新編日本古典文学全集 (9) 萬葉集 (4)

著者 :
  • 小学館
3.25
  • (0)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096580097

作品紹介・あらすじ

最も信頼できる本文(原文・訓み下し文)、注、訳が見開きページ。二色刷

「言霊(ことだま)ってなあに?」 突然、娘に聞かれて弱ったという声を耳にしました。事の起こりは、サザン・オールスターズのヒット曲「愛の言霊」にあるようです。そこで一言。 『大辞泉』には、古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力。発した言葉どおりの結果を現わす力があるとされた。と解説され、次に「ことだまのさきわうくに」つまり「言葉の霊力が幸福をもたらす国。日本のこと」の用例が引かれます。これが『万葉集』巻五、894番の、あの貧窮問答歌で名高い山上憶良の長歌なのです。本全集本より引けば、 神代(かみよ)より 言ひ伝(つ)て来(く)らく そらみつ 大和(やまと)の国は 皇神(すめかみ)の 厳(いつ く)しき国 言霊(ことだま)の 幸(さき)はふ国と 語り継ぎ 言ひ継がひけり…… (神代以来 言い伝えられたことですが そらみつ大和の国は 国つ神の威徳のいかめしい国 言霊の 助ける国だと 語り継ぎ 言い継いできました……) そう言えば、中島みゆきも、札幌の藤女子大では『万葉集』を勉強したとか。時代の先端に大和言葉が突然、復活するのは、やはり言葉の生命力のなせるワザでしょうか。 新発見の成果も取り入れ今日、最も信頼できる本文を提供することができました。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 紅に染めてし衣雨降りて
    にほひはすともうつろはめやも (巻十六の3877)

    にほふ→赤系統の色が映える、とあります。
    雨に濡れて色濃くはなっても、色褪せることはない。
    男女の愛情を匂わした、といってしまえばそれまでですが、
    『万葉集』は、このさきなにがあったって、きっと生きながらえる。
    そういう暗示だととらえると意味はひろがり、いったい色褪せない
    ものとはなんなのか、考えてみたくなります。。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

小島憲之(こじま・のりゆき)
1913年生まれ。
大阪市立大学名誉教授。
1998年逝去。
著書に『古今集以前』『国風暗黒時代の文学(全9巻)』など。

「2019年 『上代日本文学と中国文学 補篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小島憲之の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×