モディリアニの絵本―あえてよかった (小学館あーとぶっく (12))

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784097277026

作品紹介・あらすじ

大人気のアート絵本でモディリアニを遊ぼう

どこを見ているのかわからないからっぽの目、何か言いたそうな小さな口、さびしそうな人たち…。恋人の肖像画もたくさん。彫刻家でもあった彼が描く体は、豊かでシンプル。壁と椅子を当てる背景クイズもあります。

【編集担当からのおすすめ情報】
「名画は、遊んでくれる」というキャッチコピーで1996年に刊行がはじまった画集絵本「小学館あーとぶっく」シリーズは、画家別13巻、『ひらめき美術館』3巻までそろい、発売から15年間で、累計発行部数70万部を超えるロングセラーになりました。
さらに、アートとの新しいふれあいを提案したシリーズとして、第47回小学館児童出版文化賞を受賞。結城昌子さんの、子どもたちにアートを広める長年の活動に対しては、2010年第50回久留島武彦文化賞が授与されました。
お子様とアートの最初の出会いに最適なこのシリーズを是非お役立てください。

シリーズ紹介ページ http://www.shogakukan.co.jp/books/series/_id_B10008
結城昌子公式サイト http://www.artand.jp/index.html

感想・レビュー・書評

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  •  私とモディリアニの接点といったら、昔、映画オタクの人に連れられて見た『モンパルナスの灯』がモディリアニの生涯を描いた映画だったということだけだ。演じたジェラール・フィリップが美男子だったこと、絵が売れなくて自暴自棄で飲んだくれて彼女さんが大変そうだったこと、などと共にモディリアニの描く人物画のあの独特な感じを記憶したが、それで特別モディリアニやその絵を好きになったというほど感銘を受けたわけでもなく、今回この絵本を読むまでモ…なんだったか曖昧ですらあった。
     この絵本では、長い首、長い鼻、空っぽの目、といったモディリアニの人物画の特徴を見たままストレートに指摘し「どこかさびしそう」と印象を語ったうえで、一枚一枚の絵に「あえてよかった」という言葉を添えている。また、人物の首の傾げ具合に注目するページや、背景に塗られている色に注目するページもある。首痛くなりそうだなあ、部屋には何もないけど素敵な色の壁だね、といった言葉とともに。
     そして、小さめのフォントで書かれた各ページや最後の解説ページの文章では、生涯の概要のほか、貧乏だったモディリアニはモデルを雇うことができず、絵のモデルはいつも友人や恋人だったこと、最愛の人ジャンヌ・エビュテルヌの肖像を二十二点描いていること、子どもをモデルにした作品では瞳が描いたものが多いことなどが説明されている。
     それでモディリアニという人の何がわかったということでもないのだが、昔見た映画の印象も蘇らせながら、何もない部屋で、親しい人と相対して、その人をモデルに絵を描いている、描く人と描かれる人の二人の時間が、一枚の絵という形になったものがこの作品なんだ、という当たり前といえば当たり前のことを改めて思った。絵の鑑賞って、あまり難しく考えなくてもいいのかも…と思わせてくれるこのシリーズ、やっぱり良い。

  • ▼「モディリアニの絵本」結城昌子。2004年小学館あーとぶっく。小学生の子供と読んだけれども、このシリーズは大人にとっても素晴らしいです。モディアニは知ってるようであまり知らなかった。やはりパートナーを描いた連作が素敵なだなあと思いました。でも、「珍しく瞳のある」少女の画が一番好きかもしれません。
    ▼しかしこの辺りの1800年代後半に生まれた「ポスト印象派世代」って、早世した人が多い印象。ピカソはそんな中で長生きしたから大物になったんだろうか。

  • 日本の明治の上旬にイタリアに生まれたモディリアニ。長い首を傾けて目に瞳がない顔が長い女の人の絵が多く、印象に残っています。35歳で亡くなっています。

  • とても寂しげな絵が印象的だと思いました。

  • アメデオ・クレメンテ・モディリアーニは、今から126年前の1884年7月12日にイタリアで生まれて、90年前の1920年1月24日パリで結核性脳膜炎により死去した彫刻家・画家。享年35歳。
    その2日後、二番目の9カ月の子供を身ごもっていた最愛の妻ジャンヌも傷心のため自宅から飛び降り自殺。

    おそらく彼の真骨頂は彫刻にあり、潤沢な資金があり粉塵障害がなければもっと彫刻家として名を成したはずで、断念して絵画に専念せざるを得なかったことはさぞかし口惜しかったでしょう。

    モディリアーニをめぐる妖しくもせつなく美ししくも悲しいロマンティシズムとセンティメンタリズム、そしてデカダンスは、ちょうど中学から高校にかけて芸術至上主義を妄想した少女にとって、格好の傾倒するのに値するピッタリの対象だったと思います。

    もう、モディリアーニの例のあのデフォルメされた長い首が気が狂うほど大好きで、またあの正体不明の虚ろな眼がたまらなく愛おしい、といったふうでした。

    この本は、その私がかつて愛したモディリアーニを、うっとり甘いデカダンスの香り漂う禁断の芸術を、なんと子供相手に見せよう読ませようというのですから跳び上がって驚きました。

    一読して、なるほど納得です。やっぱり小学生向けですから、全部を開けっぴろげに解説するわけにもいかず、光と闇の部分の光にだけ照明を当てて、純粋に名画の美しさ楽しさをいざなう本として成立しています。

    やっぱり、こういう子供向けの啓蒙としての美術書の出現は、豊かな感受性をはぐくむ情操教育としてかなり重要な役割を果たすものだと思います。

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著者プロフィール

監訳*結城昌子(ゆうき・まさこ)
武蔵野美術大学卒業。アートディレクター、エッセイスト。1993年以降、子どものためのアート絵本の企画、制作をきっかけに子どもとアートをつなぐ活動を開始。「名画に挑戦」と銘打ったオリジナルのワークショップや講演、そのほか小中学生を対象とした各種コンクールの審査などを続けている。小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞、久留島武彦文化賞受賞。代表作に、『小学館あーとぶっく』シリーズ 画家別13巻、『ひらめき美術館』全3巻、(以上小学館)、監訳『直感こども美術館 見てごらん!名画だよ』『直感こども美術館 すごいぞ!ニッポン美術』(西村書店)などがある。

「2018年 『フェルメール この一瞬の光を永遠に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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