新編日本古典文学全集 (51) 十訓抄

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  • Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096580516

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  • 読んだところ
    序文、菅原道真・藤原時平が出てくる話

  • とても長くて読み応えはあります。
    印象に残った文は、「おしゃべりは身を傷つける。忙しさは心を傷つける」

    養老の瀧伝説
    年老いた父をもつ貧しくて、身分の賤しい男のお話。孝行心のある者であった為、天の神、地の神が気の毒に思われて湧き水がお酒になっていて汲んで父に飲ませていた。という伝説があったのは知りませんでした。

  •  タイトルからも分かるように、10の教訓を「実例(と著者が考えているもの)」を挙げて説いている。例えば、藤原顕季と源義光が荘園を争った。理は顕季にあったが、義光に譲った。それにより、義光は顕季に従うようになった。だから、むやみに欲を出さない方が良い結果がある。といった感じの話の展開が多い。目的が「教訓を説く」ことであるので、それぞれのエピソードは著者の主張に沿った順に並べられ、全体として構造化された文章になっている。
     現代人の目から見ると、不可能であったり滑稽であったりするエピソードも多いが、当時の人の考え方がよく分かって興味深い。また、他人に「笑われ」ないようにとの戒めが目につく。これは、現代人が失った感覚ではないか。私が小さかった頃、亡くなった母がよく「そういうことをするとひとに笑われる」と言っていた。つい最近まで、世間の目と、笑われることを恥とする考えが、日本人の行動の抑止力になる文化が生きていたのだろう。いずれにせよ、『十訓抄』では、個人は文化に逆らわず、社会の規範に沿って生きることを薦める。一方、現代では、個人の中で独自の価値観が確立することの方を大切にする。この差は大きいと、読んでいてひしひしと感じた。これは『今昔物語』を読んでいるときには感じなかったことで、この辺にも『十訓抄』を読む価値があるのではないかと思う。
     もう一つ感じたのが、エピソードから教訓を説くのではなく、教訓からエピソードを説いているように思えることだ。歴史上の出来事には多くの側面があるだろうが、そのうち、教訓にとって都合の良い側面からのみエピソードを語っている感が強い。読んでいて「そりゃ~他の見方も出来そうだな」ってツッコミを入れたくなることも多いのだ。
     とは言え、収録されているエピソードは、なかなか面白いものがある。ある客が会に遅れて行ったところ、自分の膳には箸がない。主催者の嫌がらせなのだが、客は平気で袂からマイ箸を出して食べたなど、味のある話もあって、興味深かった。

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著者プロフィール

専修大学教授

「2019年 『POSSE vol.42』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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