の友崎にとって大きく失うものはない筈
それでも友崎が日南にこだわり続けるのは、日南の世界を変えたいと思うのは自分が日南によって世界を変えられたから?アタファミの好敵手だから?友崎自身も分析しきれない曖昧な心境。ここには一体何が有るのだろう?
今巻のメインイベントとなるのは日南の誕生日祝いだね。
友達グループの中心人物を祝うついでに旅行もできたら良いね、なんて気持ちで始まったサプライズパーティ。水沢や友崎の思惑が絡んだ事で随分思い切ったイベントになったようで。というか、日南がゲーム好きだからってオリジナルゲームを渡すとか凄いこと考えるな……。これ本当に友達の誕生日を祝うイベントだよね……?
そうして始まった旅行は場所も相まって日南の隠そうとしていたものを露わにしつつ、その流れを日南にとって不快なものとしない状況となっていくね
現実なのだけれど、ゲームみたいなテーマパーク。日南の好きな要素が詰まりつつ、苦手な要素もあったりする。それは誕生日シールも相まって日南の感情を容赦なく振り回していくものになるね。学校空間等ではどんな状況だろうと順応してみせた日南葵。けど、非日常的な空間には自分の好きなものが一杯有って、自分を祝ってくれる人もたくさん居て
それは空気の支配を超越した感情の爆走を齎すものになるわけだ
散々に感情を振り回された後の友崎と日南による会話。これは友崎が以前のように日南の心情をどうやったら理解できるか、という点ばかり考えていたらあり得なかっただろう会話。日南がどうしたら喜ぶか?そうした純粋な感情を積み上げたから、あの二人っきりになって話せるタイミングが有って、友崎も日南の在り方を認められたのだろうね
そうして友崎が心開いた後に日南が明かしたのは底が見えない話だったな…。友崎が言及したように居なくなった事を辛いと思うだけで済めばそれで終わったのかもしれない。でも日南はそこから感じ取ってしまったのか、答えの出しようのない難題を。
どうやらパーフェクトヒロイン日南の原点に繋がる事故なのだろうけど、まだ読み取れるものは少ないな。妹の事故死がどうやったら今の日南に繋がっていったのだろう?
終盤のサプライズパーティでは誰も彼も日南を祝う為に全力を出し過ぎだね。でもそれだけそれぞれが日南から受け取ったものが大きかったという事なのだろうけど
日南は人生のルールを究明して攻略を進めているだけのつもりだった。それは人に自慢できるようなものでは無いと思っていたからこそ後ろめたさが有った。だと言うのに、そんな日南から受け取ったものを全力で温かく返そうとする者達があれほど居たのか……
今回の旅行は日南の認識を変えるものになるんじゃなかろうかと期待してしまった
だからこそ、家族からのビデオメッセージは明るい展開と考えたいのだけど……。ここから日南を絶望に突き落とすような何かが現れたりしないよね……?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これまでとは明確に意味合いの異なる話をスムーズに進めるため、少々強引に設定を軌道修正した箇所もありつつ、パーティーを揃えてラスボスの大魔王攻略に突入。
第9巻で示された断絶をどう埋めるのかお手並み拝見でしたが、「気まずいのはそれはそれとして、共通言語で好きなことを語り合う」というド直球には完全に裏をかかれましたね。
さて、次に来るであろう決め球は、切れ味鋭い変化球か、それとも気持ちのいい直球を続けるか。 -
やっばい、相変わらずの青臭さがたまらん。
そして、菊池さんがしんどいなあ。
どうなるんだろこれ。 -
漸くパーフェクトヒロインの日南に焦点を当ててきて、いよいよラスボス編って感じかな。
妹は亡くなっていたのか。根拠や理由を重視しているスタイルだからこそ、妹の死は相当なショックだったんだろうな。ラストで日南の家族が出てきたことで次巻は荒れ模様になりそう。 -
【君に人生の大切さを教わったからこそ、今度は俺が返したい】
葵の誕生日にイベント企画した友崎達がアイデアに頭を悩ます物語。
結果だけは嘘をつかないと正しさの仮面を被り続けた葵。己の人生をその為に利用されてると知った友崎との関係は疎遠になる。
二人とも徹底した個人主義だが、その範疇を友崎は越境したいと思えた。
葵の仮面を暴くのでなく、人生の楽しさを教えて喜ばせる為に。
人は誰しも分かり合えない業を抱えてる物だ。
しかし、葵の生き方が沢山の好意と尊敬を産んでいる。
友崎自身が救われたからこそ、その事実で今度は葵を救うのだ。