大系日本の歴史 10

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096220108

作品紹介・あらすじ

東廻り・西廻り航路の隆盛と共に、密接に結ばれた政治都市江戸と商業の中心地大坂。発展をつづける江戸に華開いた浮世絵・黄表紙…。にぎやかに登場する江戸っ子の裏面など、活力あふれる18世紀日本の姿を描きだす。

感想・レビュー・書評

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  •  元禄から田沼期のほぼ一世紀.
     構成は「タテ軸とヨコ軸の二つを考える」(8p)とする.タテ軸は時系列にして、ヨコ軸は地域間の関係.

     「江戸城大奥」
     「元禄忠臣蔵」「元禄の文化」などなど、時代の推移を時々の題材を提示しながら、説明していく.
     しかも、それぞれに史学研究者の研究成果を柱に叙述しようとする姿勢が特徴点.
     「大奥」なら、朝廷に勤仕する公家の当主たる松尾相匡(すけまさ)の日記をもとに(16p)、右衛門督(うえもんのすけ)付きの梅津と称する女性の生涯をつうじて、秘門を開いてみせる.
     「忠臣蔵」なら赤穂市史総務部市史編さん室編の『忠臣蔵』第三巻(26p)に依拠するなど、丁寧でもある.

     ヨコ軸.
     ヨコ軸で、<上方>について位置づけする点がある.「近世社会は、都市が経済循環の結節点として不可欠な存在」(13p)と規定し、<上方>に「地理的意味だけでなく、そこに展開された独自の文化相を包含する」とする(12p).

     なかなか、おもしろい.
     読ませてくれる.そもそも史学者の著わす啓発書ながら、時代を「大奥」「忠臣蔵」から切り取って行こうとする点が、「読ませる」ことになるのかも.

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著者プロフィール

1933 年、東京市日本橋区生まれ。57 年東京教育大学卒業。64 年東京教育大学大学院博士課程単位取得退学。徳川林政史研究所主任研究員、信州大学教育学部助教授、東京学芸大学教育学部教授、立正大学文学部教授を経て、東京都江戸東京博物館館長。同館名誉館長、徳川林政史研究所名誉所長。主な著書に『大系日本の歴史〈10〉江戸と大坂』(小学館)、『江戸の盛り場・考─浅草・両国の聖と俗』(江戸東京ライブラリー)、『元禄人間模様 変動の時代を生きる』(角川選書)、『寛政改革の研究』(吉川弘文館)、『江戸社会史の研究』(弘文堂)。

「2022年 『江戸を知る――江戸学事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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